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オブシウス帝国 首都オブシディアン 合同庁舎ヘキサゴン 第二会議室
ここでは、これからあああ帝国に対する緊急会議が開催されようとしていた。
集まったのは
陸軍大臣
海軍大臣マンフレート・フォン・ローゼン
空軍大臣
異界省大臣クリスチャン・デ・ミューヴィセン
第一局(第1世界担当)局長のニルス・ヴィルケ・フィルスマイアー
「今日は緊急の会議です。わが国が遂行中の聖戦の計画が根本から覆って再立案が必要なほどの新事実が発覚したのです。」
ローゼンはそう御名に呼びかけると、みなそんなの知っているといわんばかりの顔をした。
「それがどうやら違うようです。結論から言います。あれはたった1艦を除いてみな海の藻屑となったのです。たった1隻の潜水艦によって。」
そんな馬鹿な!
ありえない!
そんな声が聞こえるがローゼンは構わずに話続ける。
「まあ資料があればわかると思います。ご覧ください、きみ、アレを配り給え。」
部下が冊子を配る。
それにはあああ帝国についてとタイプライターで書かれていた。
あああ帝国?
あの辺鄙な国がどうかしたのか?
「はい、まずは唯一生き残った巡洋艦クラスティクです。これの写真が1ページ目に乗っているので見てください。」
それは乾ドックで撮影されたモノクロ写真で、右舷主砲付近に大きな穴が開いていた。
「これは魚雷による攻撃と思われます。しかも砲術長からの聞き取り調査では雷速は300キレーを超えていたとのこと。」
陸軍大臣が海軍は幻をみているのか?そんな魚雷あるわけないだろうという。
「しかしそうでもしないとこのクラスティクを過貫通することはできません。専門家によるとこれくらいの速度でやっととのこと。しかもある乗組員によると海面から何かが勢いよく飛び出して一目散に目標へとんでいったとのこと。つまり、敵は潜水艦から誘導弾で攻撃したと考えられます。」
ローゼンは続ける。
「誘導弾はすでにわが国でも試作型が完成しております。敵の誘導弾の性能は不明です。わが国でも近いうちの実戦投入が求められます。」
「そしてこれを御覧ください。これは我が国近海で撮影された画像です。おそらく敵の潜水艦と思わしき艦影です。」
「彼らは時々浮上し、堂々と電波で通信してはまた海中に潜っていきます。機雷を投下したりしましたが効果は全くありません。ソナーでもスクリュー音すら探知できませんでした。」
陸軍大臣が発言する。
「我が陸軍としてはこれは海軍の責任ではないか?」
「海軍としてはこれに強い遺憾を感じます。兵器局にはすでに航空母艦および艦艇の増産を命じています。」
でまあ会議終わり
ヤマート共和国 キュウシュウ州
「では作戦会議を開始する」
多国籍軍最高司令官アアアチョフ大将が、そう呼び掛けて会議が開始する。
周りには、帝国軍の各軍の幹部たちが座っている。
ある若手陸軍将校が緊張した顔で手をあげて発言を求める。
「うむ、話してくれ」
「はい、私は正直に言ってこれらの作戦のする意味があるのか分かりません、無駄に人民の血税とや弾薬、兵士を浪費しているようにしか感じられないのです。」
「ほう、と言うと?」
胸に勲章をじゃらじゃら付けた白髪の混じる海軍将校が煙草を灰皿に押し付けながらそう問いかける。
「オブシウス帝国は、我が国の本土から2万キロ程度しか離れていません。率直に言って、我が国が本気を出せば彼らの本土を直接的に焦土化できるでしょう、なぜそのような手段を取らず、このような遠回りな手法を取るのですか?」
「私にはまるで我が国が大規模な『軍事演習』を行っているとしか思えないのです。」
会議に招かれていたヤマート共和国軍技術本部のタナカ少佐は、自国の兵器や自国の常識では考えられないようなことだったのでどんな兵器なのだろうかと思考を巡らす。
若手陸軍将校は伝えたいことを言い切ったと見え、ほっとした顔をする。
アアアチョフ大将は、すこししたあとに、
「戦術核兵器以外の使用は一切認めない。」
若手将校は、驚き反論する。
「なぜです!?この手法なら経済的で損害も少なく済みます!」
「仮にオブシウス帝国が撃墜能力を持っていたとしたら?もっと強い兵器を所有していたら?それに異世界人を無闇に殺傷するなと言うのが先帝の御意向だ。それとも君は誇り高き帝国軍に、先帝の御言葉に背けとでも?」
「そんなことは‥」
若手は言葉に詰まり、引き下がる。
「ということだ、理解してくれ。総合基地の建設はどうか?」
アアアチョフ大将がそういうと、横に控えた参謀将校が一礼して解説し始める
