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あああ帝国 帝都アアアシティー 大帝国宮殿 執務室
静かな午後、豪華に建設された宮殿の廊下には日光が暖かく差し込み、規則的なまだら模様をベルベットの絨毯に落とす。
ここは一般人立ち入り禁止の区域なので、静かで侍女や召使がたまに行き来する程度しか物音はない。
そこを1人のある正装をした男がどんどん歩く。
やがて一番奥の部屋の前につく。
そこにはドアを挟んで2人。黒いマントに長いサーベル、士官用帽子を着用した2名、皇帝親衛隊員だ。
「話は陛下よりお伺いしております、ようこそ、ヤロスラフ・アアアプキン副総理。」
彼らは入念に身体検査を.....
行わなかった。身分証の検査すらせず、金属探知機を体に当てただけで、すぐに敬礼の姿をとった。
なぜなら、ここに入ることのできる時点で2重の検査を受けている。怪しいものではない。
なのでここの皇帝親衛隊員は警備のため侍っているというよりはむしろ儀礼的な意味のほうが有線であ
コンコンコン
重厚な樫の扉の前にたち、3回ノックする。
すでに来ることは通達済み、てか呼ばれたのだ。
「もうすぐアアアプキンめが訪問する時刻ですね。」
アアオールは左腕の腕時計に目をやり、自身の仕える主君、アアアーラに予定を報告する。
「フム、もうそろそろ計画は大詰めだな。奴を私の傀儡総理大臣にしたてあげて、この世界、『国祖』様の世界を再び取り戻すのだ!」
コンコンコン
ガチャ
「ヤロスラフ・アアアプキンでございます。陛下への拝謁、光栄で御座います。」
「うむ、まあそこに座れ。」
「アアアスキーめはどうか?」
「はい、死にはしなかったようです。殺し損ねた帝政派議員は我々で処分しました。」
「うむ、作戦は半分成功といったところか...うむ、ではそろそろ次の段階に進めてくれ、『アアアスキーを逮捕せよ。』」
「わかりました。陛下の計画に国祖のかごのあらんことをお祈りしております。」
「しっかりやってくれ、我々はこの世界の支配者であるべきなのだから。」
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5月17日 早朝 ラレアル王国 ボトフ地方
オブシウス帝国陸軍第20、21装甲擲弾兵師団、独立55砲兵旅団の計3万5000人、戦闘車両1000両、火砲680門は、数十隻の輸送艦に分乗し、タンカー、空母やその護衛の艦船を伴って、無人のボトフ地方に上陸、港湾施設及び軍事施設を手中に収めた。
もともと戦争に参加することを認めていなかったラレアル王国は、戦うことを余儀なくされた。
しかし、ワイバーンすらない国が勝てるわけもなく、あっけなく首都まで制圧された。
これで、ルミニア大陸北部および西部に戦線が形成され、大戦はいよいよ混沌を極めていった。
キュウシュウ州 司令部
「衛星写真の偵察でいよいよオブシウス帝国が新たな戦線を構築し始めたことがわ.....」
ついに業を煮やしたあああ帝国戦略ミサイル軍幹部が思いっきり机をたたいて発言する。
「ええい!いつまで雑魚の異世界人どもに融和政策だの穏便にとかやっているんだ!いいかげんにしろ!もういい!私の権限で異世界人どもの国を蹂躙して二度とぺんぺん草も生えないような地獄に変えてやるわ!!」
発言の途中ですごい剣幕でえげつないことを言われたので、参謀将校はドン引き。周りの空気は氷のようになる。
ドダン!バタン!
将校はいきなり出て行ってしまった。
『お前たちっ!やめんか!私は人民と帝国に仇なす敵を....』
『閣下!今一度思いとどまりください!そんなことをしては我が国も無事ではすみませんぞ!』
『うるさい!黙れ!上官反逆罪で軍法会議に...ちよっ!やめろ!』
『あー暴れないで!あー』
ドアの外ではすったもんだが行われているらしく、騒ぎ声が聞こえてくる。
「....えーまあそうゆうわけです。」
「どうしたものか....」
「例の新基地からは遠いしなあ」
「本国から軍を回航しようにも2週間はかかる...」
「ヤハラート半島のヤマートや異世界連合を輸送船で運んで、海軍はヤマート海軍に護衛させてはどうだろう?」
「賛成。」
「空母はヤマートの4隻と、我が国の1隻でいいだろう。」
と、言うわけでヤハラート半島の軍をボトフに向けることとなった。
兵士や戦車を満載した輸送船30隻、空母5隻、防護巡洋艦8隻の艦隊はヤハラート半島を出港した。
ヤハラート半島北方200km 輸送船 船室
電灯の灯る船室の丸い窓からは夜の暗闇しか見えない。
まるで黒い紙を貼っているようである。
兵士たちはだだっ広い船室で背嚢を枕にして寝るように指示されていた。
船の最上甲板に上る階段
「あーほんと帰りたいよ、またどっかに連れて行かされるんだろ?」
かれはヤマート兵のヤマダである。
久々の登場。
「ああ、まったくだ。しかも今度はだいぶ強そうなやつらとご対面することになる。」
「変に信用されてるのも困るなあ」
かれはアオキである。
彼らは、寝ろと指示されていたが、戦場に赴く船の上で寝れるわけがない。
2人はやがて上の甲板に出る鉄のドアを開けて、最上甲板に出る。
「うわっ!」
2人を強いかぜが襲う。
それもそのはず、ここは陸から数百キロは離れている。海の上。
見渡すと、2人だけではなく数十人ほどはここにいる。
アオキは、2人だけではないと知り、安心する。
「ふう、外の空気は新鮮だ。あんな狭いところにいちゃあ、ろくに戦えないよなあ」
「うん、あ、隊長だ」
視線の先には彼らの隊長、百戦錬磨のあの隊長である。
彼らがそういったと同時にこちらに気づいたようで、こちらを向いている。
「おう、奇遇だな。」
ヤマダとアオキは、敬礼をする。
「ふはは、今はそんなことしなくても大丈夫だよ。」
隊長は、常につけている鉄帽をとっており、非常にレアな光景である。
隊長は手に持っていたタバコを咥え、マッチを欄干でこすって火をつけ、手で覆いながら先端にもっていく。
暗がりでタバコの先端が赤くひかり、白い煙が隊長の口から噴出される。
「む?お前たちも吸うか?」
「いえ、遠慮しておきます。」
........................
