83
グレートアアアウス6世 甲板
艦載機が発艦する前に、白い双発ターボプロップの艦載機が発艦する。
そう、これはE-12多目的機。海軍ではE-12型は、輸送、対潜哨戒、早期警戒などたくさんの用途で使われている。
元はソ連でYak-44として設計されていたもので、80年代にあああ帝国はソ連より設計図を入手し、国産のESW-25ターボプロップエンジンを2機搭載したものをそのまま多目的機として採用した。
もちろんいつぞやの中央聖魔導帝国での戦闘の時同様、試製電波妨害ポッドを懸架しているため、傾いてだいぶ不安定そうな飛行をしている。
「あれ意味あるのかな?」
「え?大陸軍様はあれ使って大戦果だってよ、内地では称える歌までできたらしいぜ、採用されたらウチも大海軍国だな!」
「そんなわけないだろ、我が国はいまだにブラウン管現役だぜ?」
「ハハハ」
「ハハハ」
そんなわけで攻撃は開始されるのだった。
オブシウス帝国海軍 第21任務艦隊
旗艦戦艦グラニット 艦橋
横に士官が立ち、質問に答えている。
「本国はなんといっている?」
「はっ、えー引き続き任務を実行せよ、敵対するものは無条件で攻撃してもかまわない。とのことです。」
「フム.....」
「艦長、司令、緊急事態です」
突然、電測員の士官が艦橋に上がってくる。
何か深刻な顔をしている。
「どうした?」
艦長が問う。
「レーダーで多数の艦船を確認、ボトフ付近です、方位010、ざっと見て20隻ほどの艦船らしき影を確認。」
「司令閣下、敵だとすれば大変なことになりますぞ、今我が国の陸軍はボトフに上陸して日は浅い....」
艦長が司令に提言する。
「うーん。一様偵察の機を2機発艦させて、様子を探ろう、念のため、反転してボトフに戻ることにしよう、いいな?」
『了解!』
『おも~か~じ』
『おもーかーじ』
『もどーせー』
『舵中央』
『20度よーそろー』
『両舷前進強速』
操舵手が復唱して、戦艦グリンストン、空母クリドライト等艦隊は一斉に進路をほぼ180度変え、ボトフに向かう。
空母クリドライトから2機のヘレマイト型が射出され、ボトフに向かう。
ボトフ基地
オブシウス帝国陸軍建設工兵隊の尽力により、飛行場は増設され、港も使えるようになった。
燃料タンク、レーダーサイト、発電施設も仮設だが、すべてちゃんと近代軍隊を運用できるようになっている。
ここは地下の指令室。ここでは、朝の当番の士官が待機していた。
「ん?あ、はいはい、え?」
当直士官は受話器持ったまま、異変に対して怪訝な顔をする
そこに部隊の司令官が入ってくる。
「どうしたんだ?」
「はっ、1番と3番レーダーが使用不可になったと連絡が.....」
「物理的な故障かもしれん、電源を切って再起動してみるように伝えろ。」
「マニュアルは全部試したらしいですが.....」
司令官はコーヒーの入ったカップを近くに置いて、考え始める。
「うーん、工兵隊に連絡して、修理してもらうよう頼むか...」
攻撃隊
『妨害装置正常作動中』
「うむ、あれが敵だな、攻撃開始!」
懸架していたKh-31や、ATS-3型空対地ミサイルは一斉に敵レーダーサイトおよび戦略目標めがけて飛んでいく。
基地司令所
「まだ復旧せんのか?」
「はっ、まだまだのようです。」
1番と3番に続いてレーダーはなんとすべて使えなくなってしまった。
2つならまだしも、一斉に17基のレーダーが使えなくなる故障など、あり得るはずはない。
脂汗が額を濡らしてゆく、謎の心配が心を揺さぶる。
ドォーン
部屋の中の士官は、一斉に音のした方、右斜めを向く、
「なにがあった!」
「わかりません!」
「うわっ!」
ドドドーン
地下にあり、頑丈なコンクリートでできたはずの地下施設が揺れる。
マグカップは床に落ち、破片とともに茶色いシミを床に作る。
「全レーダーサイトと連絡が取れません!」
もう言わなくてもみな、何があったのかわかる。
敵襲だ。
と、なれば司令官が出すべき指示はただ一つ。
「戦闘配置!!!!」
サイレンが鳴り響き、兵士たちは一斉に銃座や対空砲に取り付く。
しかし、レーダーが故障しているうえに、霧が出始めた。
なので、目視で攻撃してきたほうに砲を向けて、当たることを願って打つしかない。
薬莢が排出される音が激しくなる。
「レーダーサイトが破壊されています。霧が出てきたようなので目視射撃もできません。」
「困ったな.....」
ドカーン
しかしそこに連絡が入る。
「司令!!入電!第21任務艦隊からです!」
「何?読み上げよ」
「はっ、『我、増援に向かう』とのことです!」
「おお!なら第21任務艦隊が来るまで戦お....」
バァン!
バツン!と電気が消えた。
「連絡がとれません!応答せよ!」
「電話交換施設が着弾して破壊されたようです。」
すぐに発電機が作動して、部屋は明るさを取り戻した。
敵は、我々のまず目を奪い、その次に耳を奪った。
つまり、現代戦を完全に理解している。
ヤマートごときにできることではない。そのことが司令の恐怖心をより一層大きくする。
「はっ!」
まさか、“あああ帝国”!?
そういえば、報告書で、ヤハラート敗北の際、まずレーダーからその能力を奪っていき、そののちに大兵力が上陸してきたとある。
と、なるならば、次は大量の上陸用舟艇ではないかという結論になる。
「通信復活しました!」
「よし、対空戦闘は止め、上陸してくるかもしれない後続部隊に警戒せよ!飛行場の様子は?」
「無傷です。」
「ならば航空隊は直ちに出撃、上空にて待機!敵が来たら迎撃させろ!」
「了解!」




