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5月22日 第21任務艦隊
「さて、偵察の結果は...」
血相を変えて兵士が入ってくる。
「緊急入電ですっ!」
「どうした?まさか敵が?
「は、はい、そのまさかです!多数の敵艦船及び航空母艦確認!」
「敵艦載機による攻撃が行われているようです。」
司令はすぐに的確に指示を出す。
「よし、直ちにボトフ基地に打電!『我、増援に向かう』」
「艦載機は対空および対艦装備にて全機発艦、艦隊は最大戦速まで上げ、そのまま付近に到達次第主砲にて攻撃を開始する。また敵保有潜水艦は極めて静寂であるとの情報もある、各艦ソナー員は対潜警戒を厳とせよ、いいな?」
『はっ!』
一方そのころ、グレートアアアウス6世では帰還した艦載機の補給作業が行われていた。
二次攻撃は、
「ふう、ここまでは予定通り、か。」
「ん?え?か、艦長!」
「なんだ?変な水棲生物でもいたか?」
「いえ!敵機と思わしき航空機2機が接近しています」
「何!?迎撃しろ!」
「了解!」
個別防艦ミサイルSTA-7型はセットされた目標めがけて母艦からの誘導で飛んでいった。
レーダースコープ上に輝いていた2つの軌跡は、真ん中なら飛び出たもう2つの軌跡に当たると同時に消滅した。
「敵航空機撃破」
「よし、でかした、搭乗員はヘリで救助してやるように。」
「しかし攻撃が敵にばれたかもしれん、というかそう考えるのが妥当だろう。」
「交換作業は進んでいるか?」
「はい、完了しました。」
「ううむ、今から対艦対空装備に換装はできるか?」
艦長はオペレーターに問う。
「え?できますが...なぜ?」
「敵に発見された可能性がある、なら先回りして、敵をたたくしかない、対艦装備はどうなっている?」
「はっ、もともと対水上戦闘は想定していなかったため、常備している短距離対艦ミサイルが少々、無誘導ロケットなら多数あります。」
横に侍っていた砲雷長がそう告げる。
もともと上陸戦の支援が目的で空母を派遣したのであり、基本的に対地装備しか搭載していないのだ。
「今すぐ換装せよ!作戦は一時中断。司令部に打電、『我敵艦隊と交戦の危険性あり、至急増援送られたし』」
「了解」
ハンガーではパイロットまでもが動員され、換装は急ピッチで行われた。
「換装完了しました。」
「よし直ちに発艦、念のため電波妨害機も飛ばしてやれ」
しかしオペレーターは首を横に振る。
「艦長、あれは冷却が必要でして.....まだ完了しておりません。」
「ならば仕方がない、航空隊に頑張ってもらおう。」
一方そのころ、飛行甲板では、発艦作業が行われていた。
ジェット・ブラスト・ディフレクターが甲板から立ち上がり、ジェットエンジンの轟音がより大きくなる。
『アアア9世コントロールより9-005番機、発艦を許可する』
『9-005番機よりコントロール、発艦する。』
そのままジェットの轟音と、カタパルトの蒸気があたりを覆う。
空母は2つあるカタパルトをフル稼働させ、艦載機をどんよりした雲の漂う空へと飛ばす。
「所属不明艦多数、レーダーにとらえました!こちらに向かって接近してきます!」
「なに?編成等、分かるか?」
「わかりませんが、少なくとも航空母艦などで編成された機動艦隊と思われます。」
「....困ったな、もしもかの国なら戦艦を装備しているはずだ、なら、あんなミサイルではせいぜい甲板で火事を起こさせる程度にしかならないだろう。」
皆いいアイデアを考えたが、名案が出る前にレーダーオペレーターの一声が入った。
「味方機、敵航空機に接触!数およそ....」
「映像こっちに移せ!」
ある士官がそう指示して、艦長副長など要職は皆平面表示装置の周りを囲む。
「おお、敵だ」
第21任務艦隊
「さて、艦橋よりレーダー室、状況知らせ」
艦長が指示する。
「はっ、敵艦に目立った動向はありません、もうすぐ主砲射程内です、」
「航空機でケリをつけろ、艦砲射撃は最終手段だ」
司令が指示する。
「はっ」
「艦長、司令」
「どうした?」
「偵察に出した2機は撃墜されたようです」
「うむ、致し方無い犠牲だな、敵が救助していることを祈るしかないな。」
