表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
趣味?で生き抜く異世界生活  作者: 佐神 大地
異世界に転生する
4/86

4 キャラクター設定1



「お客様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。」


まだ少し顔の青いセオルグだったが、何とか復活して説明を再開してくれた。呼吸も通常の速さに戻り、汗も引いてきている。


「次はキャラクター設定を行います。これがお客様の基本情報になります。」


そう言ってセオルグが出してきた書類にはとても見慣れたステータス表が書かれていた。


--------------------

名前 ヒジリ リクドウ

性別 男

年齢 40

種族 ヒューマン

職業 なし

Lv 1

HP 17

MP 0

力 5

体力 9

素早さ 7

器用さ 15

賢さ 20

運 13


エキストラスキル

なし


一般スキル


細工Lv3

調剤Lv3

威圧Lv1

--------------------


なんとも昔のRPGに出てきそうなステータス表だ。スキル欄がなければ、某有名RPGの初期のステータス表に酷似している。


「お客様の場合、7つの罪があり、その大きさの合計が23ですので115のSPがございます。SPはステータスに振り込んだり新たなスキルの習得に使用したりできます。HPとMPは最大が255で残りはすべて99が最大となります。・・・おそらくお客様に馴染みな感じで表現されておりますのでステータスの内容の説明は不要と思いますが、説明は必要でしょうか?」


・・・酷似ではなくパクリだったようだ。この世界が某有名RPGの世界と同じなのではなく、この世界のステータスを某有名RPG風に表現したのだろう。

だが、いちいち面倒くさい設定を理解する必要がないことを考えるとありがたい気配りだ。


「いや、その辺は必要ない。続けてくれ。」


俺の言葉を聞いたセオルグは相変わらずペコペコしながら額の汗を拭きつつ説明を続ける。

別に俺は威圧しているつもりはないのだが、無意識でスキルを使っているのだろうか?

まあ、セオルグからクレームが来ない限りはこのまま様子見することにした。


「それでは説明を続けさせていただきます。Lvは申し訳ありませんが、変更不可能でございます。各ステータス値は1SPで1上昇します。他の変更にはそれ相応のSPが消費されます。例えば、エキストラスキル習得には30以上のSPが必要ですが、一般スキルはSP10から習得可能です。これで大まかな説明は終了です。」


セオルグはここまで一気に説明すると一息つき、俺に質問がないかと目で問うてくる。

セオルグの説明を聞いた限りでは最近のゲームのキャラ作成と大して変わらない気がした。もっとも、聞きたいことはいくつもあった。


「セオルグ。パトナムではステータスの値はどのぐらいが一般的なんだ?」

「そうですね。HPは一般人だと30以下といったところでしょうか。100を超えると戦闘職でも一流、200を超えると超一流といったところでしょうか。これはMPでも一緒です。力、体力などの他の値は一般人だと20以下、40~で一流、70~超一流でしょうか。・・・あっ。運は別ですね。運だけはあまり上昇しないのでだいたい20もあれば、運が良いといわれます」

「それじゃあ、次の質問だ。ステータスをここで上げていないと試練をクリアできない、なんてことはあると思うか?」

「それはないと思われます。勘違いされている方もおりますが、この試練は課せられた者を進化させるための試練であります。このSPを全く使わなかったためクリア不可能となる試練などがあるはずございません。」