「おい、あれを見てみろ、」
「ん?」
2人は隊長が顎でしゃくった先を目を凝らしてみる。
そこには2人は初めて見るであろう、エトランゼ級航空母艦の姿が見えた。
「?変な船だなあ」
「なんの船だろう?」
「我が国の同盟国、あああ帝国が建造したらしい。まったく、自国も戦争をして、かつ他国への物資も輸出できるなんて、とんだ大国だな。」
「へぇーあれが航空母艦かあ」
エトランゼ級は、誇らしげに自身のレシプロ蒸気機関から吐き出される真っ黒い煙を外に放出している。
「次の戦いは、どうなるんですか?」
アオキが聞く。
「.....わからない。ただ、次は敵の主力級だ、前回の植民地警備軍とはわけが違う、装備も、練度も数もすべて違うと通達があった。」
隊長は海の方、敵の方を向きなおす。
「まあ、なんとかなるさ、今までどうにかなったんだから。」
しばらく静寂があたりを包む。
暖かい潮の臭いを含んだ風が
彼らを包む。
双月の光が、欄干に備え付けられたエリコン機関銃の銃身に反射してギラギラと輝く。
夜は更けようとしていた。
3日後 攻撃の日
エトランゼ級含め、輸送船団はボトフ沖25kmに停泊、上陸用舟艇に分乗して...
となるのだが、今回は違う。
作戦開始時刻に、グレートアアアウス級航空母艦より発艦した対地装備のAA-33艦上戦闘機艦載機25機で、地上レーダー基地や対空、沿岸砲、通信施設などに攻撃のあと、エトランゼ級から発艦した200機余りの戦闘機がオブシウス機と交戦中に上陸という流れであった。
記念すべきヤマート海軍航空隊の初実戦であるのと、精鋭扱いのヤハラート生き残りを捨て駒とするのは長く見て損であるという上層部の判断である。
少しでも経験のある集団は、雑魚ばっかの多国籍軍では貴重な存在なのである。
作戦の前の日
あああ帝国の空母 戦闘艦橋(CIC)
これは、2番艦なので、いつものやつとは違うのである。
「司令部より航空写真が届きました。」
「ん、そこに映してくれ」
艦長は、箱のような、しかし箱にしてはやけに高級な箱を顎でしゃくる。
真ん中に置かれた大きな箱、このグレートアアアウス6世に搭載された新設備『平面表示装置』。
表面はガラスで、、ここに仕込まれたブラウン管の映像をミラーとかを組み合わせて、画像やレーダーの画面、さらには無人機の映像などを映し出せるようになっている。
あああ帝国レベルでは最新鋭の技術であるが、西側諸国ではカスみたいな化石技術である。
そしてたちまち関係のある士官は寄ってきて、議論を始める。
「どれ....」
横で兵士がつまみをいじったり仕込まれているランプの明度を変えたりして皆が見やすいように調整する。
「おお、これだな、敵には気づかれてないようだな、うむ、やはりスコール雲に隠れてここまで来た甲斐はあったようだな。」
「偵察機も来てません、完全な奇襲ですね」
「とにかくしっかりやってもらおう。」
翌日作戦決行の朝 航空管制室の下 ブリーフィングルーム
ここはパイロットが待機する場所である。
冷蔵庫、椅子などが設置され、快適になっている。
「よーし、皆、今から作戦の概要を解説するから集まってくれー」
海軍第4飛行隊隊長は、皆を集めて、会議をする。
ここにも平面表示装置、小型の物が設置されている。
新鋭艦ならではと言える。
「敵の主要施設はこれと...これだ。まずはレーダーおよび変電設備。またこれと思わしきものをつぶすぞ。敵の対空砲などは後回しだ。」
隊長は続ける。
「そして二次攻撃隊は、この沿岸部の陣地と、飛行場を破壊しろ、一次攻撃は電撃的に行われる。指揮系統は混乱し、敵は全く抵抗できないはず、そこに、悠々と上陸というわけだ。」
ガガッ....
『一次攻撃隊、発艦準備を開始せよ』
放送が流れる。
「よし、やるぞ!」
1次攻撃隊の隊員たちは部屋をでて、飛行甲板へ上るタラップをかけていった。




