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俺とピロ  作者: ベン マウント
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13/32

本庁の警部

翌日竹林の会社を訪ねた、高層ビルに向かって立ち、何階あるか、十階までは数えたが、三十階以上はありそうだ、面倒になり数えるのをやめた、自社ビルのようだ、広いロビーを抜けて、受付のカウンターに向かう、奇麗な女性が二人こちらを見ていた、用件を言うと

「専務から伺っております」

こんなでっかい会社の専務か、改めて竹林の地位の凄さに驚く、本来なら俺が話も出来ない人間だ、迎えが来るというのでロビーのソファに座って待つ、すぐに竹林がやって来た

「やあ、昨夜はお疲れ」

「始めて来たけど、でかい会社なんだな、その専務って、俺なんかと付き合って居て良いのか」

「何を言ってるんだ、うちの筆頭株主の何倍も貢献して貰って居るのに、本来なら俺が隼人にペコペコしなきゃいけないとこだよ」

「冗談、間違ってもそんなことするなよ、そんな事をしたら友達の縁を切るからな」

「怖い怖い、縁を切られたら、うちの会社が危なくなる」

「冗談はそのくらいにして、出掛けるのか」

「うん、工場の方が色々分るだろう」

「そうか、じゃあいくか」

ビルを出ると高級車が横付けして待っていた、秘書だろう扉を開けて待っている

「今日は君来なくていいから」

「はっ、?」

「会社にいてくれ、今日は親友と工場に行って来るが、あんたは邪魔だ、会社で待っていてくれ」

「かしこまりました」

車に乗り込む、行き先は分かっているらしく走り出す

「秘書を返しちゃっていいのか、俺はお前の秘書なんかやった遣らんからな」

「頼まないよ、お前に秘書なんか頼んだら、まとまる話も壊れるよ」

「分かって居れば良い」

真面目な顔をして、そんなやり取りをしている、運転手が笑いを堪えているのが分かる、肩が小刻みに震えているからわかる

「ライバル以上のものが出来れば、状況をひっくり返せるのか」

「そんな事があればな、でも実際はそんな事有り得ない、もう諦めているんだ、傷が最小限で済むように、対策を始めている、最悪お前の資金借りるぞ」

「ああ、どんどん使え、でも、そうならないような発明が有ればいいな」

「そんな都合良く、有る訳ないだろう」

「そうか、そんな難しいものか」

「うちの何十年のベテラン技術者が、何年もの研究を経て完成させたんだ、軽い話じゃない」

「そうか、残念だな」

工場に到着した、工場の幹部達だろう、守衛所脇に並んで出迎えている

「おいおい、仰々しいな」

「大袈裟な、ちょっと見に行くだけ、と言ってあるのに」

「偉くなると面倒だな、あーやだやだ」

「うるさい、自由人め、俺の苦労を知らないくせに」

「知りたくもないね、辞めてくれよ、大名行列みたいなのは御免だからな」

「分かってるよ」

車が止まると、竹林は降りて行った、運転手が声を殺して笑って居る、工場長だろう一人残って、そのほかは工場内に散って行った

建物の中にに案内された、兎に角広い、この中を見学は嫌だな、竹林に頼む

「製造工程はいい、製品だけ見せてくれ」

すぐに倉庫に向かった、山と積まれた箱詰めの製品があった、箱を開いて見せて貰う

「ピロ、わかるか」

「うん、原始的なバッテリーだね」

「これを改良する事は出来る」

「簡単だよ」

「この工場で出来そう」

「出来るよ、この世界に合わせたレベルで、造れるようにすればいいの」

「そうなんだ、頼めるかな」

「いいよ」

これで、後はどう誤魔化して、製品にさせるかだが、謎の人物を作っておく事にすれば良いか

「竹林、分かった、後簡単な略図で良いから欲しいな、パンフレットみたいなものが有ればいいが」

案内してくれた工場長が

「プレゼンの資料がありますが」

「良いですね、それを貸して下さい」

何も必要無いのだが、其れらしくしなければ、怪しまれて後々面倒になるから、資料は貰ったし長居は無用だ

「良し、帰ろう、三日ほど時間をくれ、行って聞いてみる」

「俺も会えないか、その人に」

竹林が言うが、冗談じゃない、会う人はいないのだから

「変人でな、俺以外会わないんだ、俺はスポンサーだから、こんな事もあろうかと投資しておいたんだが、いい案を持っていると良いんだが」

「そうか、残念だな、俺も会って見たかった」

「その辺は勘弁、へそを曲げられると、元も子もない、機嫌を直すのは大変なんだ」

「そうか、分かった、じゃあ、任せて悪いが、よろしく頼む」

「ああ、何か案が有れば良いがな、確実にあるわけでは無いからな、何もないかもしれないぜ」

「勿論それはしょうがない、有れば儲けものだと思ってはいるけど、可能性があるなら聞いてみてくれ、藁にも縋る状況だからな」

「おう、分かった、兎に角聞いてくる」

「すまん、頼むよ」

粘られなくて良かった、冷や汗ものだ、同でも会いたいと言われたら、どうしようかと思った、その日は家まで送って貰って、そのまま別れた

三日後竹林の専務室で

「これを製品に組み込めば、三倍の能力になるそうだ、俺には分からんが、蓄電量が増えるわけでは無い、そうだ、蓄電したものを使うとき、電力を増幅して、三倍使えるようになるとか、詳しい事は分からん、これが図面だ」

