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俺とピロ  作者: ベン マウント
9/32

事件

朝から体がだるい、頭が痛い、どうも風邪をひいたらしい

「ピロ、風邪ひいたらしいけど、治すことできないか」

何時も通り簡単に治してくれるだろうと思ったが

「できない」

ピロが初めて出来ないと言ったのだ、意外だ、驚きだ

「この国では風邪って言うんだね、ピロのいた世界では、幾ら研究しても治せなかった病気だよ、地球人に比べて脳ばかり発達して体力がないから、死ぬことは何とか薬で抑えたけど、治るのに時間がかかる、一番怖い病気だったよ」

「そうなんだ、わかった、しかし弱ったな」

今は普通に署に戻って、通常勤務なので出勤しなければならないのだが、仕方なく署に連絡をして休暇を取った、だが熱がどんどん上がり、医者に行こうにも眩暈がして、家を出る事も出来ない、熱を測ってみると三十九度を超えている、

「不味い、ピロ何とかならないか」

「この病気だけは駄目、方法がない」

風邪って損な大変な病気なのか、ピロが居るから不死身になったような気がしていたが、こんな事もあるんだ、困ったな、そう思ったが、どうする事も出来ない、ベットに横になったまま、うつらうつらとしていると、ピンポーンと玄関に来客、誰が来たのか気になる、やっとの事でインターホンの処まで行き

「どなた様ですか」

「私、良子、田倉良子、風邪ひいたんだって」

「うん、まあ、貴方が、どうしてここに」

「署からお父さんの処に電話があったとき知ったのよ、それで休んでいるっていうから、看病に来てあげたの」

どうして署から電話なんか、そう思ったが、この際信用できる人が居る事は、安心だ助かる

「ピロ、玄関開けて」

インターホンで

「兎に角入って、でも風邪がうつるといけないから、注意してね」

玄関を上がり、歩いてくる足音がする

「此処にいたの、大丈夫」

インターホンの下で蹲っている俺を見てそう言った

「御免、全然大丈夫じゃない」

何とか力を振り絞って立ち上がるが、眩暈がしてよろける、、其れを良子が抱き留めてくれた、肩を借りてベットに戻る

「貴方のいる署の管内で、父が呼ばれた行事があるらしいの、警備の事で署から秘書に電話があったので、あなたを知っていると言ったら、今日はいわれたって風邪で休んでいるっていわれたって、だから」

「政界の大物が俺を知っているなんて、おかしいだろう」

「だから、細かい事は言わなかったけど、娘が世話になった事があって、知っているくらいに言ってあるらしいわ」

「そうか、総監とか大物政治家とか、また説明が大変だ」

「お父さんが看病に行って来いって、でもよかったじゃない、その様子じゃあ、ご飯も食べられないんじゃないの」

「まあそうだが」

「朝ごはんまだでしょう、おかゆでも作ってあげるね、それまで大人しく寝てなさい」

あのじゃじゃ馬が、凄く頼りになる気がして、何だか凄く安心した、そのまま眠ってしまったらしい

目を覚ますと窓の外は西日が差している感じだ

「目が覚めた」

良子が椅子に座って傍にいた

「おかゆ、温めて来るね」

そう言ってたって行く、その後姿を見ながら小さいころ、病気で寝ているたとき、寝床から見る母の後ろ姿を思い出した、家族と言うものがいなくなって久しい、この家に自分以外の人が居る事が、なんだか嬉しく心が温かくなった

「何を考えているんだ」

俺はおかしい、変だ、思わず自分へ声を出して叱る、良子にずっとこのままいて欲しい、なんて心のどこかで思ってしまったのだ、俺は何処かで家族と言うものに、飢えていたのかもしれない、そんな事を考えながら熱は下がったかなと額に触ると、何時の間にか額に熱さましが貼ってあった、それに気づいて再びジーンと来てしまった、熱さまシートなんて昔母にして貰って以来だったから、そんな感慨にふけり少しウルっとしていると

「出来たわよ、今日は朝から何も食べてないんでしょう、体力が付かないわよ」

そう言ってトレイにのせて、お椀に盛ったおかゆを持ってきてくれた、、家から持参したのかエプロン姿がとても良く似合って居る、只じゃじゃ馬なお嬢様じゃなかった、料理などもできるんだ

