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赤紫の魔剣使い〜少女は異世界を渡り歩く〜  作者: 藪地朝陽
第2章 天空都市のインクの王
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インクの王からのご招待

30分後、チナミ達はコーエンを撃破した。今までの鍵戦と比べると最速と言ってもいいだろう。


コーエンは全身投与されたサイクロンとアースクエイクの能力を駆使して戦う。石礫やカマイタチを放ったりそれの合わせ技だったりと様々な手で戦っていたが、彼はどこかそれらを上手に使いこなせていない。強すぎる能力に振り回されているようだった。正直、他の鍵2人よりも……先程までのインクの化け物達の方が遥かに強かった。そんな印象を持たざるを得ない。あっと言う間にコーエンは満身創痍の状態になり、悪あがきに最大限の技を放とうとするが彼の前にルーカスが立ちはだかった。


ザシュッ!


コーエンはルーカスのレーザーソードによって腰部分から真っ二つになって両断されてしまった。上半身は石化して落下した衝撃でボロボロに砕け散り、下半身の方はつむじ風になって跡形も無く消滅した。実に呆気ない最期だった。


「おい、これで終わりか?」

ルーカスがレーザーソードのスイッチを切ってしまいながらチナミに尋ねた。


「ええ。コーエンが死んだから鍵は開いたはずよ。……これでやっと……キョウヤの元に行くことが出来るわ」

チナミは努めて淡々と言った。


キョウヤの元に行ける。


これはチナミの……レジスタンスの者全員の悲願だった。悲願を達成した者達の表情は各々異なる。純粋に喜ぶ者、これでやっとキョウヤへの復讐を果たせると憎悪を滾らせる者……と様々だ。とは言え、まずは一旦シェルターに戻ることにした。他の皆への報告や今後の対策等やるべきことも山積みだからだ。今からそのまま向かおうという気はさらさらない。





しかし、それは叶わなかった。一瞬の出来事だった。


「そうハさせマせんよぉ」

誰かの声と同時に窓ガラス全てがバリンバリンッと破られてインクの海が何処からともなく現れたのだ。そして、その波はチナミ達を一瞬で呑み込んだ。あまりに突然の出来事なため、皆対処する暇もなかった。


『!!!』

全員なす術もなく波に呑み込まれ、意識を失ってしまった。



ーーーーーーーーーー

「う、うーーーん…………」

「気が付いたか」

辰姫が目を覚ますと目の前にはルーカスが立っていた。他の皆もいた。見下ろして自分の身体を確認してみると、身体にはインクが一滴も付いていない。ルーカス曰く全員波に呑み込まれたにも関わらず、インクは一滴も付いていなかったらしい。不思議なことだが、辰姫としてはベトベトな状態にはなりたくなかったのでひとまずホッとした。気を取り直して辰姫はルーカスに尋ねる。



「えーと。ここは………?」

辰姫が辺りを見渡すと廊下のような場所だった。何もない殺風景な空間だが、白い壁には真っ黒なインクがそこかしらにベッタリと付いている。


「ここはかつての司政官の執務室へ続く廊下よ。わざわざこんな所まで送ってくれるなんてね。アイツらしいわ」

チナミがやって来てルーカスの代わりに答えた。皆目を覚ましたことを確認したデュランは周りを見渡して全員に注意する。


「気を付けろ。奴がこれから何をしようとしているのか知らないが、奴の力は侮れん。気を引き締めてかかるんだ」

全員返事をしたその時、前方にあった扉がギイぃぃーーと開き始めた。まるでさっさと入れと言わんばかりに。全員は顔を見合わせて頷いた。どの道、無事にシェルターへと戻れる保証はないし、何よりもキョウヤを倒せるチャンスなのだ。もう全員の頭に「戻る」という選択肢はなかった。



全員警戒しながら扉を通ってあちこちインク塗れになった不気味な部屋に入った。そこの中央にあった一際大きなインク溜まりから突如ゴボゴボと人影が現れた。キョウヤ・サエジマだ。


「やぁヤァ、ワタシの部屋に来てクれるとは。手厚く招待シた甲斐があったトいうもノだよ」

「あんな大波に呑み込むことが招待だと? 笑わせるな」

デュランが憎悪を剥き出しにして言った。


「お前の目的は一体何だ? マージンの支配か?」

「クカカ、支配? 支配だッテ? こんナ荒廃シ切ったキチガイどもがウジャウジャいル街を? 冗談ダロ」

クカカカカとキョウヤは大笑いする。デュラン達レジスタンスの者達は怪訝な顔をする。


「ワタシはネ、タダ破壊シたいだけナんだよ。この街モ、何もカも。ダガ、唯破壊して皆殺シ……ではつまラない。だから、コうしてゲームをしテ楽しんでいるんジャないか」

「な! ゲームだと…………!」


キョウヤのあまりの言葉にデュランを含めレジスタンスの者達は憤りを見せる。辰姫も怒りを露わに、ルーカスですら不快感を示す。


「あなたの……あなたのそのくだらないゲームのせいでアタシ達の仲間や………お母さんは死んだと言うの!? ふざけないで!!!」

チナミは拳を震わせながら、怒りの言葉を紡ぐが、キョウヤにとっては全く効果がない。柳に風と受け流している。


「ソウ言ったのに聞こエなかったのかい? 随分おめでタイネ。キミの仲間? 家族? そンなもの知っタことデはなイよ。ワタシのゲームをより楽しメればそれデ良いのサ。駒ハ駒ラシくしてイテもらイたいね」

あんまりなキョウヤの言葉に更にチナミは怒鳴って詰め寄ろうとしたが………


「コイツに話なんか通じないよ」

そう言いながら1人の人影が扉から現れた。コツコツと靴音を立ててやって来た人物は……………



レジスタンスのリーダー、スコッチ・クラウドだった。

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