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俺とピロ  作者: ベン マウント
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プロポーズ

都内にこれだけの屋敷を構えるとは、政治家として三代目と言うが、国会議員は其れほだ高給なのか、議員報酬だけではやって行けるはずがない、まともに国会議員の仕事だけしていては、とても無理な話だろう、そう思わせるほど立派な屋敷だった、だが人の事は言えない事実が世間に知れれば、俺もそう思われるかもしれない、こんな屋敷等と桁が違う資産を持っているからな、そんなことが頭を過ぎったが、この際そんな事はどうでも良い、俺の関係する人達を襲った犯人達と、関係してさえいなければ、放って置いてやるのだが、兎に角探ってみる事にしよう、都合よく屋敷の隣に神社があった、神社に何本ものヒノキの大木が生えている、見張るのにちょうど良い具合に生えている,見えやすい位置にある大木の上から見張っていると、黒い大型乗用車が入って来た、何処かの大使館の車のようだ、暗い色のスーツを着た五人の男が車から降りた、真っ直ぐに玄関を目指し中へと入って行く、出迎える者もなく来慣れた感じだった、様子を見るため屋敷に侵入しようとした、その時、、早くも男達がげんかんから出て来た、車に乗り込むと急発進で出て行く、何があったのか様子がおかしい、屋敷の中は静かで先程迄と何も変わらない、車の男達が気になる

「ピロ、尾行するぞ」

「わかった」

ピロが鳥になった

「映像を送るね」

車の置いてある場所に急ぐ、脳内の映像がナビゲーションに変わった、車を発進させて車の走り去った方向へ向かう

「ピロ、近道して合流できる地点を予測できるか」

「だしたよ」

ナビゲーションに経路が出る、車を加速させて細い道を、右に左に十分ほど走り、広い通りに突き当たった、その通りへ左折すると二台ほど前に、目的の車が見えた、そのまま尾行しながら先程の事を考える、車に乗ったのは五人だが、一人が不自然に押し込まれるようにして乗った、家にいた一人を連れて、訪れた男達の一人が残れば、そう言う事か騒ぎにならなかった訳だ、残った一人が騒がないよう見張っているのだろう、殺すつもりなら五人で遣っている筈だ、残って見張るなんて面倒な事はしないだろう、兎に角この車の行き先を確認しておけば、この先役に立つはずだ、迂闊に手を出して何でそこにいたのか、説明が面倒になる命に別状はないだろう、そう判断して暫くは状況を見判断る事にする、関わる事を言ってある鏑木には連絡をして置く事にする

「誰か連れだされたようだけど、どういう事になっているか分からないから、屋敷の方は放って置きます、行き先だけ突き止めたら、後は傍観で良いですよね、やたら手を出すとややこしくなるから」

「そうしてください、事件だったら権堂の方から警察に連絡があるでしょう、ですが権堂の屋敷の場所は本条さんの署が管轄ですよね」

「そうですね、事件だったら当然関わる事になるでしょうね」

「おそらく権堂がらみだとなると本庁から出張る事になるでしょう」

「じゃあ、大人しくお手並み拝見と行きますか」

「そうですね、いらいらするでしょうが、我慢してください」

「いえいえ、そんな事は、勉強させてもらいますよ」

「慇懃無礼と言うんですよ、勉強どころか腹を立てるのが眼に見えますよ」

「いや、そんな事はないですよ、純粋に勉強させてもらいます」

「ハハハはっ、好きにしてください、なにかあったら、また連絡ください」

「分かりました、では」

暫くして車はある高層マンションの駐車場に入って行った、戻っていたピロが何も言わずに飛んで行った、俺にしか見えないから便利この上ない、脳内にエレベータの内部が映る、階数と部屋番を確認して、本日は終了する事にした

時間はまだ九時前、意外に早い時間だ家に帰ろう、距離的に会慣れていないのですぐに家に着いた、車庫に車を入れて家に入る

「お帰り」

良子が居た

「ご飯食べたの」

「いやまだだ、何か作ろうと思って帰って来たんだが、君は食べたの」

「私もまだ」

「ファミレスにでも行くか」

「いいわね、そうしましょう、ちょっと待っててね支度してくる」

ピロに鍵のよおなものを作って貰って、良子に持って貰って居る、今ではほぼ毎日来ている、自分では通い妻だと言って笑っているが、俺として何があっても妻にするつもりだ、だが何時言い出そうか迷って居る、この年で何だか恥ずかしいのだプロポーズ何て

