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赤紫の魔剣使い〜少女は異世界を渡り歩く〜  作者: 藪地朝陽
第2章 天空都市のインクの王
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一部合流

この部屋は研究室の一室のようだ。見たことのない機械がいくつも並んでいる。全員で散策していると、奥の方から声が聞こえた。


「うわぁーー! く、来るな!」

「こっちに来たぞ! ジョニー、急げ!」

2人の若い男性が奥の扉から走って出てきた。随分と焦っているようだ。ハーハーと息を絶え絶えに必死に扉を閉める。


「アーガス、サンダーソン!」

チナミが叫ぶと2人は振り返る。


「! チナミか!? 皆も!!」

「助かった! 助かったぞ!!」

2人は仲間が現れたことで幾分か安心したらしい。大声で再会を喜んだ。チナミの紹介で2人の正体が分かった。


この2人はジョニー・アーガスとケックス・サンダーソン。2人ともクラウドの元にいたメンバーで黒髪のメッシュが特徴の男性がアーガス、オールバックの金髪の男性がサンダーソンだ。別の者達と捜査に来ていたのだ。チナミはそんな2人に勢いよく拳骨を食らわせた。


「「いてぇ!」」

「静かにしなさい! こういう潜入調査では静かにするのは基本でしょう! ……それよりあなた達、クラウドさん達と来ていたはずだけど、クラウドさんや他の人達はどうしたの?」

2人はしばらく痛みに悶えていたが、チナミのその言葉にハッとしたように顔を上げる。


「……そうだった! 俺達はお前らより先にここに来ていたんだけど…………」

サンダーソンがそう言うと、アーガスがそれに続く。

「途中でインクの化け物達に襲われて散り散りになってしまったんだ……」


彼らの顔は悲痛さが滲み出る。逸れた仲間の身を案じているんだろう。チナミや辰姫、他のメンバー達も心配そうにしている。だが、ルーカスの方は何かを考えているようだ。


「そういえば、お前らは何から逃げていたんだ?」

そのルーカスの言葉でチナミもハッとした表情になった。


「……! そうよ! あなた達、さっきインクの化け物に襲われたって言ってたけどそれってブロット達のこと?」


ブロットがここにいるなんて……… 厄介ね。そいつらへの対策も考えないといけなくなる。


チナミ達は顔を顰めた。だが、サンダーソンとアーガスが首を横に振った。


「いや、あれは俺達が知ってるブロットじゃない。何かコウモリのような奴らだったんだ」

「コ、コウモリ?」

思わずチナミが聞き返す。辰姫やルーカスを除いた他の者達も驚愕でざわついた。今までそんなものがいるなんて報告になかったからだ。


「ああ、なんかバドみたいな感じの奴らだったんだが」

「いや、バドはあんな化け物の見た目じゃないだろ」

サンダーソンの感想にアーガスが突っ込みを入れる。


バドというのはBED社のマスコットキャラクターの1人でコウモリのような見た目をした子だ。TVアニメのシリーズで長い間やっていたらしい。チナミが好きだったらしく色々教えてくれた。半分以上はどのキャラクターがどういう子なのかとかどの話が面白いとかそういう話だったが。何でBED社を毛嫌いしているチナミがその会社のマスコットキャラクターに詳しいのか疑問だったのだが、本人曰くBED社は大嫌いだが別にマスコットキャラクター達に罪はないとのことだ。


「……それで、そいつらから逃げた後にまた別の変な化け物に襲われそうになって…………」

「……? 変な化け物?」

チナミが怪訝な顔をして尋ねる。


「あ、ああ。インクで覆われたわけじゃないんだが。なんだろうな。ここには化け物も収容されてるのか?」

アーガスがナタリーに尋ねた。


だが、ナタリーは「そんなわけないじゃない」と首を振る。


そんな時、奥の扉の方からさっきの唸り声が聞こえた。2人は顔を青ざめる。


「あれがその変な化け物?」

チナミが尋ねると、2人は高速で頷く。


「悪いことは言わない。ここから早く撤収した方が良い。あれはマジでヤバイ」

「ああ、あんなのがいるなんて聞いてねえよ……」

「あのねえ……そんな泣き言言ってどうするのよ。アタシ達はいずれキョウヤを倒さないといけないんだから、化け物くらい倒せないようじゃダメよ! それに、どの道ここから行かないと先へ進めないんだから」

チナミは扉を開ける。2人は止めようとするが、もう遅い。


一行は扉を開けて奥に入った。


奥の部屋にいたのは獅子の顔や鳥の羽、蛇の尾を持ったまさしくキメラのような化け物だった。

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