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私たち別にそういう関係じゃないんですのよ。ちょっとそれに近い関係ではあるんですけれどね。

今まで穏便に過ごしていた生活が、

そのボーダーが崩れていったのは、

あの人が嵐荒れ狂う街に現れた午後の事だった。

家庭を壊す愚かなことだけはするまいと、

人前でも言い続けてきたけれど

あの人の前では

そんな思い何の役にも立たなかったわ。

誰か私を呼んででみて?

ね、振り向かずに済むでしょう?

でも、あの人に呼ばれたとき体は素直に反応し、

(いやらしい意味じゃなくて)

なんか想像上のしっぽフリフリしながら

喜んで振り向いてしまうのよ。

なぜだかわからない。

あの人の匂いがいいのかしらね?

香ばしい感じのちょっと甘ったるい。

茶色の髪の毛をくしゃくしゃにして

息をハァハァいわせて駆け寄ってきたとき、

遅れてごめんね、アキ。

今日はちゃんと埋め合わせをするからね。

なんて言われたとき、

嬉しさのあまり心がじゅんじゅんしてしまっていた。

2人していたことといえば

お酒の飲ませあいだけだったけれど、

2人とも結構酔っ払って

鴨川の三条大橋から下の川に向かって、

2本の傘をぶらぶらさせていた。

さっき食べた中華の春巻きや

フルーツバスケットの話をしながら、

おいしかったなぁって、

そのかわいい舌で

上下の唇をペロペロしてるのが

食べちゃいたいくらい、愛しかったよ。


その夜、再び雨が降り出したころ

私たちは、岡崎は動物園のそばの

彼女の部屋に向かって歩いていた。

私は傘を持っていたけれど、

彼女の傘にちゃっかりと入り込んで、

彼女の腕をしっかりと握っていた。

私は私のお家に彼女を呼んだ事は無い。

私の家には私のリトルダディーと

私似のチビ秋ちゃんがいるから呼べるわけもない。

1度ぐらいは私の昔からの親友よ、

とか言ってごまかして

家に呼んでもいいのかもしれないけれど、

私の心がそれをまるで望んでいないのです。


翼さんとの時間はほかのどこよりも

翼さんのお部屋が良い。

誤解を与えることになっていれば

申し訳ないのですが、

私と翼さんにカラダの関係はありませんのよ。

お互いに好きで、

ちょっとそれに近い

かわいい体験をしたことはあるんだけど、

深い川を渡るような

そんなのに狂うような体験をしたことは

ないんですのよ。

キスして(たまには深いの)抱きしめあっちゃう、

くらい、かな?

(更にたまには、骨も砕けよとばかりに

強く抱きしめ合うけれど)

いわば、ハグの延長のようなイメージですね。

でも、騙されて無理矢理やらされている

気もするなぁ、

気持ち良くなくもないから、

まぁ、いんだけど。

でも基本的に一緒に寝たいわけでは

私は無いのですよ。ほんとですよ。

だから翼さんの家に行っても、

やる事は食事の時とそんなに変わらないので。

お酒の飲ませあい?……だけ

それは2人とも酔っ払ってるから

たまには口移しで飲ませあってみたり、

忘れられない過去の良い思い出話を

話し合ってみたりはするけれど、

基本2人をすることといえば

良いお友達のちょっとイチャイチャした

お付き合いくらいのものなんですのよ。

ちなみに、この「のよ」と言う言葉遣いが

翼さんは大嫌いで、今

わざと翼さんの前で

それを言っていることによって、

翼さんの感情が波立って

いつもの冷静な翼さんじゃなくなると

面白いなと思ってわざとやってるんですのよ。


なんだか翼さんが

ちょっと不機嫌な顔になってきたので

もうこちらの書き込みはやめさせていただきます。

また機会がございましたら

翼さんの近況とか、

おしゃべりしたいと思いますので

よろしかったら、ね?


私の名前を呼んでみて?


アキ?


ね、振り返らないでしょう?



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