「ありがとう」

素直に礼を言って粥をスプーンで口に運ぶ

「うまい」

そう呟くと

「おいしい、よかったぁ」

そう言って喜んでいる、その顔がとてもかわいい、俺が良子を感謝と共に好きだなと思ってしまった、俺は自分で思って居たよりも、ずっと単純な人間だったようだ

「熱も下がった様だ、ありがとう、助かったよ」

「どういたしまして、お役に立てて良かった、じゃあ帰るね」

「うん有り難う、帰りはどうするの」

「歩いて通りに出たらタクシーで帰る」

「御免な、送れなくて」

「ううん、病気だものしょうがない、又来るね」

「うん、また来て」

自然にそう返していた

「本当に、また来て良いの」

目を輝かせている

「良いよ、世話になったし、何時でも来てください」

「やったぁ、やったぁ、やったぁ、来て良いって言ったよね、よし、じゃあまたね」

スキップをするようにして帰って行った、そんな仕草迄可愛いと感じるようになってしまっている、俺はあの親子に完敗した気がしたが、悪い気はしなかった


出勤すると同僚が

「もう大丈夫か、うつすなヨ、治りかけは移りやすいって言うからな」

「大丈夫、三日も休んだんだから、完治してるよ」

結局、三日も休む事になった、その間良子は毎日看病に通ってくれた、完全に俺の負けだ、これからは顔を見ないと寂しくなりそうな気がする

「お前なあ、総監と言い、政界の大物と顔見知りとか、只の平刑事がどういう事だ」

「たまたま、偶然が重なっただけだよ、どうって事はないですし」

「馬鹿野郎、名前を憶えて貰うだけで、凄い事なんだぞ」

「何言ってるんですか、同じ人間でしょう」

「人間でも、違うんだよ」

「そうかなあ」

この上、良子が彼女なんて事になったら、相当ヤバい事になるぞ,冷や汗ものだ

「まあいいや、捜査に行くぞ」

傷害事件の捜査だ、地道にピロ抜きで行こう、繁華街で街のチンピラ風の連中に聞き込みしていく、大概が警察手帳を見せるだけで、反抗的態度を改めて素直になる、皆、叩けば埃が出るからだろう、何十人に聞き込むうち重要な情報を得た、被害者は袋叩きにされて公園に放られていた、てそれを公園に住むホームレスが発見し知らせたおかげで、昏睡状態ではあるが命は助かった、犯行現場は別で犯行が行われた後、公園に運ばれてきたことは、鑑識の調べで分かっている、だから犯行現場が分かればぐっと犯人に近づくのだ、その現場が割れそうな情報が聞込む事が出来た

「本部に応援を頼まなければ」

そう言ったのだが相棒の坂田は張り切り過ぎだ

「まだ、確信を得たわけでは無いんだ、まず確証をえてからだ」

そう言って走り出した、入り組んだ路地の奥にある一軒家、車も入らない小路の奥にある、近づくと歩きに変え更に足音を忍ばせて近づく、以前は酒場でもやっていたのだろう、隣との狭い通路を通って裏に回る、家の中から話し声が聞こえるが、日本語ではないがピロが翻訳してくれる、坂田に言う訳にはいかないので、黙って翻訳を聞く

「あいつは死んでいなかった、息を吹き返したら不味いって言ってるよ」

犯人たちは外国人の集団らしい

「宝石店を襲った分け前でもめたらしいよ」

最近都内で多発していた、宝石強盗の犯人たちらしい

「どこかの組織が迎えに来て、海外に脱出だって」

「坂田、俺達だけでは手に負えない」

小声で耳打ちする、少なくも五、六人は居る、言葉は分からなくても話し声からそう感じた、坂田も分かったのだろう頷いた、そっと元来た道を戻る事にする、戻り始めた所で急に前方を塞がれた、七、八人いる、目的の場所に気を取られ、周りに人気が無い事に気が付かなかったが、再開発の為だろう周りは空き家ばかりのようだだ、例の家からも男たちが出て来た、挟まれて逃げ場がない、相手は終始無言だ、こういう事に慣れているのだろう

