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アアアシティーの郊外のさらに郊外には、小麦の田園地帯が存在し、そこを裂くように空港高速道路は帝都高速環状線から繋がっていた。
片側四車線の直線の道路には自動車は疎らで、その真ん中を地下鉄空港線が走り、アルミ色の車両が南の空の向こうの高層ビル群に向かって走っていく。
そんなところにアアアシティー国際空港は存在した。
アアアスキー首相は、早くもオブシウス帝国の戦後処理について多国籍軍参加国首脳との会談が必要と判断し、ヤマート共和国首都トンキンに於いて行われる会談に参加するために空港に向かっていた。
やがて空港に到着すると、政府専用機とタラップがあり、車から降りてそれに乗り込む。
階段の頂上まで上り、来た方を向くと、カメラのフラッシュが一斉に炊かれ、それに答えるかのように手を振る。
二月の冷気は、肌を激しく刺激する。
やがてタラップが外され、飛行機は滑走路に向かう。
そして機体は加速していき、大きな主翼を空に羽ばたかせる。
地上はどんどん遠ざかっていき、高度が上がって行くことを乗員に実感させる。
横には護衛のMiG-29が重そうな増槽を抱えながら飛んでいるのが見える。
さて、キタカイドウの北部のヤハラート半島を解放するためには、ヤハラート半島への橋頭塁としてヤハラート要塞への攻撃が必要不可欠と判断。直ちに上陸作戦が立案された。
そのための物資の輸送のため、滑走路が建設され、毎日キュウシュウ中央基地よりE-15輸送機がピストン輸送を行い物資や人員を輸送した。
またキュウシュウ軍港の戦艦ヤマート含むヤマート海軍の各種艦船も回航され。戦力は日に日に構築されていった。
ヤハラート共和国 首都ヤハラート ヤハラート総督府
「で、ヤマートに上陸した主力は、逃げ帰ってきたと?」
「は、はい、そうなります‥」
オブシウス帝国南方軍司令官のアレクサンドルは、部下より報告を受けていた。
「うーむ、ヤマートは戦力を強化している、これは問題だ。」
「将軍閣下。ヤマートの諜報員より報告です。」
「うむ。どれどれ?」
そこには衝撃的な写真が納められていた。
殺風景な漁港だった北部の港が、近代的な軍港に変貌していた。
乾ドックも整備されている。ある写真には沿岸砲やレーダー陣地のようなものも写っている。
「これは!」
将軍はすぐに理解する。
ヤマートはヤハラート半島への上陸を計画している。
その話は参謀本部からも上がっていたが、あり得ないと判断していた。
「直ちに直掩機付きの偵察機を派遣せよ。本国にこのことを報告。新鋭の第三艦隊を回航してもらえ。こちらには旧式の戦闘機しかないのだからな。」
「はっ!」
ドアが閉まって、アレクサンドル1人になる。
「さて、どの程度か....今度の攻勢は...」
その1日後くらい
「これがキタカイドウのあの漁港だとは思えんなあ」
後ろでカメラを操作している人物がそういう。
「だいぶ変わりましたね。彼らも起死回生ですから、相当な力の入れようですね。」
「そういえばあなんとか帝国の戦車の砲はすごいらしいぜ、なんでも走りながら打てるらしい」
「へー」
軍港の上空12500mを飛行しているのは、直掩の戦闘機4機と偵察機である。
「防空指揮所、防空指揮所、こちらD地区2番レーダー。高度12000m付近に、オブシウス帝国と思われる国籍不明機5機、こちらに接近中。至急対処されたし。」
「隊長殿、どうされます?」
防空指揮所、まあ天幕の中ではあるが隊長は命令を下す。
「うーむ、おそらく彼らも我々の行動を察知して詳しい情報を得るための行動だろう。援護の機だけ撃墜せよ。」
「偵察機はいいのですか?」
「いまさら撃墜しても遅いだろう。それに上陸作戦の時に、いわゆるハンデというやつを与えてやってもいいだろう。」
というわけで第27戦車大隊の防空隊およびヤマートの防空隊による対空砲撃が始まった。
真昼の空に、曳光弾による光が走る。




