表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/93

EP14 Zenithian sword town

 

<<転移>>

______第10日目 推定8月10日 午後3時


「はぁ~ 私なんだか幸せぇ~」


 ランにとって、惑星ヘーデタオレーダの島は予想外に美しかった。青い空と透き通った波が、静かに打ち寄せる白い砂浜がどこまでも続き、椰子の木の葉が風に揺れる地球の南国そのものだからだ。


 「太陽がサンサンと私に微笑みを......ここはリゾートですか? ハワイ? グァム? リーダー、私たちアブダクションされて正解かも~なんちゃって」

 てへっ

 異世界転移もなんのその、ランはリゾートモードに突入していて、俺は危険だと感じた。


ユウ「ラン、この島にはモンスターも居るから甘く見ては駄目。ほら見て、着いたみたい。あれが鳥瞰図に出てる町よ」


 俺が指し示した方向には、「Welcome」 と地面に埋め込まれた丸太に釘打ちされた、木製の四角い看板が立っていた。

 異世界の町の看板だ。何が書いてあるのか興味を惹かれない訳はない。


 レイ「わたし 読む Zenithian sword town 人口8,000人の小ざっくりとした アットホームな伝説の町 書いて ある」


 会社の謳い文句に「アットホーム」と書いてあると、俺はつい胡散臭いと反応してしまう。大抵はブラックだ。


ユウ「私、英語も小ざっくりの意味もわからないけど。それと町の面積が分からない以上、人口8,000人って多いのか少ないのか判断出来ないけど」


「そ、そうだよねぇ~リーダー。 私も、ど、同感ですたい」

 きょどきょど

「ラン、目 泳いだ あなた わかって 無い 町の名前 ゼニシアン ソード タウン "天空の剣 の町" 訳は、そんなに違わない 思う」


ユウ「流石! 頭脳明晰のレイ! ますますゲームそのものね。天空の剣がこの町にあったから、そんな名前の町になったのかもね」


ラン「伝説の剣ねぇ......DQですかぁ?」

これがゲームだとしても俺は戦士職だ。それを考えると、サバイバルナイフ1本でこの先モンスターと戦えるのか? 不安が脳裏を過ぎった。

 「ユウ 浮かない顔 してる」

 まぁ な

  

______ほんの数分歩いていると、"冒険者ギルドは暫く道なりです" なんて看板が目に付いた途端、ランが看板に食いついた。


「ランのパパのナビ、しょっちゅう道に迷うと、このセリフ吐いてたのよ」

レイ「それ、買い替え 何十年前のナビ?」

「う~確か、FD(フロッピーディスク)入れ替える奴」


 FD ?? はぁ~??

 妙なナビのような看板に偽りはなく、10分も歩けば冒険者ギルドの前に到着した。


 それは木造3階建てで古い小学校のようだが、黄色いド派手な外観をしている。

「随分、目立つ建物だわさ」


「まぁ兎に角中に入って、受付登録を済ませましょう」

リーダーの俺を先頭に、三人はウェスタン映画に出て来るような、観音開きの木扉をくぐった。

 キィィィ


++++++挿絵(By みてみん)


 "コングラチュレーション!"


「何コレ? 頭が リーダー、これから何か始まるの?」

「う~んと、これから声だけ綺麗なお姉さんが出て来る合図で、名前はジョセフィーヌって言うんだよ」


 「声だけ美人で実態が謎......これは何か臭うわね」

 ランのスキル"推理"はまだLV1。しかしランの推理は何かを掴みかけていた。


 ジャ~ン

「私の自己紹介、済んでしまったわね。ランさんには初めまして」


 お、おう

「それで、あなたは何者? ポケモン? バケモン?  ジャマモン?」


 『ラン凄いぞ、いきなりこいつの正体を当てやがった。正しくジャマモンだよ、こいつは』

 腹の中ではユウガ全開だが、見かけは超絶ハーフ美少女で、しかも100%にコンプリートしている俺だ。


 ユウ「ジョセフィーヌ、それで何がコングラなんだよ?」

「ぷっ、100% になって満足でしょ、ユ・ウ? 今まで見れなかった憧れの女体はどう? チェリーボーイ ちゃん」


ジョセフィーヌは、ネチネチとユウガを苛めるのが好きなようだ。


 『テメェ、ドSか! ちきしょー、俺が女になる事が嬉しそうじゃねぇか。何企んでやがるんだ。こいつ』


「思っている事は 筒抜けだから ユ・ウ でも残念ながら私はドM だから間違えないで」


うるせぇわ!


