第33話
キュウシュウ軍港
ここにはたくさんの多国籍軍の艦艇が停泊していた。
あああ帝国海軍の最新鋭の空母が止まっているかと思えば帆走戦列艦がそのはるか手前に停泊し、ヤマートの弩級戦艦がその向こうに止まっているという光景は異世界ならではのものであった。
その向こうには新たに舗装された滑走路を設ける空軍基地があああ帝国の建設工兵隊によって建設されていた。
「うわーっすげーなーなんだあの船?マストも帆もないぞ」
「あれはたぶんジョーキキカンとやらで動く船だぜ。せっかく神がわれらにお与えになった力があるのにそれを使わないなんて、何を考えているんだろう....?」
彼らはベンゼン王国から来た2人である。
ベンゼン王国は、彼らの乗る戦列艦クメンをはじめとして10隻の1等戦列艦および10万人の陸軍兵を派遣した。
もちろん、そのままでは足手まといなので戦列艦は積んでいる兵装を撤去してボフォース40mm機関砲やエリコンFF20㎜機関砲などで対空船として使用されることとなった。
「あれ?あの船は甲板が平べったいぞ?そのうえよくわからんやつがいっぱいのっかってるぜ。よわそう。」
「あれはヒコーキとかいうやつだぞ、なんか空飛んで戦うやつだそうだ。」
「それなら竜騎士様たちがお得意のあれか?竜のほうが非常時に食えるだろ。」
「....」
「それにしてもでかいなあ」
多国籍軍司令部
キュウシュウ州の一番大きなビルに多国籍軍司令部が入ることになった。
「司令、例のものが。」
司令、と呼ばれた男の顔が明るくなる。
「そうか!見に行くぞ!」
駆け足で部屋から抜け出し、止まっていた一台の軍用車に飛び乗っていく。
その後ろを重機関銃で武装した自動車がついていく。
やがて港に着き、入港してくる大きな船を見上げる。
「ほう、やっと着いたか!」
湾の中には護衛の数隻のミサイル駆逐艦が見える。
やがてタグボートが群がってきて、船は係留され、積荷の89式戦車500両余りが降ろされてくる。
それらは港の近くの開けた場所に運ばれた。
さて、キタカイドウ州に上陸したオブシウス帝国主力は、破竹の勢いで進軍し、すでにキタカイドウ州の半分を占領してしまった。
オブシウス帝国の支配下にあるヤハラートに攻め込むにはキタカイドウ州北部の軍港を使うのが一番手っ取り早いので、占領された地域を奪還し、再び勢力下におくことが求められた。
そこでさっそくヤマート陸軍第2軍および有志連合軍とあああ帝国陸軍第27戦車大隊は、キタカイドウ州の前線に移動されることとなった。
キタカイドウ州の前線
「突撃!」
その指示とともに湧き上がる兵士たちの声。しかしそこにはオブシウス帝国の砲兵陣地から苛烈な砲撃が加えられ、地面がめくりあがり、兵士たちが空に舞う。
それを踏み越えてまた突撃する。
戦場はまさに混沌を極めていた。
前線の指揮所
「おい、このザマはなんだ?貴様の砲兵隊は何をしている?」
指揮官らしき服を着た初老の男は、40くらいの同じく指揮官らしき人物に声を荒げて発言する。
「将軍閣下。我が方の砲は敵に届きません!」
「なぜだ?あれは例の場所のものを模倣した最新鋭の....」
「いかんせん加工精度が悪くて...使いにくく、まともに飛びません!」
将軍呼ばれている男は怒りのあまり持っていたペリスコープを地面に投げつけたと思えば、拡声器で、
「砲兵隊、突撃!」
と叫ぶと、
「将軍閣下!何をおっしゃっているんですか?あまりにも無謀すぎます!」
「うるさい!お前はだいたいいつもいつも私に対して...」
「お二人とも落ち着いて!あああ帝国に支援を要請しては...」
「フン!あんな国に助けを乞うなど我がヤマート陸軍の名が泣くわ!砲撃をつづけよ!」
「砲撃続行!」
「1,2,3、番隊、てぇっ!」
しかしある砲が暴発し、砲兵隊はめちゃくちゃになる。
「うわーっ」
「もうだめだ」
「退却だ!退却しろ!」




