表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あああ帝国召喚  作者: あああ
68/104

64

「.....い!おい!」

その声で目が覚めた。

私は何をしていたのだろう。

そしてどこにいるのだろう。そんなことを考えながら瞼を開ける。

しかし何も見えない。目はしっかりとあいているのに、光がないのだ。


前のほうに何か白いものが見えた。

私はそれに近づく。というよりもそれにひきつけられたのである。


人の輪郭のようなものが見え始めたと思った矢先、それがだんだんと見覚えのあるものだとわかった。


「お、お前は!」

すれて破けて、土で汚れくたびれた70年野服。傷だらけの鉄帽。

それは、忘れがたいものだった。

「アアアードじゃないか!」

ありえない。やつは30年前に戦死したはず。現実世界にいるわけが...そうか、ここは死者の世界なのだ。

そんなことを考えているといろいろ思い出してきた。

確か私はあの日、暴漢と武装集団の凶弾の前に倒れたのだった。


そんなことを考えていたら、

「そうゆう思い込みの激しいところはあの頃から変わってないな。安心したぜ。総理大臣さん。」

思考を読み取られた。

「アアアード!ここはどこだ?暗くて寒いが...」

「ああ、お前の考えで大体あってるよ。それよりあん時の借り、まだ返してもらってねえな。いつ返してくれる?」

「お前死んだんだから借りもひったくれもないだろアホ」

「フハハハハハ」

「フハハハハハ」

アアアードは笑う。

私も笑う。

「こうやってお前と一緒にいると、あの頃を思い出すな。お前も出世したなあ」

「お前こそ、太ったんじゃあねえのか?」

「もともとこんな感じだぜ。まったく。あの地獄は最高のダイエットだったからな!」


ジョークを飛ばす。

それで笑う。

あの頃と同じ。毎日駐屯地でこんな会話をしていた。

あの日までは。


「お前たち。仲がいいのは変わらんのだな。」

1人の男が近寄ってくる。

見忘れもしない。分隊長である。

時にはやさしく、そして厳しい。俺たちの隊長だ。

「これはこれは分隊長殿!アアアスキーめが備品を横流ししたので、憲兵に突き出すところでありました!」

「ふはは、これは軍法会議ものだなあ」

「ちょっと隊長~」

隊長は、私のほうを向くと

「活躍は聞いているぞ!総理大臣になったんだってなあ!大出世じゃあないか!」

「いやあ隊長殿の活躍に比べればたいしたことないですよ!」

「フハハハ、その謙遜もあの時とまったくかわっとらん。安心したよ!」

そして隊長は懐から時計を出して答えた。

「もうそろそろ行かないと行けない時間だ。アアアード、いくぞ」

2つの光は、遠ざかっていく。

「待ってください!わたしもご一緒させてください!」

「駄目だ!お前にはまだやらないといけないことがあるはずだ!」

「それが終わるまで、せいぜい現世で過ごすんだな!フハハ」


「じゃあな!またいつか!」


2つの光は収束し、やがて暗闇が支配する世界に戻った。

「あ.....」

もっと話をしたかった。

---------------------------------------

「......理!」

「............総理!」


「はっ!」

目を開けると、そこは病室だった。

周りには医者、そしていろんな人たちがいる。

「よくぞご無事で!」

「ここはアアアシティーですか?」

「そうです!」


「これほどの致命傷を受けて息を吹き返すとは....まさに奇跡としかいいようがありませんな。」

白髪の医者は、脈を取りながら分析する。


「いかなければ!私にはまだ遣り残したことが.....!」

しかし、立ち上がろうとした瞬間!腹部に激痛が走る

「うっ!.......」

思わず顔を下に向け、うずくまってしまう。

「総理、まだ傷口がふさがっていません。少なくとも1ヶ月は入院しないと.....」

「そ、そうか.....」


その後、いろいろ説明を受けたあと、みな出て行った。


1人の病室で、目をつぶってみる。


戦友たちの顔がまじまじと思い出される。

気がつくと、頬には1筋の涙が流れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