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日が暗くなってきた。
銃撃はいまだに続いており、すぐ足元の地面には仲間たちの屍が転がっている。
中には士官のような風貌の人物もおり、死は戦場では平等であることをヤマダとアオキはより一層感じる。
「なあ、アオキ、生きてるか?」
「ああ、生きてるとも」
「俺たちどうなるんだろうなあ」
「なんかあああ帝国の奇襲部隊は上陸に成功したらしいし、もうすぐだよ」
気が付いたら、銃撃がやんでいた。
『信号弾だ!』
誰かが叫んだ。降伏の合図である。
「やったぞ!」
「突撃!」
「いけー」
隊長がさけび、皆は疲れを忘れて一目散に丘を駆け上がり、要塞になだれ込んでいく。
この日、南方最強と謡われたヤハラート要塞は、激戦の末に陥落した。
ヤマート共和国 キュウシュウ州 多国籍軍司令部 会議室
ここでは、多国籍軍の幹部たち(主にあああ帝国とヤマート共和国、中央聖魔導帝国とベンゼン王国)が、戦いの行く末を見守ってた。
長い机の周りに座っている各軍の幹部。奥には多国籍軍最高司令官を務めるアアアチョフ大将が難しい顔をしている。
中央聖魔導帝国のある軍人は先ほどから頭を抱え、「我が国の誇るゴーレムをたった1発で...?」とつぶやいている。
作戦はどうなったのか、連絡をただただ待つのみ、
その重い雰囲気を破壊するかのようにヤマート共和国の兵士が樫のドアを勢いよく開けて、部屋に入ってくる。
「報告します、ヤハラート要塞陥落!」
「やったぞおおおおお!!」
みんなが大喜びをする。
「やりましたね、司令」
アアアーネ中将が、アアアチョフ大将に、嬉しそうに話しかける。
だが、大将は表情を変えず、頷いただけだった。
ヤハラート宮殿 付近の基地
守備大隊長ルドルフ少佐は、いよいよ迫る敵に対し、作戦を考えていた。
「大隊長殿、要塞と連絡ができません。陥落したと思われます。」
「報告します。輸送機2機が飛行場より飛び立ったとの報告が...」
「総督殿と要塞司令が失踪しました!」
部下たちが報告する。
「やつらめ、逃げやがったな。まあこうなるのはわかってはいたが....しかし最強の要塞をわずか1日で落とすとは....」
そこに、焦った様子で連絡の兵士が入ってくる。
「た、隊長!ひ、飛行場が強襲上陸をうけ、なすすべもなく占領された模様!」
「なにっ!その情報は確かか?」
「はい。先ほど偵察隊が揚陸してくる戦車や装甲車の類を見たと報告しました。」
「何とかして市街地戦で敵を消耗させよう。街は既に臨戦態勢だ。地の利はこちらにあるのだから」
「戦車隊はどうなっている?」
「はっ、全車出撃準備を完了して待機しております。」
「すばらしい、直ちに出撃だ。自動車化歩兵も出撃させよ。ヤハラート並びにこの地域での権益は我々の手にかかっている。」
夜の静寂、それをかき消すかのように戦車や貨車のエンジンの音が夜のヤハラートに響き渡る。




