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赤紫の魔剣使い〜少女は異世界を渡り歩く〜  作者: 藪地朝陽
第1章 中世の国での運命の出会い
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幼馴染の物語①

長編です。個人的に何年も温めてきたアイデアなのでどんな作品に出来るか楽しみです。

「ライラーーーー? どこにいるんだーーーー?」

7歳くらいの少年は薄暗い森の中を彷徨っていた。亜麻色の髪に青い眼をしたなかなか整った顔をした子だ。なぜこんな暗い森に子供が1人でいるのかというと、いつも一緒に遊んでいる幼馴染がまた(・・)迷子になってしまったからだ。それで探しに来ているのである。といっても、彼女が迷子になるのはいつものことなのでどこに行ったかは大体見当がつくが。


しばらく歩いていると聞き覚えのある少女の泣き声が聞こえた。その声を聞くと少年は走って声の聞こえた方へ向かった。


そこには5歳くらいの少女がしゃがみこんで泣いていた。青いワンピースを着た黒髪黒目で可愛らしい感じの子である。しかし、今は目から大粒の涙をポロポロと流していてその可愛い部分が台無しになってしまっている。どうやら、暗くて誰もいない森の中で随分と心細かったようだ。


「はぁはぁはぁ………やっと見つけたぞ。ライラ」

ライラと呼ばれた少女はその声を聞いてゆっくりと顔を上げて腰に手を当てながら呆れた表情を浮かべている少年を見るとさっきまでの泣き顔が嘘のようにパーっと嬉しそうに輝いた。


「ルカ!!」

「はぁ……全く。ちょっと目を離すとすぐに迷子になるんだから」

「エヘヘ……」


服の袖で涙を拭ってライラはニカっと笑った。



ーーーーーーーーーー

「それで、ライラはどうしてこの森にいたんだ?」

帰り道、ルカがライラを背負いながらふと尋ねた。ライラが足が挫けて動けないって言うからだ。


「それはね、えっと……… 内緒!」

「? なんだそりゃ?」

「でもルカってスゴイね。こんな森の中でも全然迷わないんだもん」

「そりゃあ、幼馴染がいつもこの森で迷ってそれを連れ戻すのに何回も潜ってたらイヤでも道を覚えるよ」

「……アハハハ。ごめんなさい」


やれやれとルカは溜息を吐いた。そう言ってもライラは懲りないからな。2人はなんとか村へと帰って行った。ライラは泣き疲れたのか途中で寝てしまっていた。そして家に帰ると、勝手に森に入ったライラは勿論のこと、何故かルカまでとばっちりで怒られたのは言うまでもない。子供心に理不尽だと感じたものである。



ーーーーーーーーーー

翌日………


「はいっ!」

ライラから渡されたのは七色に光る松ぼっくりだ。ルカはいきなり渡され戸惑った。村の子供達の間では人気の物で珍しいからこれを持ってるとしばらくの間はヒーロー扱いだ。だから、ルカも欲しいとは思っていた。だけど、確かこれは森で見つけるのがすごく難しかったはずだけど………


「ルカはずっとコレ欲しがってたでしょ? だからプレゼントだよ! 昨日森で見つけて来たんだ!」

そう言ってライラはにしししと得意げに笑った。どうやら昨日森に入ったのはこれを採るためだったらしい。珍しいし綺麗な色だし、ずっと欲しかったからすごく嬉しい……………けど、


「ありがとう。でも今度から勝手に森に入っちゃダメだよ。森は本当に危ないんだから」

「うん!」

……この子は本当に分かってるのかなぁ?


ルカはライラのプレゼントに喜びながらも反省しているとは思えない幼馴染に対して静かに溜息を吐く。子供ながらに最近、溜息が多くなったような気がする。


彼女の方向音痴でマイペースな所にいつも色々と振り回されいるが、それでもどこかそれを楽しんでいる自分がいてルカは少し驚いていた。


でも多分こんな幼馴染だからこそ僕も一緒にいて飽きないんだろう。


ルカはそう思いながら、ライラの頭を撫でて苦笑い混じりに微笑んだ。

子供の間で持っていたらヒーロー扱い……みたいなものってありますよね。


ちなみに、ルカが怒られたのはライラを探すためとは言え、森に1人で入ったからです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 七色の松ぼっくり、異世界らしいものですが、特別な力があるのだろうか?
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