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俺とピロ  作者: ベン マウント
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治療

本条隼人、都内警視庁管轄の警察署の刑事だ年齢三十二歳、どうにか刑事にまではなれて、刑事課に、所属しているが万年平刑事所で終わるだろう、周りも本人もそう思って居たのだが、最近密かに注目を浴び始めた密かにのだ、小さな事件だが隼人が関わると事件が早く解決するのだ、人には言えないが、例えば窃盗事件、現場に行くとピロが教えてくれるのだ

「臭いをたどればいいよ」

「臭いって」

ピロは臭いセンサーによって犬の臭覚の何倍もの臭いを感知できるようだ、隼人にだけ見える姿で現れてくれる、好きな姿に成れるので、リクエストする、今は白猫になってもらっている、人の姿だと幽霊のようでなんとなくいやだから

前を走るピロを追って行くと、今は使われていないらしい倉庫のような建物の前に出た、ピロ猫がここだよっと教えてくれた、大きな扉の一部に小さなドアがついている、ドアを開けそっと中に忍び込む、奥の方で人の気配がする、耳を澄ますと何か話し合っているようだ

「この辺りもやばくなった、稼ぎ場所を変えるか」

「そうだな、警察も動き出したしな」

そんな声が聞こえた、静かにそっと倉庫を出る、此処からは同僚たちにやって貰う、スマホでは俺だと言って居るようなものなので、公衆電話を探すいがいに近いところにあった、近いボックスに入り110番する

「警察ですか近くの空き倉庫に不審な男たちがいます」

場所を言って電話を切る、現場の仲間の刑事に言えばいいのだが、どうして分かったのかピロのことは言えないし、説明が面倒だから、と言って一人で捕まえる事は出来るが、そんな事をしたら尚更面倒な事になる、奴らを逃がして被害者を増やしたくはないし、結局この手しかないのだ

すぐに現場に連絡が入り、急遽現場の刑事たちが空き倉庫に急行し、犯人たちを逮捕、事件は呆気なく解決してしまった

半年が過ぎた頃、こんな調子だから管内の窃盗事件など次々に、しかも早期解決することが多くなった、署長は出世が確実視されご満悦、一般署員も活気に満ちていた、自分たちの職場が警視庁傘下で、事件解決率断トツでトツトップに躍り出たのだから当たり前の事だ事、その頃誰言うとなく

「本条が関わると事件が早期解決する」

そんな噂が立ち始めてしまった、隼人を小馬鹿にしていた同僚刑事達の態度が激変した、万年平と小ばかにしている感じだったのが、チヤホヤ感に変わったのだ

「ヤバい、ちょっと遣り過ぎた」

今のところ隼人が手柄を上げる状況で、解決した事件は一件もない為、噂の域を出ないが、少し自重した方がよさそうだ、管轄内の事件すべてが解決しているわけではないのだから、ところが隼人の関わった事件は100パーセント解決していた、それが全て謎のタレコミのお陰なのだ、いつも隼人が一人で居なくなるのもおかしいと思われ始めた、トイレを借りに行ったとか聞き込みしていたとか、何とか言い逃れていたが、たれこみしてくれる人は、声質がいつも同じだとか、録音されているタレコミ電話の声紋を調べようかとか、そろそろヤバい、ピロの活躍は暫く封印しよう


ピロの能力は封印したが、特別なミスをしたわけでは無いので、チヤホヤ感こそ無くなったが、小ばかにされた扱いもなくなった、平凡な刑事の扱いになっただけだが、ある傷害事件の聞き込み捜査をしていた、ピロを使えば多分すぐに解決してしまうが、今は自重して地道に捜査している、聞き込みの為被害者の入院している病院にいた、生理現象で病院のトイレ寄った時、出入り口で中年の男性とぶつかりそうになった、目が合うと慌ててマスクをするのが気になった、変な人だな、その時はそう思っただけだが、なんとなく引っかかるものがあった、どこかで見たような気がする、その時はそう思っただけだったが、病院を出ようとしたときに突然思い出した    

「あの人は確か今の警視総監で鏑木陽介」

スーツ姿ならすぐに分かったと思うが、パジャマだったのでイメージが違い過ぎて分からなかった、、どうしてあんな所に、しかも隠れるように、気になる

「ピロ、この病院のコンピュータのデータ調べられるか」

「こんな初期のコンピューター簡単にできるよ」

「鏑木陽介という人のデーターがほしい、この病院に入院している筈だ」

5分ほど待つとピロの声が脳内に響く

「データーを映像化しましょうか」

「頼む」

カルテがパソコンの画面のように現れる、ドイツ語なのか意味が分からない

「ピロ、わかりやすく翻訳して」

「いいよ、簡単に言うとすい臓がん、肝臓に転移している、余命長くて半年って書いてある」

絶句した、隼人が唯一尊敬できる警察官僚、その人が余命半年、そんな、あの人にはできるだけ長く今の座にいてほしい、そう思っていたのに

隼人が警察官になりたてのころ、指導してくれていた先輩が国会議員の息子とトラブルになった、親の権威を傘に着て飲食店で、女の子に猥褻な行為を強要、注意した店員が殴られた、110番で通報が入り現場に急行した先輩に、取り巻きの男たちが