竹林も

「これは俺にもわからん、工場へ行くぞ」

「お前が行けば良いだろう、俺は帰るよ」

「そうか、悪かったな、分かった、ありがとう、その話が本当なら、世界の業界をひっくり返すような発明だと思う、結果はまた連絡する」

「良い結果だと良いな、じゃあな」

仕事の合間に竹林を訪ねているので、長居は無用だ、早く仕事に戻らなければ、急いで所に戻ると、同年代の見慣れない男が居た

「本庁の斎藤警部だ」

課長に紹介された

「あんたが、最近売り出し中の本条さんかあんたが、」

「売り出し中って、大安売りの方ですか」

「そうかもね、あちこちで名前を聞くから、そうかもしれない」

「ははは、そんなに有名なんですか」

「相当なものだよ、天狗になってないか心配になる位」

何故か態度がでかい、課長の方が位は上の筈だが、課長が

「本条に限って、奢った所などありませんよ」

「そうなら良いが、ちょっと道場で付き合わないか」

「何ですか、柔道対決とか」

「そうだ、軟弱な奴が余り有名になると、心配でね、夕方道場で会おう」

そう言って部屋を出て行ってしまった、課長に

「どういう事なんです」

聞いてみる

「お前が捜査一課に行くのを、嫌がって居るのが気に入らないのさ、教育の名目でお前をコテンパンにやりに来たんだよ、奴は全日本柔道でも上の方に居る、今まで何人奴に潰されたか、捜査一課以外があまり目立つと、あいつが出て来るのだ、出る杭は打たれる、いやな奴に目を付けられたな」

「そうなんだ、俺、そんなに目立っているかな」

「お前は控えめにしているが、署の人間が自慢げにお前の事を言うから、噂に尾ひれがついてしまったようだ、怪我をさせられないように、気を付けろ」

「俺が勝ったら不味いかな」

「勝てる訳ないだろう、あいつに」

「分かりませんよ」

「お前、そう言う処が気に入らない原因かも」

「忠告有り難うございます、大丈夫、心配ありません」

「そうか、とにかく気を付けろ」

そのまま、捜査に出て夕方戻ると、斎藤が待っていた、お供の刑事が二人いる部下なのだろう

「待ってたよ、行こうか」

先に立って歩き出した、後ろからは二人が付いてくる、逃がさないようにって事か

「斎藤さん、お願いが有るんですが」

「なんだ」

「人払いして、二人だけにして貰えませんか、斎藤さんに敵う訳ないし、無様な姿を見られたくないんです」

「良いよ、武士の情けだ、そのくらいは、その代わり手加減できなくても、だれも止めてくれないぞ」

「覚悟してます」

思いの外簡単に了解してくれた、絶対の自信のようだ、ドラマなどで切れ者、実力のある者そんな警察官は、冷遇される設定になっている、実際にそんな事があるとは、驚きだ

「丁度誰も居ないようだ、お前たち誰も入らないように、此処で見張っていてくれ、お前たちも入るんじゃないぞ」

「はっ、分かりました」

中に入り柔道着に着替えるて、対峙する

「何時でもかかって来い」

あまりに自信満々なので、からかってみる

「いえ、そちらから、何時でもどうぞ」

「貴様、な寝ているのか」

襟を取りに来た、その手を取って一本背負いで投げた、どすん、と畳に叩きつける

「うっ」

痛そうだ、やられりと思わなかったので、受け身をとれなかったようだ、痛みを堪え立ち上がった

「甘く見ていたようだ、本気で行くぞ」

本気で来ても、こちらからは動きが良く見える、今度は用心しながら掴みかかって来たが、踏み込んだ足を払う、見事に横倒しに転がった、完全に切れたようだ、殴りかかるように向かって来た、襟を取られたが此方も襟を掴み巴投げ、見事に決まった、十数回投げ飛ばした、最後は仰向けにたおれたままたおれたまま動かない

「本条さん、凄いな、前日本でも軽く優勝できる、慢心していたのは俺の方だな、警視庁の代表はこれからは、あんただ」

「いや、これは誰にも言わないで欲しいのですが、俺は大会委のような物にはでられない」

「どうしてだ、そんなに強いのに」

「秘密のドーピングをしているからです、だいたい俺は優勝とかそう言う目立つことは嫌いだ、悪い奴さえやっつけられればいいんです、だから今日は斎藤さんに、コテンパンにやられた事にしてください」

「こうなるから、人払いしたのだな、俺は飛んだ道化者だったわけだ、完敗だ」

「だましたようで悪かったけれど」

「いや、俺の事を思ってしてくれたんだ、礼を言うよ、この姿を人に見られていたら、俺は警察にいられない、聞いていると思うが、今までが今までだからね」

「もう、辞めてくださいね、止めないようなら、人前で恥を掻くことになりますよ」

「もう出来る分けないだろう、此処までされて、おとなしくなるよ」

「今日の事は絶対に他言しないでください」

「あんたが言わなきゃ、俺が言えるかよ、こんな惨めな事」

「俺は絶対言いませんよ、では、帰りますけど」

「ああ、色々気を使ってくれて、ありがとう」

「いえいえ、それじゃあまた、しょんぼりした振りをして帰りますから、堂々として帰ってくださいね」

「分かった、ありがとう」

道場を出ると、見張っていた二人が同情するような目で俺を見て来た、肩を落として道場から帰ってきた



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