49
ヤハラート市街 付近の空き地
「よし、この辺だ。全員降りろ!」
中隊長が命令し、貨車を降りた歩兵たちは整列する。
「報告!第一小隊欠員なしであります!」
やがて人数の報告が終わると、中隊長が命令し始める。
「ヤハラート市街は3本の大通りとそれにつながる道で区切られている。奴らの狙いはこの宮殿だ。ここにつくためには大通りを使うのがいい。だからここにはあえて何も障害物を置いていない。ここに敵を誘導するため、ほかの側道に効果的に対戦車障害を設置してある。大通りの建物の上から敵を待ち伏せて、歩兵隊は隠した対戦車砲やこの持ち運びロケットで攻撃を加える。戦車隊は敵を大通りにおびき出す。これでいくぞ!」
「あぁい!」
「では出撃!戦車に乗れ!」
戦車にまたがる。いわゆるタンクデサントというやつである。
やがて、戦車からおり、後ろに隠れながら進んでいく。
兵士たちは建物に入っていき、路地に隠した対戦車砲に配置につく。
「第一分隊配置完了」
「第二分隊....」
と、指揮車の無線機から完了の合図が聞こえる。
オブシウス帝国 ペリドタイト型中戦車 車内
「敵の戦闘車両は我が方より強いらしいが...大丈夫か?」
「心配いりません。今まで敵を蹴散らしてきたこのペリドタイト型、旧式ですが異世界の敵には十分でしょう。練度、士気も高いですし。」
「そうか」
車長がハッチから上半身を出し、周囲を偵察する。
ガソリンのペリドタイト型とは違うディーゼルの臭い、敵が近いと車長は読み取った。
「敵だ!すぐそこの角を曲がれば敵だぞ!待ち伏せて73ミル砲をぶち込んでやれ!」(ミルは大体1ミリくらい)
---------------------------------------------------------------------
数両の88式装甲兵員輸送車、それを89式戦車が護衛するようにして進む。
「また戦車障害だ、うーんまた迂回しないと」
ブォンブォンと89式戦車と装甲車は、ディーゼルエンジンの音を立てながら夜のヤハラートを往く。
「しかし妙だな、さっきから一切敵の反撃がない。」
「そうですね、敵が退却したとの報告はないですし、どうしたんでしょう?」
車長と砲手が話をする。
「あーここも駄目か。」
その瞬間、見慣れないカーキ色の前時代的な戦車が曲がり角から飛び出てきて、出合頭にいきなり砲を撃ってきた。
「敵だっ!」
車長が『撃て』の指示をする前に砲手が引き金を引く。
89式戦車の主砲から放たれる劣化ウラン合金製のAPFSDSは、50mmのペリドタイト型戦車の全面装甲を突き破り、内部でそのエネルギーを放出。
たちまち砲塔が吹き飛び、炎が上がる。
「あれが敵の戦車か、しかしああゆう最後は嫌だな、ああは成りたくないもんだ。」
砲手はもっともだといった感じで頷いた。
「敵戦車の撃破感謝する。」
そうゆう無線が流れた。
「あーこっちも駄目だ。」
「こちら124号車、Cルートにて敵戦車撃破、なお対戦車障害物のため迂回する。」
「124号車、了解。」
「うーんどこも駄目みたいだ、」
「こちら124号車、大通りを通って目標へ向かいまぁす!」
「同じく125号車も。」
「129号車も続きます。」
飛行場の指令室
「たくさんの対戦車障害と敵戦車のせいで迂回せざるを得ないようです。」
ホワイトボードには、街の街道の絵と駄目なルートに×印がつけられていた。
「このままいけば大通りに出るな.....」
大隊長アレクセイ・アアアノフは、思考を巡らす。
「敵の歩兵隊は?」
「今のところ確認されていません。」
(まさか大通りに敵の対戦車兵器を...まずい!)
アアアノフは慌てて、通信機をとったが遅かった。
あああ帝国 89式戦車124号車
やがてガス灯のうっすらともる大通りにでた。
「よし、ここを進めば目標だ!!」
戦車は音を立てながら進む。
やがてほかの側道からも装甲車や友軍の戦闘車両が入ってきた。
まるで行列である。
キャリキャリと履帯の音だけが響く。
オブシウス帝国 歩兵隊
大通りの両側の石造りの建物の道に窓際に、携行ロケットや、機関銃を持った兵士たちがスタンバイしている。
「て、敵だ!」
「来たぞ!」
一斉に装填したりする音がこだまし、携行ロケットの照準器が、敵戦車に向けられる。
その瞬間、敵が前を通りかかる。
「てぇっ!」
ズバーン!ズガガガガガ
あああ帝国 89式戦車124号車
「敵だ!待ち伏せ攻撃だ!」
「歩兵隊を援護しろ!」
「敵は?」
誰かが無線で叫ぶ。
「あそこだ!向かいの建物だ!」
88式装甲兵員輸送車砲塔が回転し、取り付けられた2連装2A7M 23mm 機関砲が敵の銃撃の方向を向き、銃撃を開始する。
敵のロケットや機関銃の音がうるさい。
バーン
ロケットが、124号車に直撃、しかしそれを側面の装甲で受け止めた。
-----
バリバリバリバリ
「うわーっ」
「隠れろ!散開しろ!」
ピュンピュンと弾丸が跳ね返る音がする。
隊長が命令し、いったん部屋の奥に退却する。
ある兵士が別の携行ロケットを肩に担ごうとしている。
ロケットは、89式戦車に当たったものは跳ね返り、ほかはすべて外れた。
------------
「敵が多すぎる!」
「だめだ!」
片方に攻撃すると、そちらではやみ、また片方から攻撃されてしまう。
まさに敵の手中にはまってしまったようだった。
------------
「よし、行くぞ!」
「てっ!」
また攻撃が始まった。機関銃弾は敵の装甲車に跳ね返り、カンカンと音を奏でている。
ロケットの飛翔する音、それは88式装甲兵員輸送車に当たり、たちまち燃えてしまう。
運よく中の兵員は、外に出て自動小銃で応戦していたので無事であった。
「やったぞ!」
「あの化け物も倒せ!」
-------------