「お待たせ、行きましょう」

近くのファミレスに向かう、腕を組んで歩きながら、ふと気になって居た事を聞いてみる

「良子さん、お母さんはどうしているの」

「母は今兄と海外、母の妹叔母の所に言って居るの、どうして」

「うん、会った事が無いから、気になるだろう」

「えっ、母はあった事があるって言ってたわよ」

「何時だろう」

「最初にうちに来たとき」

「ああ、あの時最初に出て来た、あの人が」

「多分、それがお母さん、お父さんの目を覚ましてくれた、恩人だって言ってたわよ」

「そうか、そんな評価をしてくれているんだ、そうだったのか」

それを聞いてほっと胸をなでおろす、反対される事はなさそうだ、ファミレスはさほど混んでいなかった、店に入ると案内されたテーブルに向かい合って座る、お互い好きなものを頼んで、ふっと一息

「こう言う処良く来るの?」

そう聞かれた、時間があるときは自炊が主だが、最近は買い物をする暇がなく、、ここを利用する機会は多かった、どんな高級料理を毎日食べても、何の差支えもないのだが、高級店は苦手だ、雰囲気も出る料理も馴染めない、根っからの貧乏育ちだから、やはり大衆的なものがあっている

「うん、結構御厄介になってるかな」

「そうなんだ」

「帰る時間が不規則で、買い物している時間がないんだ」

「じゃあ、何時も冷蔵庫見て、適当に補充しておいてあげるね」

「うん、其れだと助かる」

「わかった、そうする」

料理が来た、食べながら

「本条さんおかねもちね、家と言い車と言い、今着てるスーツも高そうだし、警察官てそんなに給料が良いの?」

「いや、警察の給料じゃ、今の暮らしは無理だね、これは内緒の話だけど、副業の方が当たってね、儲かり過ぎて困るくらいなんだ」

ピロ以外の秘密は作らない方が、後々楽だろうから話してしまう

「本当は仕事をしなくても食べてはいけるんだが、少しは世のために働きたくてね、自分の為でもあるんだ、だらだら生きていると自分がダメになりそうで」

「本当に、何から何まで規格外ね、本条さんて」

「いや、普通のおじさんだよ、偶々運が良かっただけのね」

「でも、魅力的、者に動じない処がね、お金なんてどうでも良いの」

「そうか、ありがとう」

それ以上は聞いてこなかった、先に食べ終わって、良子の食べる姿を見ながら、後はプロポーズするだけか、そう思っているのだが言い出せない、こうして見てもも奇麗だし、可愛いし、付きあってみて性格も良いし、俺には過ぎた女性な事は確かだ、あの我儘だった彼女は、評判の悪い父親にに抵抗して、あんな振る舞いをしていたようだ、今では父親も変わり、抵抗する必要もなくなった様で、普通の女性に戻った、助けられたとはいえ、俺を好きだと言ってくれるが嘘のように思えるが、本気の様なのがうれしい、早く嫁さんにしたいのだが、今日も言い出せないまま別れた


権堂邸の出来事はやはり事件になった、あの日、連れ去られたのは秘書だった、大使館の車はあの国の、反政府清涼の男達が盗んで乗り着けたようだ、都内の公園の駐車場に似り捨てられていた

極秘に捜査本部が立ちあげられた、所轄である関係上、俺達刑事課も参加する、署長たち幹部や同僚の刑事たちも、何だか色めき立っている、本部から切れ者と噂の管理官が、部下を連れて颯爽と登場だ

「所轄は案内だけで、私達の補助をするだけで良い、余った物は適当に情報を集め報告しろ」

要するに、お前たちは何もしないでも、優秀な俺達が解決するから、そんなような内容だった、案内役などとんでもないと思ったが、警視庁捜査一課にあこがれる者、同僚たちの中に多くいる事は分かっていた、進んで案内役を申し出る者が多数いた。俺は御免なので適当な情報集めに出ようとして部屋を出ようとしたとき

