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夜6頃
ヤマート共和国海軍第2艦隊 旗艦シキシマ
第二艦隊はメガラオテニアの南方900kmの地点で訓練を行っていたが、急遽命令がくだり、戦闘に参加することになった。
艦橋では、司令ヨシダが、真っ暗の水平線の向こうをにらみつけていた。
「いいか、この戦での結果が、首都市民の安寧を決定づけるのだ!いいか!一兵卒から将官に至るまで各員全力で最後まで戦うように!よいか!」
「はっ!」
艦長以下数名は、敬礼で答えた。
すると伝声管より見張りから連絡が入った。
「右水平線、艦影およそ12。距離約40キロメアトル」
「艦長、おそらく敵ですな。」
「ああ。そのようだな。」
「まだ射程には程遠い。各員警戒を怠らないように。」
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オブシウス帝国海軍第4艦隊
巡洋艦クラスティク
クラスティクは、艦隊の一番外側を航行していた。
クラスティクのレーダーのブラウン管には、しっかりと航行するヤマート艦艇が映し出されていた。
戦艦バサルト
戦闘指揮所
ここは、戦艦バサルトの特徴であり、頭脳と言っても差し支えない場所であった。
部屋の真ん中には机があり、海図やホワイトボードが置かれてある。
横には通話用のマイクを首から下げたレーダー員、通信員が、レーダーのブラウン管を見つめている。
「司令。もうすぐで首都ですな。」
「すこし足止めを食らったが、まあ妥協の範囲だろう。君たちも夜の戦闘に備えてそろそろ食事をとった方がいいぞ。」
「お気遣いありがとうございます。」
さあみんなで行こうかみたいな空気になったところ、通信が入る。
「司令、こちらに向かって航行する艦船16隻を確認。距離42キレー。おそらくヤマート艦だと思われます。」
「司令、食事はお預けですな。」
艦長ミッタークがそういう。
「よーし、なら奴らも蹴散らすぞ、距離30キレーまで接近!」
「最大戦速!」
機関はうなりをあげ、距離を詰めていく。
「距離30キレー」
「よし、バサルト、ラリアライト、デイサイトの三隻は、レーダー照準射撃を開始せよ。このバサルトに夜戦を挑んだこと。後悔するがいい。」
各艦の艦橋の上についている丸っこくて、両方に筒のようなもの、測距儀が突き出ている方位盤がゆっくり回り、ヤマートの軍艦に狙いをつける。
方位盤の下の部屋の兵士は、測距儀を覗き、方位を下の発令所に伝える。
その向かいでは、Bスコープのレーダーで、距離を測っている兵士が下の発令所に距離を伝える。
「距離28キレー」
「方位123」
その他速度などの情報を、発令所の兵士たちはハンドルを回してアナログコンピューターに入力。出てきた結果を各砲塔に伝え。そのデータの向きに砲塔が回転する。
「準備完了いつでも打てます。」
砲術長がそう言う。
「てっ!」
司令がそう指示する。
ドォオオン ドォオオオンと巨大な35.2センチ砲の音が真っ暗闇に響く。
戦艦キリシマ
「敵艦!発砲!」
艦橋員は一斉にその声に釘づけになる。
「なにっ!」
「この距離でか....」
ヨシダはオブシウス帝国の技術の高さを十分知っていた。しかし、平穏をよそおう。指揮官がおびえると、部下もおびえることを彼は知っていたからである。
ドォオオオン
「装甲巡洋艦アカアア沈没!」
35.2センチ砲弾はいともたやすく178mmの表面硬化鉄鋼に穴をあけ、そこから真っ二つに分かれ、そのまま沈没してしまう。
水柱がその手前に数回あたり、シキシマの艦橋を洗う。
戦艦バサルト 方位盤
Bスコープには、数個の水柱が表示される。
「有効弾1,修正いそげ!」
再び弾が放たれる。
「な、なんと言うことだ.....」
「初弾で挟叉させてくるなんて...」
艦橋員は、敵との絶望的な格差に、恐怖を隠しえなかった。
「各員!ひるむでない!我がヤマート海軍にできないことはな...」
そういっているうちに、今度は装甲巡洋艦2隻、防護巡洋艦1隻に命中。弾薬庫に引火、大爆発を起こし、たちまち海の藻屑となる。
「た、退却だ!逃げろ!」
ヨシダはそう指示する。
しかし砲撃は続く。
今度は寮艦2隻の艦橋にあたり、艦橋員は即死。艦はほかの命中した艦に激突し、燃え始める。
「火災発生!」
「消火しろ!残存艦は乗組員の救助を!」
「もうだめだ!」
ヨシダはそう思った。
その直後、戦艦キリシマにも2発命中。艦尾に大穴があき、機関が動かなくなる。
ドゴオオオオオン
ズドーン
今度は、装甲巡洋艦に当たった。
艦隊はめちゃくちゃになってしまった。
この日、第二艦隊は1発の砲弾も打つことなく壊滅した。