「攻撃開始したようです!」
空の上
「コントロールより各機、交戦を許可する。」
「りょうかい...って敵さんジェットじゃねえか、聞いてねえぜ!」
それでも任務はこなさねばならない、それが軍人の義務である。
敵はよく習熟訓練を受けていないのか、ジェットの特性になれていないのかはわからないが、非常に動きが単純だ。
顔がにやけ、そのまま安全装置を解除する。
「もらった!」
HUD上で敵影をとらえて、そのまま操縦桿上部のトリガーを引く。
そのままバババッと閃光が走り、敵は火達磨になって海に落ちてゆく。
「へへっ」
そのまま1つ2つと撃破するが、敵航空機が友軍航空機に近づくのを防ぐので精一杯である。
「隊長!きりがありません!」
「ううむ、よし、対艦装備の機は敵艦を攻撃せよ、空母を優先だ。のこりはここで敵を食い止めるぞ、一機も母艦に近づけるな」
「了解!」
艦船攻撃隊
「レーダーに敵艦をとらえました。」
「よし、敵駆逐艦および巡洋艦を攻撃する!」
「攻撃開始!」
前面操作盤を操作し、レーダー誘導の対艦ミサイルの照準を合わせて、発射する。
発射されたミサイルは敵艦へ向かう。
第21任務艦隊
「航空隊攻撃開始したようです」
「...果たして敵と互角にやりあえるものか...」
「(受領してすぐ出撃だ、道中最低限の習熟訓練はしたものの,,,,いかんせん搭乗員は機体特性に慣れていないようだ....どこまでやれるか...)」
司令は思いにふける。
「レーダーに感あり、右舷より.....」
爆発音、は外を航行していた駆逐艦に次々に当たる。
「どうした?」
「高速で接近する物体が,,,,,」
「まさか例の国でしょうか?」
艦長が言う。
「そうだ、これは誘導弾に違いない、敵め、我々と同等あるいはそれ以上とは....」
駆逐艦群は致命傷は食らわなかったものの、レーダーや外部の構造物を破壊され、通信不能、戦闘続行不可の艦が続出する。
「ええい、戦艦は艦船に対して攻撃準備!」
「攻撃はじめ!」
その合図が下令されると、主力艦艇の主砲はゆっくりと敵輸送船の方を向き、指示とともに一斉に攻撃を開始する。
グレートアアアウス級空母 戦闘艦橋
「近づいてくるぞ!」
「敵航空機30機、接近してきます!」
オペレーターが伝える、レーダーには30戸前後の光点が真ん中に向かって接近してくる。
「甲板員退避!防御ミサイル発射!」
甲板わきについているPDM-3型個別防艦ミサイル8連装発射機が敵の方を向いて、敵に向かって一斉にミサイルを射出する。
すべて正確に母艦からの誘導で敵に向かい飛行し、内蔵している近接信管が作動してまき散らされた破片により敵機は爆発四散する。
「全機撃墜しました。」
「よし、2次波くるぞ!備えろ!」
発射筒はいったん縦向きに方向を変えたかと思えば、艦内からミサイルがせりあがってきて、そのまま水平に戻る。
ふたたび敵の襲来。敵は、大きなミサイルを抱えており、その戒めを解かれるとともにロケットブースターに点火。そのまま一直線にグレートアアアウス6世の甲板へ加速していく。
「敵、ミサイル発射!」
「CWIS攻撃開始、すべて叩き落せ。」
CIWSが作動して、すさまじい弾幕を張る。
『くそっ!敵は化け物か!?』
『これでは近づくことすらできない!』
『退却するぞ!』
多数のミサイルは当然すべて撃墜されたように思えた、しかし数が多すぎて撃墜しきれなかったものは甲板に大きな穴をあける。
退却し、安心したところに、艦内に轟音をとどろかせる。
「!?どうした!」
「か、甲板に被弾!そのままハンガーにて大爆発を起こしたようです。」
「ただいま消火作業中です!」
「被弾箇所報告!負傷者は医務室へ運び込め。」
艦長の額には汗が見える。
そして連続して次の爆発、こちらの方が大きかった。
その爆発に続き、部屋の電源が落ちる
「今度はなんだ!」
艦長は怒鳴る。
しばらくして、電気が戻り、戦闘艦橋の機器類は再び輝きを取り戻す。
「原子炉緊急停止、二次冷却系統に異常発生現在バッテリーに動力が変更されました。」
「補助ディーゼルエンジン始動、各箇所損害知らせ」
「はっ」