「不味い、相手が多すぎる」

「何とか囲みを破って逃げるしかない」

本当はこの位の人数ならどうって事は無いが、坂田が居ては使え無い、普通に格闘し一人ずつ倒していくしかない、路地が狭いため一斉にかかって来れないのが幸いしている

「くそう、てめえ、うっ」

坂田の声がした木刀のようなもので殴られ、昏倒して倒れたまま動かなくなった、坂田には悪いが良かった、これで奥の手が使える、指先に高圧電流を発生させる、そして男たちに触れて行く、触れる端から男達は面白いように倒れて行く、あっという間に全員が気絶した、男たちのいた家に行き、男たちを拘束するものを探す、都合よく縄などはなかったが、結束バンドが袋に入ったまま置いてあった、急いで引き返し気絶している男たちを、後ろ手にして両手の親指と親指を、結束バンドで結束していく、全員を結束し終わった、これで逃げる事は出来ない、十六人が転がっている、本部に連絡し終わると坂田に活を入れ正気に戻すと

「いってえ、ちくしょう」

「大丈夫か」

「ああ、瘤にはなったが大丈夫そうだ、それよりどうなった」

男たちを見て

「お前、凄いな、何時からそんなに強くなった」

「いや、俺一人じゃないよ、何処の誰かは知らないが、男の人が五人手伝ってくれたんだ、凄い強い人達で、あっという間に片付けてくれた、終わったら関わり合いになりたくないって言って、行ってしまった、警察は嫌いだとさ」

「そうか、行ってしまったか、そうだよな、お前一人でこの人数無理だよな」

納得したようなしないような、複雑な表情でそう言った、暫くして制服から私服十数人が駆け付けてきた、鑑識も一緒だったから、路地はお祭りの様だった

一連の騒ぎが収まると、本部は解散、宝石強盗の犯人たち迄逮捕となり、署長は大満足のようだった

「噂はほんとうだったな」

坂田がそう言う

「何が」

「お前が加わると事件が早期に解決するって」

「一緒に居て分かっただろうが、偶々偶然が重なっただけだって」

「うん、それはそうだが、偶然五人もの人が応援に来るものかねえ、偶然過ぎる」

「しかし、そうだったから、俺もお前も無事だったんだろうが」

「そうなんだが、なんか、すっきりしない、おかしい」

「事件解決、宝石強盗迄逮捕、警視総監賞までもらって、何がすっきりしない」

「俺は気絶していただけだったし」

「其れは黙っていろと言ってるじゃないか、貰えるものは貰えば良いんだから」

「まあ、良いそれはそうだな、そして本条有り難う、ありがとな、俺の勇み足で下手をすれば命が無かったところを」

「気にするな、お礼なんていいよ」

坂田も一緒に五人の男が手伝ってくれたと主張してくれた、そうしてくれたおかげであまり追及されずに済んだんだ、お礼が言いたいのはこっちだ、何れにしろ納得はしてくれた

そんなこんなで、無事捜査本部は解散になったが、それですべてが終わったわけでは無かった、鏑木から連絡が入ったのだ

「これはまだ伏せておいてください、そちらの傷害事件と例の誘拐、狙撃、の犯人達が全部同じ国の連中だった、そちらの現場の家から誘拐犯、狙撃犯の指紋も検出されました、公安に指示は出したが、本条さんはどうします」

「再三手を回して貰うと、不自然ですよね」

「でも、田原さんに何もなければいいのですが」

「そうか、奴ら、やることなす事を端から潰された感じですからね、でももう法案も潰れたんでしょう」

「それが、また復活させようとする一派があるようなんです」

「そんな事、有り得るんですか」

「余程の大物でなければ、出来ない話ですが」

「だったら、それが可能な人間は限られるでしょう」

「それはそうですが、そこまで大物になると、分かっていてもこちらは手が出せない」

「誰だか教えて貰えます、俺が調べてみます」

「できますか」

「できます」

「貴方なら出来るでしょうね、あれほどの大物になると、公安にも通じている者がいないとも限らない、お願いできますか」

「任せてください、名前は、其れとデータは」

「この間の者に持たせます、奴は信用できるから」

「了解しました」

打ち合わせ通りデーターは手に入った、権藤源蔵、田倉と与党を二分する勢力の領袖だ、何時ものし

様にピロに記憶して貰い、書類は消滅てもらった




















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