「はい、えー整備用のドックがまだ完成してないようですが、本国の駐屯地にひけを取らないレベルでは完成してきたようです。特にこの5000m級滑走路は将来的なオブシウス本土空襲も視野にいれたものですので、E-5戦略爆撃機の運用が可能です。しかしヤマート人夫たちはよく働いてくれましたね。」
「なるほど、これはすごい!」
幹部たちは配布されたプリントにのせられた滑走路の写真をぜっさんした。
タナカ少佐は、それをみてこんなに綺麗な写真をとって配る事ができることそのものに驚いていた。
彼はせんりゃくばくげききとやらに思いを馳せる。
まえに配られたあああ帝国兵器目録のデルタ型の主翼の飛行機のカラー写真を想像し、それが飛行するのを想像する。
それは正確にはMiG-21であり、戦略爆撃機では全くないのだが知るよしもないしそれを訂正するものもまた居ない。
「で、オブシウスの作戦も本格的に始まったようだな。」
「はい、彼らは中央聖魔導帝国に本格的な戦車師団で攻めこんだようです。だいぶ周到に大規模な機甲戦力を用意したようです。」
「しかしこの辺りでゲリラの反撃を受けて補給が途絶えて進軍が一週間ほど止まっています。」
参謀はホワイトボードの地図で指し棒を使って解説する。
「うむ、我が国も負けていられない。そろそろ我が帝国陸軍の花形の機甲師団を出動させなくてはならないな。」
ここで陸軍の幹部はみな誇らしげな顔を特に海軍の幹部に対してする。
「よし、総合基地の初陣だ、直ちに出動してオブシウスを蹴散らせ。」
「海の方はどうか?」
「はい、この北部の港から空母5隻、戦艦11隻、その他艦艇からなる大艦隊が出動した模様、と衛星からの情報です。じきに総合基地のレーダーでも確認できるかと。」
「ふむ、第二機動艦隊の派遣を命じる。なんとしてもヤマートを守り抜くのだ!」
「了解。しかし‥」
「どうした?」
「オブシウス帝国とコンタクトが一切とれないのは困ります。降伏の合図なども違うでしょうからね。」
「なら外務省に頼んでどうにかしてもらえ!」
「了解」
あとは適当にいろいろ話して会議終了。
ヤハラート半島 北部
北部にはゴムや錫などの資源を輸出するための港があり、そこに逃がした戦艦とか空母が大破したまま係留されていた。
あああ帝国はこれを改造して自国の艦艇として使うことを目論んでおり、それをとりあえず調査して本国にファクシミリで送信せよとの指示が在トンキンあああ大使館に下された指示だった。
そこらへんヤハラート戦の話はまだかけていないしなんか変になったので割愛する。しかし飛ばす訳ではない。読者諸君に悪しからず伝えておく。
オブシウス帝国領ルミニア公国 首都ルミニア
総督府 司令室
「第三方面軍は、なかなかメガラオテニアには近づけないようですね。補給が途絶えてます。ゲリラが原因ですね。しかしこれはじきに解消されそうです。しかし不可解な点が...」
「ん?言ってみろ。」
第3方面軍総司令官の、バート・フォン・リヒツェンハイン大将はそう呼びかける。
「はい、ヤハラート半島と連絡が取れないのです。」
「ほう?通信障害か?あそことはかなり離れてるからな、減衰するんだろう。まあ技術的限界だ。仕方ない。」
「これからは連絡機で連絡を取ればよい。それと本国はなにか言っているか?」
「はい、あああ帝国に警戒せよと言っています。それも...かなり本気ですね、新型の戦闘機の先行量産型を200機、新型のテルニウム型爆撃機を送るといっています。」
「あああ?あ、確か報告書にあったな。大したことないとか言っていたが。どうなんだろうな?」
「」
「わかりません、とりあえず明日はいよいよ第一次攻撃艦隊の出撃日ですね。第4艦隊消滅の件は.....ん?全滅?攻撃元不明?」
そのころ 飛行場
一機のマグネタイト型が飛行していた。
なんだろう?
整備士や飛行兵たちは不思議に思う。
とにかく友軍機なので着陸させると、パイロットが疲労困憊した様子で、
「ヤ、ヤハラート半島、陥落!」
とだけ伝えて息絶えた。
なぜだ?どうしたんだ?
そんなことがあり得るわけがない。
疑問に思った基地指揮官は、ヤハラートに対して無線で呼びかけたが、返答がない。
仕方がないので偵察機を3機派遣し、ヤハラート半島を調査したところ、ヤマートと見知らぬ国の国旗が掲げられているのを発見した、しかも3機中戻ってきたのはわずか1機のみで、その搭乗員曰く『化け物が飛んできて僚機を1発で撃墜した。レーダーでも探知できなかった。』
といったので、大急ぎでその情報は上に伝えられた。
「な、なんということだ!」
バート・フォン・リヒツェンハイン大将は驚き何度も空撮写真を見返す。
そこには掲げられているはずのオブシウス旗ではなく見知らぬ国旗が掲げられていた。
幻でも見ているのではないかと思った。