もともとあああ帝国の原子炉は構造上異常が発生しやすいため、2機のディーゼルエンジンが補機として装備されていた。
もっとも巨艦を動かすのには足りず、艦は航行か戦闘かを選んで行動しなくてならなくなる。
「損害箇所分かりました、ミサイル2発はうち一発はハンガーにて炸裂、消火は完了しました、12人がけが、3名死亡、うち1発は右舷側面より貫通してポンプ室を直撃したようです。」
オペレーターは淡々と伝える。
戦闘艦橋には沈黙と思い空気が流れる。
「敵、撤退したようです。」
「よし、全機帰還させろ、本艦はこれ以上の作戦遂行は困難と判断、至急帰投する、そのように各艦と司令部に打電せよ。」
「了解」
ヤマダとアオキの乗ってる船
船のデッキにはたくさんの兵士たちが、飲み物やたばこを手に観戦、まるで物見遊山の如く敵味方に野次を飛ばす。
「さっきの飛行機、すごいなあ」
「どうした?」
アオキが人でごった返す欄干で、そう呟いた。
「いや、飛行機にしては、プロペラがなかったんだ、あのプロペラの意味は知らないけど、たぶん僕たちの物とは原理が違うのかもね。」
「へえ、奴ら、エルフにでも学んだのか?」
ヤマダが答える。
「さあね?」
「ところでさっきから何にも動きがないよね、どうしたんだろ?」
アオキは後ろを振り返りながら言った。
霧は濃くなり、何も見えないので、みんなだんだん帰ってゆく。
「いいや、ここにいようぜ、あんなとこよりここのほうが居心地いいし、何よりむさくるしくなくていいや。」
ドアがギィィと開いて、彼らの上司、百戦錬磨の隊長が出てくる。
「おお、お前たち、こんなところにいたのか。」
「あ、隊長だ。」
「いまからヤハラートに撤退することが決定した。」
「ええ!?どうしてです?」
隊長は激しく首を横に振る。
「それがわからないんだ。とにかくそうゆうことらしいぞ」
「(ん?あんなところに友軍艦艇が?)」
そのとき、急に南の方からヒュュウウウという音を聞いたような気がした。
ドォォォン
2つの水柱。
「え?」
「何があったんだ?」
「敵襲?」
「おい、早く中に入れ!」
急いで中に撤収する。
「うわあああ」
敵の砲撃はとても正確で、すぐ隣の船、戦車を積んでいたのだが、これはもろに食らって轟沈した。
丸い船室の窓を何度も水しぶきが洗う。
ヒュュウという風切り音。そのあとに爆発音。
何で自分たちにはまだ砲弾は降り注がないのだろう。
まさか見逃してくれたのだろうか,,などと思ったが、その瞬間、大爆発とともにヤマダとアオキと百戦錬磨の隊長は意識を失った。
第21任務艦隊
「よし、そのまま砲撃を続けろ、輸送船はすべて沈めろ、グラニット以下戦艦は敵空母に対して砲撃はじめ!」
「司令、艦長、全機帰還しました。損害多数とのことです。」
「うむ、まあ習熟訓練ができなかったからな、やむを得ない。負傷者は救護室へ運ぶように。」
「了解。」
大きな音と閃光が走り、主砲が敵に向かって放たれる。
艦隊はもうすでに視認できる距離まで接近していた。
残った駆逐艦群も、輸送船に対して攻撃をしている。
「よぉーし全部の主砲を向けるぞ、取舵一杯!」
艦隊は大きく軌跡を海面に描いて、カーブを描く。
グレートアアアウス級空母
「て、敵砲撃です!」
「敵砲撃で、友軍艦艇損害多数!」
「まずい!あれを食らえば確実に沈没する。戦闘艦橋より航海艦橋、航海長および操舵手に通達、砲弾をできるだけよけられるよう操舵を頼む」
「機関室に連絡、最大戦速出るか?」
『1時間ほどなら出せる..ただそれ以上は保証できねえなあ』
「そうか,,,,少し頑張ってくれ、」
『あいよ』
「...艦内放送をつないでくれ。」
「了解」
「えー私はグレートアアアウス6世、艦長だ。皆今までよく戦ってくれた。まさか私の受領した艦で、しかも艦長の時にこのような事態になるとは、正直動揺している。」
艦長は続ける。
「友軍は壊滅した、この艦もかなりの被害をこおむった。味方の援軍も絶望的だ、しかし、私は諸君を信じている。」
「今から撤退作戦を開始する。帝国海軍は各員がその義務を尽くすことを期待する。」
艦長は言い終わると、涙を流した。
それを白い手袋で拭うと、その辺に置いてあった帽子をとって、帽子を深くかぶる。
「作戦開始!」