「君が本条君だね」

そう声がかかった、切れ者管理官さんだ

「はい、本条ですが何か」

「近頃、お手柄が多い様だが」

「いいえ、偶々ですよ」

「偶々で事件は解決しない、優秀かもしれないが、今回は所轄では手に負えない、大人しくしていてください」

「勿論、本部が出張って来たんですから、俺達の出る幕はありませんよ、邪魔しないようにしてます」

「分かって居れば良い」

そう言って部屋に戻って行った、わざわざ何だったのだろう、同僚の坂田が

「何かあったのか、わざわざお前の所に来たようだが」

「さあ、何か知らんが、大人しくしてろって言われたよ」

「ハハハっ、お前最近目立ってるからな」

「何がだよ、地味にコツコツが俺の身上だぞ」

「馬鹿言え、個人的成績で行ったら警視庁一らしいぞ」

「何を言って居る、冗談じゃないぞ」

「表立って評価しないが、実際はそうらしい、今に本部から声がかかるぞ」

「おい、其れ、本当か、本部なんて御免だぞ、どうでもと言ったら俺は退職する」

「お前マジかよ、、刑事だったらあこがれの部署だぞ」

「俺は、憧れてなんかいないよ」

「まあいい、単なる噂だ、そうなるとは限らん、行くぞ」

その日は一日聞き込みに回ったが、此れと言った情報はなかった、ワザとらしいが、そう思うのは自分だけだ、坂田手前真面目に聞き込みに付きあった、そして署の帰りに例のマンションの様子を見に出かけた

ピロに部屋の中を見に行って貰う、何時ものように脳内に映像が現れる、五人の外人と一人の日本人がいる、日本人は普通にソファに座って雑談している、言葉が堪能なのだろう普通に会話している感じだ、拉致されたという感じではない、仲間と言う感じだ、届け出では、銃を持った外国人の男達に拉致された事になっているし、身代金三億円が要求されている

「日本海側から漁船で沖まで出て、何処かの潜水艦がむかえにくるって」

「何だ、逃走経路か、此処から如何脱出するんだろう」

「その話は終わった後の様だヨ」

「そうか、まあ、あの様子なら命の危険どころか何の危険もないな、本部の人達も何れたどり着くだろうし、任せておけばいいか」

後は鏑木さんに任せる事にする

「どういう訳か命の危険はなさそうですから、後のは判断は鏑木さんに任せます、よろしく」

そう言っ電話を切った後、家に電話を入れる、良子が出た今日も来てくれているようだ

「夕飯用意しておくね」

そう言って電話を切った。家に帰ると玄関に良子の靴が揃えてあった、それが眼に入っただけで胸が温かくなってしまう

「お帰りなさい」

良子が出て来た、思わず抱きしめたい衝動にかられたが、ぐっと我慢する、いまだに手も握った事が無いのだから

「ただいま、悪いね、用意させちゃって」

「いまさら何言ってるの、何時もの事じゃない、どうしたの今日は」

「うん、ちょっと」

今の自分がちょっと恥ずかしい、キッチンに行くと、テーブルに夕飯の用意が出来ていた、ご飯をよそる姿を見ただけで感激してただけで居る自分が居る、馬鹿か俺は、自分乍ら嫌になってしまう、今日と言うより前からだが、だんだん俺はおかしくなっている、もう駄目だ、良子の顔を見るとだめなのだ、決心しなければ

「良子さん、結婚しよう」

「はっ」

驚いている、理解できないようだ俺の言った事が、ご飯をよそる手を止めて、呟いている

「突然何をいってるんだか」

そう言って俺の顔を見てから

「ええー、今の、プロポーズなの」

「そうだ、結婚しよう」

音を立てて茶碗を置くと、黙って椅子に座った俺に近づき抱き付いて来た

「危ない、落ち着いて」

「うん、うん、するする、結婚する」

「ありがとう、一生お前を守るから、此れからずっと一緒に生きて行こう」

そう言ったのだが、聞いていない

「結婚できるんだ、やったー、お父さんに連絡しなきゃ」

そう言ってスマホを出すと

「お父さん、やったよ、本条さんがプロポーズしてくれたよ、良かった、無理だと思って居たのに」

「おめでとう、よかったな、うん、よかった、よかった」

此処まで聞こえる、喜んでくれているようだ、よかった






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