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4月1日 朝4時
まだ日ののぼる前の軍港は暗闇が支配していた。
隊長の指示で次々と兵士たちが万全の装備で船に乗り込んでいく。
ヤマート陸軍第4軍第2師団第1中隊
「ついにこの時が来たなあ」
そう緊張した声で横と話すのはアオキ兵長。動員令でやってきたので初めての実戦である。
船の中の待機場所に腰を下ろすと、2人は銃を杖代わりにしつつ話始めた。
「ああ、俺たちはどうなるんだろう?生きて帰れるのかな....」
横にいるのはヤマダ二等兵。彼も同じく初めての実戦である。
「きっと大丈夫さ、なんせ俺たちの隊長は百戦錬磨らしいからな」
やがて汽笛が鳴り響き出港を告げる。
2つの月は西に沈み、やがて太陽が水平線から頭を出し始めようとしていた。
この時、ヤマート陸軍第2、第3、第4軍総数36万、異世界有志連合軍13万は、軍港を出港し、ヤハラート半島南端の要塞に向かった。
ヤハラート要塞南方350kmの海上には、あああ帝国海軍第二機動艦隊の旗艦航空母艦グレートアアアヌス4世や護衛の艦艇、および戦艦あああが作戦決行の時を待っていた。
航空母艦グレートアアアヌス4世
「司令、作戦決行の手筈が整いました。」
「うむ、そうか。」
「これが初の実戦という将兵もたくさんいるとのことですね。」
「そうだ、いかに前の世界が平和であったかがよくわかる。兵たちもこれで実戦慣れできるだろう。そう考えれば、こっちの世界もなかなかいいもんだ。」
第二機動艦隊司令アアアレフは答える。
「司令、ヤマート側より出港したとの報告が、」
「そうか、わかった。」
「作戦決行は予定通りだ。そう通告せよ。」
「はっ!」
ヤハラート要塞南方の海上
輸送船から上陸用舟艇にどんどん兵士たちが乗り込んでいく。
アオキやヤマダらをのせた舟艇も、どんどん要塞へ向かっていった。
あたりに響くディーゼルエンジンの音、風にたなびくヤマート国旗。
太陽は水平線から半分くらい出ていた。
航空母艦グレートアアアヌス4世
飛行甲板の上では忙しそうに乗組員たちが作戦の準備をしていた。
艦上戦闘機AA-33が、飛行甲板に出され、対レーダーミサイルを懸架した状態で待機している。
「司令、配置完了しました。」
「よし、作戦開始!」
その合図を待っていたといわんばかりに、AA-33は、カタパルトより次々と発艦していく。
いよいよオブシウス帝国に対する本格的な反攻作戦が始まった。
そのことを多国籍軍の全将兵が感じていた。
AA-33機内
「あれが敵レーダーサイトだ」
飛んでいた全機が一斉に懸架していた対レーダーミサイルをロックオン状態にし、発射する。
母機を離れたミサイルは白い尾を引きながら高速で目標に接近する。
ヤハラート要塞12番レーダーサイト
「おい!なんか高速で近づいてくるぜ?」
「なんだ?なんだ?」
「うわあああああ」
レーダーサイトは木端微塵になる。
「閣下!申し上げます。敵の奇襲です!やつらが攻めてきました!」
「なんだと!敵の総数は?」
「わかりません。レーダーが全基破壊された模様です!」
「よし、目視での哨戒にあたれ、偵察機も飛ばして敵の情報収集を行え」
「はっ!」
戦艦あああ
戦艦あああの巨大な50cm砲には、対地攻撃用の弾丸が装填され、操作する兵士たちは撃ち方始めの指示を今か今かと待っていた。
「第一次地上攻撃成功」
と、無線から流れる。
「よし、戦闘、左砲戦。左90度。CIC指示の目標。」
「初弾より急斉射、交互打方発令発射。斉射間隔15秒。発射弾数各門30発。」
砲塔がゆっくり右に回転する。
完全に頭を出した太陽に照らされ、砲身が黒光りしている。
「測的よし、方位よし、発射準備よし。」
「撃方始め!」
「てっ!」
轟音とともに要塞に向かって弾丸が放たれる。
上陸用舟艇の上
「うわあでかい軍艦だなあ」
ドォオオオン
ズガーン
ヤマダ二等兵はこの攻撃が敵のものだと思い、あたりを見まわした。
すると、紺色の飛行機がいきなり銃撃を加えてきた。
ズガガガガガ
「うわぁっ」
後ろの銃手が2連装機関銃で応戦するが、当たらない。
そうしていると、左の上陸用舟艇に銃撃があたり、炎上しはじめ、そのまま爆発してしまった。
やがて飛んできた何かに当たって、紺色の飛行機は火達磨になり海面と衝突してしまった。
乗っている兵士たちは、これから彼らが向かう場所がどんなところなのかを一瞬で理解した。
艦砲射撃が、眼前の地形をどんどんえぐっていく。
「お前らぁひるむなぁ!もうすぐ上陸だぞ!」
百戦錬磨の隊長が叫ぶ。
「我々は強い!」
「我々は強い!」
「我々は勝利する!」
「我々は勝利する!」
隊長がそう叫び、復唱する。
「祖国に栄光を!」
「祖国に栄光を!」
「来たぞ!上陸用意!」
ランプが勢いよく開かれて、列が進んでいく。




