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中央聖魔導帝国 首都メガラオテニア 宮殿
第二世界や第三世界の王宮とは比べ物にならないほど豪華な内装や外装を持つこの建造物は、世界でも屈指の巨大さを誇り、中央聖魔導帝国の威光を訪問する他国の役人に見せつけている。
この中央世界でも屈指の大国の主である大柄の男、大王ボナパルト11世は、豪華絢爛な部屋のベルベットの椅子に腰かけ、今か今かとその時を待っていた。
内装や調度品の感じに不相応な、部屋にかかっている箱は、ヤマート共和国から輸入した『電話機』という装置である。
ここについているベルがジリリリとなり、ボナパルトを呼び出す。
「大王様、クリムキン公がお呼びです。」
「フハハハハハ、素晴らしい、分かった。すぐ行くとやつに伝えよ。」
ボナパルトは侍従を伴って、外に出て、庭園の隅にある白い建物に入る。
「お前たちはここで待っておれフハハハハハ」
侍従は一礼して下がっていき、1人になる。
ボナパルトは勢いよくドアを開けて中へ入る。
「おお!クリムキン卿、ついに完成したか!」
部屋の中には、5人の技師、そして、瘦せぎすで耳の長い男、身長は180センチほどで、肌は薄く黄色がかっており、シルクハットをかぶり、黒いステッキを持っている。
地球ではいわゆるエルフとか呼ばれている種であり、強い魔力と卓越した技術で人間たちの国を歴史、文化、技術、軍事の面で凌駕している。
「フ....呼び出してから来るまで3分12秒もかかった、もっと早く来いといつも言っているだろう、蛮族の王よ。」
クリムキンは、ブロンズ製の懐中時計を懐から出して答えた。
ボナパルトは答える、
「そのくらいいいじゃないか、それよりついに完成したんだろう?早く披露してくれよ」
真ん中には、白い絹の布がかぶせられたものが鎮座している。
クリムキンはうっとうしそうな顔で、
「それよりここには蛮族が多すぎる、どうにかしろ」
ボナパルトは、人払いを命じ、技師たちは、1人を残してみな出て行った。
「よし、では見せよう。」
クリムキンは勢いよく布を取り出した。
「おお!」
歯車やピストンなどの部品がついた複雑な機械があらわになる。それがボナパルトの知的好奇心を刺激する。
「すばらしい、まさしくお前たちの国の魔導機関だ!」
「わが種族の力をつかえば、この程度のこと容易い。いかに蛮族の力が低いかよくわかる。」
ボナパルトは、魔導機関の周りをくるくる回りながら、
「その蛮族に何度も貴様らの国は侵攻されてたがな」
という。
クリムキンは反論する。
「しかし、何度も我々の祖先に返り討ちにされていたではないか!」
しばらくして、
「それより速く動かしてくれ!」
ボナパルトがそういうと、クリムキンは技師に指示を出す。技師は魔導機関をいじり、稼働させる。
プシュー ギーガッチャンガッチャン
白く少し紫がかった煙が出て、機械は激しく動き始め、取り付けられた車輪を動かす。
「素晴らしい!よくやってくれた!」
ボナパルトはクリムキンをほめる。
「で、要件はなんだ?」
クリムキンは激しく動く魔導機関を前に、淡々と要件をいう。
「我々は北の方角に拡大を続けている。そのためには、たくさんの労働力がいる。蛮族の奴婢10万人でどうだ?」
ボナパルトは嬉しそうに頷いて、
「わかった。直ちに国境へ送ろう。」
「これで私の仕事は終わりだ。また会おう蛮族の王よ。」
「言っておくがこれで我々に立ち向かっても無駄だからな、我々はそれよりもはるかに優れた力を持っているからな。」
ボナパルトは皮肉そうに、
「何度も進行に失敗した蛮族の王の子孫が言う。その心配はない。これは余の趣味のようなものだからな。フハハハハハ」
クリムキンは、用意されていた竜籠に乗って、北の方へ消えていった。
それを確認してから、ボナパルトは部下を呼ぶ。
「今すぐアカデミーに命じて、これを研究させ、例の計画を進めよ!」
「御意」
部下はすぐに去っていった。
「フフフ、これで我が中央聖魔導帝国は永遠に繫栄する!見ておれヤマート!オブシウス!」




