24話
帝都アアアシティーより南西940km
ここヴェルスタンは皇族直轄領として存在しており、冷帯に属し冬の寒さが厳しいアアアシティーと比べ比較的温暖な気候から冬季は皇族の保養地となることも多く、「冬の都」と呼ばれることもある。
そんなヴェルスタンの中心部に目を引く建造物があった。
青と白を主調としたロココ調の巨大な宮殿、総面積640ヘクタールの庭園を有し、所々にある黄金の装飾が帝国の繁栄を物語る。
そんな宮殿の一室「黄金の間」。天井には初代皇帝アアアヌス一世が帝国のある地に降り立った時の図、「国祖降臨」の絵が豪華絢爛に描かれている。
部屋の中心部の琥珀で装飾された椅子に腰かける人物は、この宮殿の主、アアアーラ皇太子であった。
「殿下。中央に忍ばせている密偵から連絡が。」
「お父様がご危篤に入られたそうです。」
アアアーラは薄い笑みを浮かべながら、主従に話す。
「そうか、ついにこのときが来たのだな。」
「はい、左様にございます。ついに殿下‥いや陛下の長年の夢が。」
「まだ即位した訳ではない。また即位したも同然だな、フハハ」
「しかし御長男のアアアティシ様も御健在ですし‥」
「お前はあれを健在だと思うのか?まあ父上もこの余を即位させるに決まってるだろう、まだ動くな。」
「かしこまりました。」
部屋を出ていくのを見届けたあと、アアアーラはグラスのワインを銀の窓枠の向こうの双月にかざす。
「この世界は実に興味深い。すべて余のものとなるのだ。」




