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赤紫の魔剣使い〜少女は異世界を渡り歩く〜  作者: 藪地朝陽
第1章 中世の国での運命の出会い
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平凡…………な朝

ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ…………


耳をつんざく電子音が私を夢から現実へと引き戻した。私は目覚まし時計のアラームを止め、画面に表示された時間を確認して思わず呻いてしまった。


7時35分。


しまった…… せっかくの土曜日だというのに昨日の夜いつも通りに目覚ましをセットしてしまったんだ。


二度寝しようにもアラームの音で完全に目が覚めてしまったので全然寝付けない。


仕方なく起きて一度大きく伸びをする。でも早起きは三文の得って言うし別に良いか。こういうのはポジティブに考えよう。そんな時、不意に窓の方から甲高い鳥のような鳴き声が聞こえた。


なんだろう? カラスかな? 窓を開けて上や下を覗き込んでみるが、何も見えない。


……まぁ、いっか。


私は気を取り直して、着替えて朝ごはんを食べに階段を降りていった。下には誰もおらず、机の上に朝食のエッグタルトと牛乳が置いてあった。


ああ、そういえば、今日は朝早くからお母さんは出かけているんだったな。私はエッグタルトを手に取り、たった三口ほどで食べ終えてしまった。


仕方がないのでふとテレビの電源を入れると、ちょうどニュース番組だった。


「では、次のニュースです。今日午前7時頃に新種の鳥が発見されました。これがその映像です。」その言葉の次に赤い変わった容貌の鳥が飛ぶ様子が映った。


へー、こんな鳥がいるんだ。変わった鳥だなぁ…………


牛乳を飲みながらぼんやりとテレビを見ながら惰性で午前中を過ごしていると、私は今日が大切な日であることに気がついた。


「そうだ!今日はマンガカスタムの発売日だった!急いで買いに行かないと」


そう、今日は私が愛読している漫画雑誌の発売日だったのである。私は急いで財布を持って玄関を出て鍵をかけるとそれを買いに駅前のコンビニへ向かった。


…………もしもあのまま発売日を忘れていれば、その後の彼女の人生も大きく変わらずに済んだかもしれない。


ーーーーーーーーーー

私、岩崎辰姫(いわさき たつき)は今年から高校生の15歳だ。成績普通、運動まあまあ。趣味は漫画鑑賞。とにかく漫画が好きだった。周りが引くほどに…… そのためか昔から友達は多いというわけではなかった。一応、人付き合いには気を付けていてそこそこな関係は築けており、それなりに親しい友人もいる。だが、自分のことを漫画オタクと馬鹿にする輩も中にはいた。とはいっても、もともと誰かといちいちつるむのは好きではなかったし、自分を抑えて他人の機嫌を取るのも正直馬鹿らしいので辰姫は専ら一人で趣味を楽しんだ。マンガカスタムは彼女の愛読している漫画雑誌の一つだ。小さい頃から楽しみに読んでいる。


そして、辰姫は無事に毎月楽しみにしている雑誌を手に入れることに成功した。ホクホク顔で帰る途中、辰姫はふと行った道とは違う道に行ってみるかと思った。せっかくの休みだ。たまにはいつもと違ったことをしてみて新しいものを発見してみるのもいいだろう。何か良いことがあるかもしれないし。


そう思うと辰姫は行きの時とは逆の道に進んだ。しばらく歩き、路地の奥の方に辰姫は光る穴のようなものを見つけた。穴は直径二メートル程の人1人入れるくらいの大きさで、穴の先にはうっすらと何か森のような……草原のような景色が見える。ここは元々人の往来が少なかったため今まで誰にも気づかれなかったようだ。


これは一体何だろう?


放っておけば良いものを辰姫は好奇心が刺激されてしまった。辰姫は穴に近付き、よく見ようと覗き込んだら指がつい、つい……穴にチョンと触れてしまったのだ。


それが悪手だった。


ここからは十秒も掛からなかった。


急に指が、続いて腕が穴に吸い込まれていき、最終的に辰姫は全身が吸い込まれていったのだ。急いで指を抜いたり声を上げようとするが間に合わずに辰姫はランプの魔人がランプに吸い込まれるがごとく穴に飲み込まれてしまった。


いつもと違うことをしても良いことなんて全然なかった。………そう後悔するがもう遅い。


そして穴は辰姫を飲み込むと、まるで「これで自分の役目を終えた」とでも言うように消え去り、元々穴があった場所には何事もないいつもと変わらぬ日常が広がっていた。

果たして彼女の運命やいかに? すみません、最初は夏休みの設定にしていましたが、普通の休日に変えておきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 日常から一転、穴に吸い込まれる、どうなることやら?
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