「彼の親父は政界の実力者だぜ、穏便に済ました方がアンタの為だよ」

と半ば脅してきたが、先輩はまだ酔って暴れようとするドラ息子に、手錠をかけて連行してしまったのだ、

署長たちは大慌て大物国会議員の息子を逮捕したのだ、ただでは済まない

「不味いよ、大事にならないうちに帰した方が」

「壊したものは弁償するから、酔っ払っての事大だし」

案の定、弁護士を立ててすぐに釈放するよう圧力をかけてきた、署長は困り果て上に相談したのだが、本庁の上司は誰も自分の保身のため相談には乗ってくれなかった、其ればかりかこれ以上、上に、伝わらないうちに所轄の事件は所轄だけで処理しろ、そう命令されてしまったそうだ、だが責任逃れの幹部達は、どうするか決まられないまま、時間が経ち当時刑事部長だった鏑木の耳にも入ってしまった、、その時即座に

「警察として何の問題があるのですか、未成年ではないのだし、親は誰だろうと関係ないと思いますが、規則に沿って通常に処理しなさい、これは命令です」

鶴の一声、ドラ息子は犯罪者として裁かれる事となった

今まで数々の問題を起こし、親がもみ消していたが、、この事が発端で様々なボロが出てきてしまい、親の地位も危なくなってしまった、その上歴代の警察庁幹部達も揉み消しに関与したとかしないとか、そんな話にまで発展していった、隼人としては胸の透く思いだった、こういう人が警察の上にいれば、世の中も少しはよくなるだろう、そう思ったものだ


深夜の病院の一室、眠れずにベットに横になっていた鏑木は、突然ベット脇に現れた人影に驚く

「総監、お初にお目にかかります下町署の本条と申します、突然現れての失礼お詫びします」

「確かに,驚いたが、こんな夜中に常識的には問題だが、まあ、いいだろう、何か用事かな」

自分のこんな登場の仕方なのに落ち着いて対応する、腹の座った人だな、と感心してしまう

「信じてもらえないかもしれませんが、あなたの病気を治せる、と言ったら信じますか」

突然の信じられない質問に、暫く無言で本条の顔を見つめていたが

「ほう、確かに信じ難い話だが、どうせもって半年と言われたこの体だ、治るというなら言うなら信じてみたいね」

その時鏑木は何故かこの話は信じられると思ったそうだ

「絶対に秘密にして頂きたいのですが」

「約束するよ、駄目なら死ぬんだからね、死ぬまで秘密にすればいいのだろう」

「はい、そうです、ここでは秘密は守れません、どうせダメなら治療はいらないと言うことで、明日退院してください、そして仕事は続けていてください」

「警視総監を続けろと」

「そうです、まだ公表してないのですから、大丈夫なんでしょう、体力的に無理ならば仕方ありませんが」

「いや検査で分かっただけで、まだ自覚症状はないから大丈夫だ」

「ではそうしてください、それでは今からこの薬を飲んでください」

そういってカプセル状の薬と水の入ったコップを差し出した

「これを飲めばいいのかな」

「はい」

鏑木は躊躇なくそれを口に含んで飲み下した

「これで大丈夫、治りますから後はいままでどおりに生活してください、其れから、私の事は忘れてくださいね、名乗ったのは、回りくどい説明より早いと思っただけですから、では失礼します」

そういうと部屋を出て行ってしまった、鏑木は呆然として出て行ったドアを見ているしかなかった


少し時間をさかのぼる

隼人はピロに聞いてみた

「ピロ、がんを治す方法はないかなあ」

「あるよ」

簡単に答える、余りに簡単そうに答えるのでかえって不安になる

「あのカルテを見た人だね、治療用のナノマシーンを飲み込んでおけば直るよ」

小さな小さなロボットを飲み込んで直すのだそうだ、癌だけをやっつけるそうだが理屈はよくわからない

一瞬見えなくなったピロが、再び現れると

「手を出して」

言われるままに手を出すと、何やらカプセル状のものがオブラートのような物の中に入って乗っていた

「ロボットは治療が終わっても、その人が生きている間体内を巡って、監視してくれるから病気にかからなくなるよ」

だそうだ

「凄いな、それが副作用か、副作用も凄いじゃん」

いずれにしろ尊敬する人が助かるのが分かったのが嬉しい

鏑木総監は周りからも好かれていて、周りから押し上げられるようにして総監になったそうだ、他人を貶めてでも出世したい奴ばっかりの、官僚世界において極稀な存在なのだ、後は病院に潜入して、本人が納得してこの薬を飲んでくれるかだが、潜入はピロの力を借りれば簡単な事だ、早い話が透明人間、しかも不思議な事に壁やドアは透過してしまうのだ、いわゆるテレポートと言う奴だ、信じられないけど現実に体験しているから、なんとも




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