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キュウシュウ州 司令部
司令達は、各軍の幹部とともに緊急会議を行っていた。
「えーまずは被害状況ですが、あああ帝国海軍主力は、ほぼすべてここキュウシュウ州にて補給中だったため、ほぼ無傷とのこと。」
「そしてトンキン、こちらは大損害を被ったようです。在ヤマート帝国大使館員は無事だそうです。」
「ふむ、敵の攻撃の解析は?」
「はい、残骸の解析の結果、どうやら初歩的な誘導方式の液体燃料ロケットを攻撃に使用したようです。詳しいことは、残骸が少ないのとここの設備では解析しきれません。本国に輸送しないことには....」
「どこから発射されたのかはわかるか?」
海軍の幹部が質問する。
「は、それは、だいたいここ、この辺だそうです。」
参謀は航空写真をもとに作った地図(機密)を棒で指す。
「ん?ここは?」
「はい、中央聖魔導帝国の国内です。彼らは、どうやら侵攻を受け、ここまで占領されたようです。」
幹部たちは、どよめく。
「そ、そんなところから!?」
「奴らの科学力はどうなっているんだ!」
「そして驚くことはもう一つあります。これをご覧ください。」
1メートル四方の航空写真が、展示される。
「こ、これは!」
「なんて数だ!」
「敵はどうやらこれだけの数を集めて、本格的な侵攻作戦を実行しようとしているようですね。」
「直ちに本国より、第14、16機甲師団を呼びつけて、反撃に当たれ、中央聖魔導帝国との国交は?」
「まったくありませんね。」
「なら外交官をはけんしろ!」
「了解。」
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4日後、シレドア海 グレートアアアヌス級航空母艦 2番艦 グレートアアアヌス4世
「と、言うわけで、また僕が行かないといけないんだなあ。」
「でもいいじゃないですか、アアアドフさん。給料上がったんでしょ?」
「いや勤務内容がハードなら大して変わんないよ。まったく、上は命令するだけなんだから現地にいくやつのこともかんがえてほしいなあ。」
グレートアアアウス4世の貴賓室で談話している彼らは、1話からの古参であるアレクサンドル・アアアドフ。その部下の名前忘れたやつである。
丸い窓の外には、美しいシレドア海が見えている。
「あーもうそろそろかな。」
「艦橋に行ってみるか。」
2人は艦内をついでに散策する。
「それにしても、我が国はこんなにでかい船を建造したのだなあ。」
「へぇーすごい。」
2人は、初めて見る艦内に興味深々である。
「お疲れ様であります。外交官殿!」
たくさんの士官兵員が、2人に敬礼して、挨拶をし、2人はそれにこたえる。
艦橋
「両舷前進強速!」
「りょうげんぜんしんきょうそーく、ようそろー!」
艦長ハッサン・アアルガチェフは、操舵手に指示する。
「ん?これはこれはアアアドフ殿。お久しぶりですな。」
「これはこれはハッサン・アアルガチェフ艦長。」
「しかしこの艦は広い。さっきこの上の部屋に入ると、皆からにらまれましたよ。ハハハ」
「上は航空管制室ですからな。皆ピリピリしておるのですよ。」
「ところであとどのくらいですか?」
「はいはい、このままの速度で行くと、あと数時間といったところですな。」
「なるほど、では頼みました.....」
キィーィィィィィィン ゴォォォォォォォォ
2人は、思わず窓の外の飛行甲板上のAA-33艦上戦闘機の発艦に釘付けになる。
「はっはっは、どうです?これから発艦でも見ていかれては?」
アアアドフは頷く。
「そうさせていただきましょうか。」
飛行甲板
キィィィィィン,.......
「うわーっすごい音だ!」
アアアドフは、艦橋のバルコニー的なところで、艦長とともに発艦を見守ることにした。
甲板はすごい風が吹いており、蒸気カタパルトの煙がたなびく。
「あ、アアアドフさん、あそこ!」
「ん?」
AA-33を載せたエレベータの床が格納庫よりせりあがってきて、飛行甲板の所で止まると、牽引車がその戦闘機を引っ張って、カタパルトの所まで持ってきたと思えば、たくさんの係の兵士が寄ってきて、機体にミサイルやその他の類を確認する。
「お?もうそろそろですかね?」
ジェット・ブラスト・ディフレクターが甲板から立ち上がり、ジェットエンジンの轟音がより大きくなる。
やがて発艦を指示するランプが点灯すると、飛行機は轟音とともに飛び立っていった。
3人をカタパルトからの蒸気が包み込む。
「す、すごい...」
「映像では見たことあるけどこれは...」
「そうでしょうそうでしょう。これもわれわれの猛訓練の成果です!」
艦長は、胸を張って2人に話す。
数時間後
「艦長、まもなく中央聖魔導帝国付近ですが、どうされます?」
部下が艦長に報告する。
「うーん、どうしたものかなあ?」
「我々が短艇で沿岸へ上陸して、通訳殿と一緒に中央聖魔導帝国首都に送ってもらうのはどうです?」
「それは危険です!やはり首都まで近づいてこの艦隊を見せつけた方が交渉は有利に進むのでは?」
「そうですね、ではよろしくお願いいたします。」
メガラオテニア
「おーいそっち持ち上げろー」
「せーのっ、よっ、」
3人余りの青年が、照り付ける太陽の元、大きな建物の残骸を持ち上げてどかす。
「うへぇ、まったく嫌な仕事だぜ。」
瓦礫の下には、横たわる4つの屍。
おそらく、一家四人で逃げ遅れ、このようになったのだろう。
「まったく、戦争は地獄だぜ」
「おい、そっちもてよ」
「そっちもってー」
「はいよ」
「よいしょっと」
馬車の荷台に、その屍を載せる。
「おい、もうそろそろ休憩しろよ。」
「わかった。」
青年は、休憩に向かった。
『なんだあれ!』
『オブシウスか?』
『お役人に通報しろ!』
「あ、あれは!」
青年の目の前の沖には、見たこともない船が3隻ばかり。
市民は、ただでさえ空襲でセンシティブになっていたところに、沖にこんなのが現れたせいで、もうパニックである。
「どけどけ!道を開けろ!」
10騎くらいの馬に乗った魔導師たちが、見物しようとごった返す街道を一目散に海に向かってかけていく。
メガラオテニア 台場
「第三砲台、配置完了。いつでも打てます。」
守備隊隊長の、ベルナール・ド・カドゥールは、魔導望遠鏡でグレートアアアウス級を見ながら、部下の報告を受けた。
勿論2人は、豪華で煌びやかな鎧をまとい、金箔が張られた杖を腰から下げている。
「うむ、引き続き命令を待て。」
「はっ」
「(うーむ、どうしたものか.....)」
「あっ!」
沖合の軍艦が、いきなり発砲しだした。
「奴らは敵だな!砲撃準備!」
訓練された砲台の兵士たちは、慣れた手つきで砲撃の準備をする。
ここに配備されている『新型砲』は、実に200門ばかりで、新たに開発され、木造戦列艦を貫き、内部で炸裂する『榴弾』が装填される。
「てぇっ!」
ドォーン
ズドーン
轟音とともに、黒色火薬の煙と、独特の臭いが周囲を覆い、弾丸が沖合へと飛んでいく。




