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「前進!!」
と百戦錬磨の隊長が叫ぶと、ランプが勢いよく開き、そこから雨あられのように機関銃弾が降りそそぐ。
「うわっ!」
思わず2人は手で顔を覆うとする。
「ひるむなー進め!」
そう隊長が指示して、舟艇に積んでいた軽戦車がブォンブォンと音を立てながら上陸していく。
隊員たちは軽戦車の後ろに隠れながら前進する。
前方に機関銃弾があたり、カンカンと金属音が爆発音とともにこだまする。
艦砲射撃は続いているようで、左の方では土ぼこりが舞い上がり、兵士たちが吹っ飛んでいくのが見えた
「俺たちもああなるのかな?」
アオキ二等兵はそう呟いたが、誰も返答をしなかった。
この砂浜は、200mほど平坦になっており、そこからは丘のようになっている。
が、すでにオブシウス帝国によって要塞に改造されており、そこには鉄筋コンクリートのトーチカや対戦車障害物などが見える。
さすがに地雷を敷設する時間はなかったようだ。
トーチカからは機関銃の銃身が覗いており、奥に機関銃を操作する兵士の姿が垣間見えた。
周りも同じように前進しているが、敵の速射砲を食らって動けなくなったものもある。
戦車の砲塔がくるっとまわり、横のトーチカに向かって弾丸を放つ。
しかし、37mm砲ごときでは致命傷は与えられない。
そのとき、いきなり速射砲が戦車に放たれる。
まともな防弾をしていない軽戦車はあっけなく撃破された。
戦車の残骸に隠れながら百戦錬磨の隊長は冷静に指示を出す。
「いいか、後続の部隊がどんどん上陸してくるから、その支援のためあのトーチカをつぶすぞ。」
指さした先にはトーチカがあり、そこから放たれる機関銃弾が上陸を妨げていた。
「わたしと他分隊員ががあそこへ移動。その瞬間にヤマダは銃眼に手榴弾を投げこめ、いいな?」
「は、はい!」
「3,2,1いまだ、走れ!」
ほかの分隊員が残骸から飛び出して斜め方向に一目散に駆け出した。
案の定攻撃の目標は隊長たちに移る。
「うっ!」
どうやら弾丸がかすめたらしく、隊長はうめき声をあげる。
「うおおおおお」
ヤマダは何も考えずにトーチカの銃眼の真横の死角となるところまで一気に走った。
「(いまだ!)」
ピンを一気に抜いて銃眼の中に放り込む。
それと同時に斜面の下の方に向かって身を投げる。
着地と同時に爆発する音が聞こえ、作戦が成功したことを告げる。
ヤマダは安心し、分隊の所にかけていく。
沖合を見てみると、たくさんの上陸用舟艇が、再び砂浜に上陸しようとしていた。
砂浜には味方の兵士の死体、撃破された戦車、艦砲射撃で大穴が開き黒い煙が上がっている地面が見えた。
中には舟艇のランプが開いた瞬間に猛烈な機関銃弾を浴びてそのまま全滅したと見えるものもあった。
分隊は、コンクリートの斜面の所に集合していた。
「おう、大丈夫か?」
アオキが聞く。
ヤマダはこくっと頷く。
「隊長殿!大丈夫ですか」
ヤマダは聞く。
「あ、ああ大丈夫だ、すこしかすめただけ...うっ」
「しっかり、おい衛生兵!」
アオキが衛生兵を呼ぶ。
隊長に包帯を巻き、衛生兵が腰から杖を取り出して『鎮痛』の呪文を唱えると、隊長の顔のこわばりがなくなる。
「ああもう大丈夫だ。助かったぞ。」
アオキとヤマダは魔法が使えないので便利だと寒村する
この斜面は、崖のようになっており、2mくらいの高さで頂上には鉄条網が張られており、這い上がってくるのを防いでいる。
上をペリスコープで隊長が確認しつつ、指示をだす。
その上からはなだらかな斜面になっており、30mほど先には塹壕が掘られている。
そのころ、要塞の司令部
「要塞司令!申し上げます。ヤマート兵が上陸を開始、破竹の勢いで,.,,」
「そんなことは分かっておる!総兵力はどのくらいなのだ?」
「わ、わかりません!」
「す、すべてのトーチカが破壊されたとのことです!」
「慌てるでない!まだ第一ラインが突破されただけだ!第二防衛ラインを形成!残存兵力をかき集めて防衛にあたれ、それから飛べる機は全部上がらせて歩兵部隊の支援をせよ。」
「はっ」
指示は混乱する要塞守備隊に問題なく伝わった。




