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ドォーン ドォーン
10キロくらい先で水柱が少しあがって、硝煙の臭いが消える。
「どうだ!?あ...」
「敵は無傷です!」
「我が方の砲は、敵に届きません!」
「むう、我が国最新鋭の新型砲でも届かぬとは...」
「よし、次弾装填!」
空母
艦橋からアアルガチェフ艦長は、双眼鏡を覗きこんでいた。
台場のようなところに並べられた大砲から黒い煙が上がったと思えば、数秒してドーンという音が聞こえてきた。
「あっ、撃ってきたぞ。挑発に乗ったみたいだ。」
「なんか脅してるみたいでいやですね艦長。」
彼は副長だ。彼も双眼鏡で覗いている。
「やっぱり外交には戦艦を持ってくるべきだったのに。」
「第一艦隊に断られちゃったんですからしょうがないですよ。あっ、また撃った。」
「これじゃあ一方的に侵略しに来たみたいじゃないか。よおし、そっちがその気なら『文明』でも見せつけてやるか、艦載機発艦ようい!」
すぐさま指示は飛行甲板に伝えられ、3機編隊のAA-33が空に舞い上がる。
「まあこれでなんとかなるでしょう。」
垂直尾翼に赤のストライプ模様。そして黄色で縁取りされた青い星を主翼に翻す3機の航空機は、制空権を失い、美しい町並みは消え去り、廃墟と化したメガラオテニアを堂々と飛行する。
「うわあ敵だ!」
「逃げろ!」
「お前たち待て!持ち場を離れるな!」
ベルナール・ド・カドゥールは、必死に叫ぶが、みなパニックで、一目散に高台に逃げていく。
「ええいこうなったら私が行く!」
「隊長無茶です!やめてください!」
「離せ!」
すると、1人の部下が、何かを発見したようだ。
「あっ!隊長!1隻の小型船が接近してきます!」
ベルナールは、部下から魔導望遠鏡をひったくって、覗く。
「ん?どれどれ....ん?1隻だな。大砲の類は...なさそうだ。」
「見慣れない国旗だ。新興国...にしては船が大きすぎる。」
「とりあえず行くぞ。誰か、宮殿に連絡して外務卿あたりを呼んで来い。客人のお出ましだと。」
1騎の馬は、宮殿に向かってかけていった。
「よおし、10名ほど、ついてこい。」
船は、砂浜に停泊した。
ベルナールは、杖を手に取り、『ブレード』の魔法のスペルを唱える。
たちまち木製の杖は硬化し、剣と化す。
ほかの部下もそれに倣う。
それ以外の隊員は平民のため、マスケット銃を担いで、上陸した客人を出迎えに行く。
その船の乗組員たちは、水兵風の人物数名と、ヤマート服の3名。うち1人はヤマート人の風貌をしており、おそらく通訳だろう。
そいつらに隊員がマスケット銃の銃口を突きつけ、そのまま話す。
「そこの者、所属と来訪理由は!」
彼らは少し話し合った後、ヤマート人らしき人物が話す。
「我々はあああ帝国の者です。我々は貴国と国交締結の意思があります。敵対する気はありません。」
あああ帝国、月に一度ヤマート大使館に提出させている第三世界の動向の書類にそんなことが記載されていた。
もっともそのヤマート大使館は爆撃の1日前に尻尾巻いてご自慢の飛行機械で本国へ帰還したが。
とりあえず隊員たちが銃を下す。
「わかりました....まあとりあえず係りの者が来るまでお待ちください。」
メガラオテニア 行政府
宮殿と瓜二つの外装に内装。
これに、これまたすごい服装の外務卿に連れられて、廊下を行くあああ帝国一行は驚嘆する。
「アアアドフさんすごいですねここ。」
「こんなとこで落ち着いて仕事できるのかな。まあなれるんだろうけど。」
「(ふふふ、第三世界の非文明人どもめ、驚いているぞ。)」
外務卿は、言葉は分からないがそう思い込む。
やがて部屋に通され、そこに着席した。
部屋は香木がたかれ、いい香りが漂う。
まあ通訳が正確に言えばいたのだがめんどいので省略して書く。
「と、言うわけで、国交締結はいいでしょう。しかし、ほかにも要件があるようで?」
外務卿は、問う。
「はい。具体的に言えば、領土を割譲してほしいのです。」
!!!
こいつは何を言い出すんだ。
「ど、どうゆうことで?」
「はい、貴国の北西部海岸付近には、何にもない平野がありますね、ほら、この辺です。そこを割譲してほしいのです。」
外務卿は驚いた。なぜなら国禁の品であるはずの地図を第三世界の無名国家が所有しているなんてありえない。
「それは!....無理です!大王様の裁可がいります!」
「では早く裁可をもらってください。」
外務卿は、対応に困る。
どうすればいいのか。世界最強の中央聖魔導帝国にこんな要求をしたような国はない。
「そ、それで具体的にどのように使われるのですか?」
「はい。ここに我が国の軍艦の補給基地と飛行場を作ります。そして、その付近のオブシウスをたたくことが我が国の目標です。そのためには貴国に我が国の基地がどうしてもいる。」
「どうか、ご理解いただきたい。」
アアアドフは、お願いする。
外務卿は、備え付けの電話で、大王に裁可をもらうことにした。
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「お前は正気か?あんな外交官適当にあしらえばいいだろう!」
ボナパルトは、電話口で怒鳴る。
「しかし大王様。わが国に一戦交わえるような戦力はございません。海上戦力も、すべてオブシウスに破壊されました!」
「わかった。もう煮るなり焼くなりすきにせよと伝えよ。」
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「許可が下りました。どうとでもお使いください。あ、ただ、近隣の農民たちは徴用してはなりませんぞ。」
「わかりました。ではさっそく建設作業に入らせていただきます。作業に関しては我々でやりますので。」
ヤマートですらたくさんの人と胡散臭い煙を吐く機械で3か月かけて建設したのだ。第三世界の非文明人にできるはずがない。
外務卿は、適当に思いこむ。
アアアドフとその部下と通訳は立ち上がって、
「では失礼します。あ、これ国書です。」
「最後にもう一件。わが国は平和を愛する国家です。できれば武力を行使することは避けたいので、深く考えてから行動してくださいよ。」
彼らは出ていった。
「ムキーッあんな奴らに,....ムキーッ」
外務卿は、怒り狂い、机をなげて紙を破り捨てて、発狂した。