 「では本題に入ります。皆さまは、無事冒険者ギルドに到達されました。よって我が "運営本部" から、スペシャル・ボーナスを進呈します。詳しくは閻魔帳をご覧あれ。______では」


「なに運営本部って言ったよな、あいつ」

「ユウ、この世界 意図的に 作られている!」

「スキル 推理 は 何も」

『ポンコツ』


いつも通り、言いたい事だけ言うとジョセフィーヌの声は消えた。


______「リーダー、今の頭の中の声は......それに周りのギルドの人達 みんなフリーズしてるよ」


「あ、ほんとだ。ジョセフィーヌの声が聞こえた時は、周りの時間が止まる仕様なんだ。それに閻魔帳で私たちが確認するまでは、きっとフリーズが解けないんだ」


 ステータスを確認をさせて状況把握をさせてから、ギルドの時間は元に戻る。そうしないと次のステップへ進めないというカラクリだ。


 「本当に ゲームだわ」


 ユウもレイもランも、何故ゲームなのか検討もつかない。

しかし、異世界で自分たちがゲームをやらされている以上、このまま続けるしかない。そうしないと、俺たちは日本に戻れない気がする。


「兎に角 ユウ 私たちのステータス 見ましょうよ」

「そうね、じゃ今度はレイ やって」


 レイはユウに命令されると、上機嫌になる。

「ん わかった リーダー」


「ボンジュール 閻魔帳!」

 ヴゥゥゥゥン


名前 近藤 (ユウ) 登録名 ユウ 16歳

称号 サバイバルナイフ美小女戦士 LV3↑1 チームリーダー 

HP 26 冒険者女性戦士候補 XXXクラス↑6

MP 10 ↑4

瞬発 LV2 ↑1

スキル 試行錯誤 LV2

武器 シャークテックナイフ LV3↑1

防具 ユニケロ 男物パーカー上下 LV1 軍手 LV 1 

   男物トレッキングブーツ

魔法 Give LV2 ↑1

魔女の加護

鳥瞰図(ちょぅかんず) LV2

閻魔帳+

所持品 ゴブリンの魔石4




名前 北川 (レイ) 登録名レイ 魔女の直系子孫 超絶ハーフ美少女↑ 16歳

称号 魔法使い xxxのx 

HP 26 ↑6

MP 32 ↑10

スキル 無い物ねだりLV3 ねだる物により消費MPが増減

武器 殴打兼用 ユウ自作 流木槍

ゴブリンの弓

防具 ユニケロ パーカー上LV2 ↑1 ウィッチのグローブ LV1

トレッキングショートブーツ

攻撃魔法 ファイアーボールLV3 ↑1 MP2消費

     ファイアーボール・ウォール LV2

     サンダー・ライデンドロップ LV1 MP2消費

魔女の加護

鳥瞰図(ちょぅかんず) LV2

アラピカ魔法 LV1

閻魔帳+



名前 萌牟逗(ほうむず)ラン 登録名ラン 超絶ハーフ美少女ヒーラー 15歳

称号 ディテクティブ見習い ポン()

HP 16 ↑6

MP 14 ↑4

スキル 推理 LV2 ↑1 

武器 

防具 ユニケロ パーカー上 LV1 探偵のグローブ LV1

トレッキングショートブーツ

防御支援魔法 Ultra Soul LV1

聖魔法 イタイーノトンデケーノ LV1

B'sの加護

鳥瞰図(ちょぅかんず) LV2 ↑1

閻魔帳+


「ポン娘って、私 馬鹿にされてんの?」


 ユウ「ジョセフィーヌのボーナスで、HPとMP、スキルが最低 必要なレベルまで上がっているわ。この数値ならチームとしてやっていけるギリギリのラインだと思うけど、武器も防具も貧弱過ぎるのよね......」


「Ciao!(チャオ )閻魔帳」


 皆が一通りステータスを確認したところで、レイが閻魔帳を閉じた。

「フン、レイのはダサイ詠唱ったわ。流石にリーダーの詠唱には及ばなかったわね」

 ここでランとやり合っても意味がない。そう思ったレイは次の展開に備えた。


 全員がステータスを見終え、閻魔帳を閉じた瞬間、周囲の時間が目覚めた。




______「よお、新顔だな。しかも上玉が3匹ときたもんだぜ。オメェら、まさかとは思うが、冒険者登録ならカウンターだ」


しかしまず酒臭い。

 ラン「ここは飲み屋なの? 汚い男ばかりが酒ばかり飲んでウダウダして! あーやだやだ。ユウガぁぁ、どこに居るのぉぉ」


 「ちぇ、汚くて悪かったな。こちとらダンジョン帰りなんだ。綺麗なまんまここに居る奴は、初心者のルーキー冒険者だ。しかもダンジョンに潜った途端、ビビッて逃げ戻って来た、ひ弱な女冒険者くらいだぜ」