「そうか」


俺は短く答えるとキャラクター設定についての考察を始める。

セオルグの話が確かなら、このキャラクター設定は異世界生活において非常に重要なものとなってくる。俺が異世界でどう生活するかはこの設定で決まってくるからだ。


戦闘系のスキルを手に入れ、武闘派を目指すのも1つだ。

『お客様の世界で言う剣と魔法の世界』とセオルグが言っていたので、巷のライトノベルと同様に主人公無双を目指すのも1つの手だろう。所謂、戦闘型キャラクター設定だ。

この設定の最大の問題はどう考えても俺の年齢だ。果たして、40歳の俺の体は戦闘に次ぐ戦闘に耐えられるのだろうか。答えは否だ。

そして、もう一つの問題が、試練に挑戦する時間が持てるかということだ。

戦いの世界に身を置くと、必ず次から次に強い奴が現れて襲ってくるのが見に見えている。某有名アニメのような感じだ。

俺のステータスから判るようにおそらく試練クリアと戦闘は関係ないと思われる。

戦闘をこなしつつ試練をクリアというのは難しい気がする。

と、ここで俺はある疑問が頭をよぎりセオルグに質問をする。


「なあ、キャラクター設定で先ほど説明があった項目以外もいじれるのか?例えば年齢とか。」


そう、年齢をいじれるならこの型も有用になってくる。

俺の質問にセオルグは一瞬驚いたような表情をしたが、すぐにいつも通りの低姿勢となり頭をペコペコしながら答えてくれた。


「お客様、流石でございます。この裏設定に気づかれる方はほとんどいないのですよ。あのお方がお気に入りになるのも頷けます。お客様のご指摘のように年齢を含め、ステータス表に書かれている項目すべてが変更可能です。ただ、SP消費が大きいため、あまりお勧めしておりません。」

「そうなのか?ちなみに年齢を若返らせるにはどの位のSPが必要なんだ?」

「そうですね。年齢を10つまで若返らせるには年齢×5のSPで足ります。それ以降は年齢1つにつきSPが10必要となります。」

「ということは40の俺が20まで若返るにはSPが150必要ってことだな。足りないな。・・・30まで若返ったとしてもSPを50もいるのか。残り75だとちょっと保留だな」


他にも性別変更や種族変更などの消費SPを確認したのだが、セオルグの言ったように多くのSPを要求された。どう考えても費用対効果が悪い気がする。

唯一、後ろ髪を引かれたのが職業『勇者』であった。

消費SPが100であったが、各ステータスにプラス補正が働き、レベルアップで勇者専用スキルを習得可能ということであった。

まあ、仮に俺が勇者になっていたら、パトナム史上最弱の中年勇者が誕生していたに違いない。そんな称号は嫌なので、却下せざるを得なかった。


俺は再び思考を再開する。何度も言うがこのキャラクター設定は重要なはずである。しっかり時間を使ってでも考えるべきところだ。

折角、スキルに細工LV3と調剤Lv3があるので生産職になり、大儲けをするのも一つの方法だ。元々モノづくりは嫌いではない。歯医者であったため、細かい作業なども得意だ。だから細工Lv3があるのだろう。


「なあ、細工Lv3と調剤Lv3って向うの世界ではどのくらいのレベルなんだ?」

「はい、スキルは最大がLv10でございます。もちろん、スキルを習得している時点で習得していない人と比べると段違いの物を作ることが可能ですが、スキル習得者で比較するとLv4から一流、Lv8から天才とか人外と呼ばれるようになります。」

「Lv4から一流か。後一つだな。・・・なあ、もしかしてスキルって向うの世界で頑張ったらレベルアップしたりするのか?」

「はい、当然レベルアップはございます。エキストラスキルの習得は不可能ですが、一般スキルの習得も可能となります。」

「えっ、そうなのか!?それだと・・・。」


今の情報で俺は新たなビジョンを思いついた。それはいろいろなスキルをそれなりに習得して、小金を稼ぎつつ、それなりの生活を送るというものだ。

すでに細工と調剤がLv3なので頑張れば、すぐにLv4(一流)になれる可能性が高い。そうなると、それなりの生活を送れるはずである。つまり、現段階でも俺の異世界での生活はそれなりに保証されているのである。

後は、自衛のためのスキルや生活に役立つスキルを覚えれたら御の字だ。Lvも高い必要はない。

俺は別に英雄願望があるわけではない。強力な攻撃スキルなんて欲しいと思わない。匠の生産職に憧れるといったこともない。

安全がある程度確約できて、それなりの水準で生活できればよいのである。例えるなら、中流階級型だろうか。

一般スキルをさらに習得することも考えたのだが、できればエキストラスキルを習得したいところである。

エキストラスキルは自力での習得不可能みたいなので、ここで習得しなければ手に入らないからだ。

となってくると、俺が求めるのは成長を補助してくれるエキストラスキルだ。


「セオルグ。どんなエキストラスキルがあるのか教えてくれ。」


俺は希望と不安を胸にセオルグに問いかけた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