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ヤハラート半島 ヤハラート総督府
「そんな!ここはいまや最前線なのですぞ!」
電話の受話器を握りながら叫ぶのはアレクサンドル将軍。部屋には困った顔で立ちすくめる部下2名。
「そんなことはわかっておる。しかしヤマートだろう?どのみち烏合の衆だ。集まったところでヤハラート要塞には足すら踏み入れられんよ。」
「しかし敵にはあなんとか帝国がついている。これまでのようにはいかないと考えます。」
「あなんとか帝国?ああ報告にあった敵か。どうせ前線の兵士が恐怖のあまり見間違えたんでしょう。」
アレクサンドルはだまる。
「それで?この作戦の遂行にはどれくらいの装備が?」
「そちらで旧式になった艦攻と艦爆100機ずつと空母1隻。」
「....まあわかりました。航空機の輸送を本部に進言しておきます。空母は無理ですね。」
と電話は切れてしまった。
間を置かずにアレクサンドルは机をたたいた。
「まったく!本国軍は我々をなんだと思ってるんだ!前線なのに空母の1隻もよこさないだと!頭あんのか?」
部下は黙る。
「まあよい。とりあえず偵察写真から見るに、だいぶ拡張されてるな。そこで、この軍港より出港した多国籍軍が上陸作戦をかけてくるに違いない。そうなれば厄介だ。そこで、これを我が基地の駆逐艦4隻、戦艦1隻、空母1隻よりなる攻撃隊で奇襲攻撃だ。」
「しかし我が基地の艦はすべて旧式。速度も遅いですし、もしあなんとか帝国に攻撃されたら?」
「そうならないように、スピード重視で行く。」
というと、拡大のモノクロ偵察写真を取り出して、赤く丸をしているところを棒で指して、
「最重要攻撃目標を絞ることにした。この赤丸は敵の航空燃料タンクや乾ドックと思わしきところだ。ここをロケット弾や爆弾で攻撃する。」
「なるほどー」
というわけで会議は終了。
深夜 ヤマート共和国 キタカイドウ軍港
深夜。あたりは1寸先も見えないほどの漆黒に包まれている。
「おじいちゃんー全然つれないねー」
「ああそうだな孫よ。しかしこの辺には....」
じいさんの手には地球でいうところの方位磁石のようなものが握られている。
これは魔道具の一種で、魚のもつ魔力に反応してその向きを伝えるものである。
「おったおった!あそこだ孫!」
「おーてかかなり船が多いね。」
「そりゃ借入時だからな。みんな生きるために...」
「あれもそうなの?」
指をさした先からは、巨大な白のような建造物が見えてきた。
やがてそれは船であることがわかる。
「う、うわああああ!」
その船に2人の乗っている漁船はひかれて転覆してしまう。
かろうじて浮き上がった二人は、白いスモークを炊きながら巨大な艦を引っ張る帆走フリゲートを見る。
そう、戦艦あああである。
機密保持のためスモークを炊きながら入港するのである。
やがて船は曳航されて、500mはある乾ドックに入港した。




