第34話
「こちら第一小隊、配置完了しました。」
「第二小隊、配置完了。」
「よーし、そのまま待機。指示を待て。」
一つの車長用ハッチから身を出している人物が1人。その隣の戦車もそれに倣う。
「うーむ苦戦しているようだな。」
彼はこの第27戦車大隊1番中隊の中隊長である。
その横の車両の人物は同じく2番中隊の中隊長である。
「そのようですね。」
「ヤマート側からの援軍要請は?」
「まったくありません。」
「ずいぶん余裕だな。あの様子を見てると到底...」
「さっき援軍を提案したら怒鳴られました...」
「なっ!?やつら砲兵隊も突撃させるのか...」
「ええい見ておれん!全車前進!!2番中隊はヤマートの歩兵を先導しつつ進軍せよ!」
そう通話機に吐き捨てると、ハッチを勢いよく閉めて中に戻っていった。
「ああっちょっと!中佐!ええい2番中隊前進!」
1250馬力のディーゼルエンジンがうなりを上げ、戦場には煙が立ち込める。
総勢20両の89式戦車は突撃陣形を組み、勢いよくオブシウス帝国の砲兵陣地に向かう
オブシウス帝国の砲兵陣地
「うーむ、かなり撃ち込んだが...まだ続くのか...」
塹壕の指揮所の中にいる砲兵隊の隊長は、双眼鏡片手にペリスコープを覗いて、副隊長と話している。
「しかし敵は懲りずに突撃を続けていますね。前の戦いの時もそうでしたが...」
「まあ敵もかわいそうだ。上官から命じられてあれをしているのだからな、そのうえ一方的に射程圏外から攻撃されている...」
そこに、勢いよく連絡の兵士が入ってきた。
「大隊長殿、報告いたします!偵察隊が、北西20キレーの所に見慣れない戦車の部隊を発見したとのことです。(キレーはオブシウスの長さの単位で1キレー1.5km)」
2人の顔が深刻そうになる。
「なんだと!戦車って例のひし形の奴か?」
「いえ、我が国のものに似ており、速度や砲の口径は我が方をしのいでいたとのことです!」
「(そういえば、この戦いにはあなんとか帝国も参加しているとのことだ。すると彼らの戦車に違いない。)」
「師団司令部に連絡して2個戦車中隊と航空支援の派遣を要請せよ!」
「はっ!」
連絡の兵士は任務を実行するために出て行った。
「だ、大隊長どの!て、敵の戦車を発見!」
「なにっ!」
一番隊
「き、来たぞ!」
「装填!」
戦車砲に弾丸が慣れた手つきで装填され、準備が整う。
ディーゼルエンジンの音が大きくなる。
「てっ!」
一斉に弾丸が放たれ、轟音があたりを包む。
しかし89式戦車の正面装甲はそれを受け付けない。
「てっ!」
続いて戦車隊が反撃。榴弾が一斉にはなたれ、あたりに土ぼこりが舞う。
「なんだこいつは!」
「化け物だ!」
「逃げろ!」
兵士たちは謎の怪物に怯え、一斉に逃げ出す。
誰もいなくなった砲を戦車が蹂躙し、また榴弾を発射して砲兵陣地の兵士たちを吹き飛ばす。
「報告致します!1番および2番砲兵陣地が戦車隊の襲撃をうけ....」
「そんなことは見ておる!それより味方の残存兵力をかき集めて援軍が来るまで持ちこたえろ!」
「はっ」
ヤマート軍陣地
「将軍閣下!ここももう危険です。砲撃がここまで迫ってきております!退却の指示を!」
「うーむここまでか...」
その時、隣の林から戦車隊が突撃してくるのが見えた。
「あああ帝国だ!将軍閣下!援軍です!」
「やった!やったぞ!これで勝てる!」
「突撃!」
兵士からは歓喜の声があがり、一斉にまた突撃していく。
戦車隊の隙間を這うようにヤマートの歩兵が前進していく。
オブシウス帝国の指揮所
「大隊長!援軍です!」
味方のA-3型戦車のエンジン音が聞こえてきて、果敢に89式戦車に砲撃を浴びせる。
しかしそれをものとせず、砲塔が回転して、152ミリ砲が回転し、火を噴く。
それ合わせて味方戦車隊は壊滅していく。
「むう...もはやこれまでか。」
「仕方がない、兵には投降を命じよ」
「はっ」
この日、ヤマートおよびあああ帝国は、戦線を押し返してオブシウスをキタカイドウ州より追い払ったのだった。