 ヒッヒッヒ


「テメェらも、そんなルーキーに見えるがな!」

「おうおう、ままごと遊びじゃねぇんだ、帰った 帰った!」


 『チンピラは大抵、枕詞はおうおうだ。こいつらも大した事なさそうだ』

ユウがチンピラたちを観察して黙っていると______



 「オメェら 黙りやがれ!」


 カウンターの中の大男が一喝すると、途端にアラクレ共が静まり返った。


「ふん、べっぴんが3人か、しかも上玉がここに何の用だ?」


「ここに来てする事と言えば、冒険者登録ですけど。私たち未成年だし、酒は飲めないので」

リーダーのユウが、強面巨漢の男にそう告げた。


 「へん、お前らが登録? それに未成年ってなんだそりゃ? ここじゃガキだって酒を飲むんだ。冒険者ならな!」

 

大男が、俺たちを値踏みするようなギラギラした目を向けている。


「ふん、見た所、武器はナイフ1本、流木の槍、そりゃゴブリンの弓か? どれもこれも貧弱過ぎて泣けてくらぁ。オマケになんだ、その服は?? 防御を全く考えていねぇシロモノだ。お前等みてぇなこんなルーキー、俺は初めて見たぞ」


 確かに武器も防具も、真面な物は俺のサバイバルナイフ1本だけだ。この大男の言う事は正しい。


「おいオメェら、今日はもう遅い。ギルドから更に北に道沿いに進むと安い宿屋がある。そこでこの町の情報を仕入れて、それでも登録する気があるなら、明日また来るこった」


 カウンターの大男は、冒険者登録を拒否しているかのように強引に俺たちを追い返した。


 ユウ「時間も遅いし、その宿屋でごはん食べながら情報を聞きましょう」


「お腹も減って来たしね、早くいこいこリーダー」

ランは相変わらず観光気分だ。観光と言えば旅館、ホテルでの食事や温泉、土産物屋の店を食べ歩きするのが楽しいものだ。


「レイ、金が無い。その時は......」

「わかってる ユウ わたし スキルでしょ ボーナス MP32 なんとかなる」


 こんな時、レイのスキル"ない物ねだり" は大いに助かるのだ。

俺たち3人は、大男の言う安宿屋を探してギルドを後にした。


 第10日目 推定8月10日 午後5時


 ギルドから出て、また道なりに5分もあるけば、安宿っぽい外観の建物が目についた。

「ユウ あれ じゃ?」

吊り看板が、風に揺れている。

 「民宿 "寄って停"」

「名前がモロだし、ここで泊まるか」


 はやるランが俺の腕を掴んで、"寄って停"の暖簾を潜って木製のスライド扉を開けた。

 ガラガラ

 


 「へい、らっしゃい!」


 寿司屋と間違える位の大声なダミ声に、俺たちはまず驚いた。

 「レイ、ここ宿屋だよな」

 「わたし 判断......できない」


 「でも何であいつが居るんだよ」


 その大きくダミ声の人物を3人が確認すると2度びっくりだ。

「あ、あのギルドの大男じゃねぇか!」


 あまりの驚きに俺は、女リーダーである事を忘れ、ユウガの地で絶叫してしまった。


 「へい、3名様ご案内ぃぃ」


 「おい、お前はさっきの」

と言いかけると、ギルドの大男は態度が一変して、もみ手で俺達を歓迎しているようだった。


 「あんたたち、泊まりだろ? 3人一部屋、夕、朝食付き、風呂付で1500ガバスだ。他より値打ちだからよ、泊まっていきな。それに、この町の情報も教えてやらぁ」


 その言葉に俺は即決したかった。

「しかし、1500ガバスがいくらなのか分からないし、金がないのだ。それを見越したのか、大男がニヤリとした」


「あんたらこの町の事、何も知らねぇだろ。ここじや金ばかりじゃねぇ、MP交換って方法もあるんだぜ。見た所そのべっぴんさんは魔法使いだろ? 纏めて MP30でサービスしとく」

「そう言えば、ゴブリンの魔石を持っていたよな? ちなみに買取価格は5ガバスだぜ」


「ユウ、とても 安い」

「やっぱりか......」

(※1ガバス=10円)


 俺がレイの顔を見ると、レイは問題ないとばかりに頷いている。

「決まりだな、じゃあお嬢ちゃん、この決済プレートの上に手の平を置いてくれ」


 言われるままに、レイがクリスタルのようなプレートに手を置くと、一瞬プレートが光りすぐその光は消えた。


 "マイド オオキニ"

 プレートが喋った。


「よし決済は終わったから、部屋に案内してやる。晩飯は午後6時からだ。時間になったら適当に降りて来な」


 大男が厨房に向かって手招きすると、可愛い女の子がトテトテとやって来た。


 「いらったいまてぇ。ては 2階へとうど」

まだ5歳位の女の子が、俺たちを部屋に案内してくれるのだ。

「あの大男、ここのオーナーだったのか? しかも所帯持ち?」


 正体の分からないオーナーの子供に案内された部屋で、一度明日からの事を話し合う事にしたのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