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要塞指令室
「どうだ?」
基地司令がそう部下にとい、状況の把握をしようとする。
「鉄の化け物と土の化け物は始末できたようです。奮戦はしてるみたいですがいかんせん敵のほうが多くこちらは指揮官も多数戦死。基地の通信回線も分断されていますから陥落も時間の問題かと。」
「うーむ、もうここを引き上げた方がよさそうだな。兵には自由行動を命じよ。」
「はっ」
「お前もご苦労だった。脱出の準備をしておくのだぞ。」
「お気遣いありがとうございます!」
ドアがばたんとしまる。
「さて...」
司令はそうつぶやくと、机の受話器を手に取り、無線室にコールする。
「...(どうやらまだこの回線は生きてるみたいだな。)」
「こちら無線室であります、お呼びでしょうか閣下」
「総督府につないでくれ。」
「はいこちら総督府」
「総督殿を呼び出していただきたい。」
しばらく後。
「おおこれはアレキサンダーではないか。そちらの戦いはどうなっておるのだ」
「ざんねんながらお手上げであります。総督殿も近いうちに野蛮人どもの顔を拝めることでしょう。」
総督の声がこわばる。
「そ、それではどうなるのだ?」
「ご安心ください。これから輸送機で北部の基地へ移動していただきます。」
「わ、わかった。感謝する。」
「では。」
電話は切れてしまった。
その瞬間停電が起こった。
「し、司令!敵が突入してきました。」
「よし、脱出するぞ。」
懐中電灯を手に出口へ駆ける。
----------同じころ
ヤハラート要塞西部の海域
1級輸送艦のヘリ甲板にはMi-24と武装をハードポイントに満載したMi-28がそれぞれ10機ほど駐機している。
やがて武装した隊員たちが乗り込んでいく。
そしてローターが回り始め周りにババババという轟音をまき散らし始め、東に向かって飛行し始める。
ヘリはレーダーに見つからないように、海面すれすれを飛行していた。
Mi-24 3番機
「うわあ緊張するぜ」
98式自動小銃を片手にアアアロフ兵長はよこのアアアチェフ伍長と話す。
「そうだなあこっちにきてからは初の実戦だし、下手に動けば普通に死ぬ可能性だってあるからなあ。」
ターボシャフトエンジンの爆音は機内まで響いている
「うん。気を引き締めなくては。」
「おいそこ、作戦行動中だ。雑談は慎め。」
分隊長の一声で会話は強制的に切断された。
ヤハラート飛行場
ここはヤハラート首都の防空、さらには中央世界征服の橋頭保とするために滑走路はアスファルト舗装され、かなり長めの滑走路が存在する。
もちろん航空機、移動式の防空レーダー、対空砲も多数存在する。
しかしレーダーに引っかからないように飛行しているので当然引っかからない。
監視塔
「おい聞いたかフリッツ?さっき自由行動が命じられたそうだ。」
末端の兵士はもちろんあああ帝国なんか知らないのでヤマートとかが連合してせめて来るいつものパターンだと思い軽視していたためこんな命令を下すことは異常である。
そのため先ほどからみんな口々に噂のようなものを言い合っている。
「ああそうみたいだね、でも今はとにかく任務を全うしよう。」
フリッツ二等兵は半自動小銃を肩から掛け、双眼鏡片手に同僚と雑談していた。
監視を続けるため、前を向く。
西日が非常にまぶしい。
「(ん?なんだあの機影は?よく見てみよう)」
フリッツは双眼鏡を覗く。
よくわからない形のものの上に回転するプロペラがある奇妙な飛行物体が、群れを成して飛行しているのがくっきり見えた。
それらが何なのかは一兵卒でしかもいやいや徴兵できたフリッツにはよくわからなかったが、少なくとも友軍ではなく敵意のあるものと見えた。
まさか未知の国の奇襲かもしれない。
「おいアルベルト、見てみろよあれ、なんだろう?」
だんだん機影が大きくなってくる。
「敵だ!」
「知らせないと!」
「基地司令部、基地司令部、応答願います....」
けたたましいサイレンの音が鳴り響き、対空機関砲の座席に兵士たちはつく。たくさんの銃身は敵のいる空をにらむ。
「来たぞ!攻撃よーい!」
隊長が叫び、皆が構える。
やがて普通に見える距離まで敵が近づいてきた。
「てぇっ!」
ババババババズガガガガガと一斉に西の空に向かって銃弾が放たれる。
たまに混じる曳光弾の光跡が暗くなりかけの空を彩る。




