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気持ちの変化

辰姫がふと目を覚ますと辺りはもうすっかり暗くなっていた。随分と眠ってしまっていたようだ。ルーカスの姿は無く、隣のベッドにはチナミがスヤスヤと眠っているのが見える。ルーカスはもう既に自分の方のテントで寝ている。流石にずっとそこにいるわけにはいかないからだ。


「そうか…… 私、そのまま寝ちゃって……」

辰姫はふと自分の身体がさっきまでと違って軽くなったような気がした。どうやら、身体の調子は大分良くなったらしい。寝る前にルーカスから渡されて飲んだ薬も効いているようだ。その時、辰姫はそういえば……と思い出した。自分が眠っているときにルーカスが何か言ってたような覚えがあったからだ。内容はよく覚えていないが。


辰姫は腕を伸ばしてベッドの近くの小さいテーブルの上に置いてある小さいランプに灯りを付けた。テーブルの上にはランプの他に、コップ1杯の水と2つほどの白い小さな錠剤が置かれていた。紙には「おきたらのめ」と拙いながらも日本語で書かれていた。漢字は無く平仮名だけだったが。


それを見て辰姫はクスリと小さく笑った。字は汚いが、彼なりに日本出身の自分を気遣ってやっているのが分かるからだ。いつもはぶっきらぼうで自分のことしか考えていないように見えるけど、こういう時に気遣いを見せてくれる。そこが少しだけおかしく感じた。



辰姫は少し起き上がってその薬を飲むと再び横になった。そして完全に寝付くまでの間、辰姫は色々考えながら、目をゆっくりと閉じる。




ルーカスってもう日本語を使えるようになっていたのね、意外だったな。出逢ったばかりの頃の彼は日本語とか全然知らなくて、「平仮名? カタカナ? 何だそれ?」みたいな状態だったのに。ルーカスも日本語に興味を持って辰姫から平仮名とかを教わったりとかはしていたけど、まさかそれである程度書けるようになっていたのには驚きが隠せない。いつの間にここまで!?って感じだ。


そういえば、ルーカスと初めて会ったばかりの頃は「ぶっきらぼうだし、大丈夫かな」って思う所も多くて怖かったけど、慣れって凄いよね。いきなり特訓とか言って竹刀で滅多打ちにするような人だったのにさ。もうそんなもんなんだって半ば諦め……受け入れてるもん。それにルーカスにも優しい所があるのを私は知ってる。彼はそのことを素直に認めないと思うけど。


でも、彼の心を占めてるのは復讐のことだけだ。それを基本的に優先するから自分本位の行動も少し……かなり目立つ。私も彼の復讐の人生はどうかなって思う所があるけどそれが簡単に止められるものじゃないのは私だって分かってる。「憎しみからは何も生まれない」とか「復讐は無意味だ」とかそんな言葉を賢しげに言うべきじゃない。所詮そんな薄っぺらい言葉は自己満足でしかないからだ。でも……………………


私にはルーカスがそのうち、何か取り返しの付かないことになるんじゃないかという嫌な予感しかなかった。あのフェネさんを使ってポイニクスと戦っていけば。いずれは………


私はそれでルーカスがいなくなってしまうのがすごく………嫌だ。


「ルー……カス………」

そうポツリと呟いて辰姫は眠りについた。この時、辰姫はルーカスに対する気持ちの変化をまだ理解出来ずにいた。

辰姫のルーカスに対する気持ちも少しずつ変化しています。まぁ、これだけ色々あれば少しは変わるかなぁって思います。


追記

7/13の更新は休みます。すみません……

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