卵を産みたい
今朝も目玉を食べた。
いつも通りおいしかった。
これがなければ一日が始まった気がしない。
だけど、卵を食べるとなんだか悪い気がしてしまう。
なぜか。それは、私自身も卵を産むからだ。
正確には、一度も卵を産んだことはない。
けれども昔から、いつかきっと自分は、卵を産むことができると信じていた。
今のところ、卵を産める兆候を知らない。
お尻から出るのか、それとも口から出るのか、それさえも知らない。
それでも、卵を産むことができる。どうにかすれば産むことができるのだ。
毎日、栄養のあるものを食べている。バランスよく食べている。
元気で健康な卵を産むためだ。
卵を産むときのシミュレーションも何度かした。
どれくらい力むのか。あるいは、どれくらい力を抜けばいいのか。
卵を産むとき、隣に誰かがいてくれればいいと思う。
パートナーでもいいが、親でも兄弟でも、誰でもいい。
だけど、一人で産むこともあるだろう。
だから、自分で呼吸を整えて、産まなければならない。
今までテレビでも、アニメでも、ゲームでも、
卵を産む場面を何度も見てきた。
ウミガメが卵を産む様子、鶏が卵を産む様子。
漫画の敵キャラが口から卵を産む様子、恐竜みたいなゲームキャラが卵を産む様子。
なんでもいい。
方法はどうだっていい。
とにかく私は、卵が産みたい。
卵を産んでどうするかは考えていない。
温めて孵化するのを待つのもよし。
そのまま卵料理にして食べるもよし。
とにかく私は、卵が産みたい。




