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それがこの俺、西条さんさ

作者は死んでも作品は生き続ける

とはよく言ったものである。


作者は死んで、

その作者を褒めあげていた

別の作家も死んで、

その作者と争っていた

ライバルの作家も死んで、

その作者をあたしに教えてくれた

『奴』も死んで、


みんなみんな死んでしまって

そういえば

そういうタイトルのアルバムが昔あったけど

「みんなってしまった」だったっけ?

みんなに去られたあたしは

無論1人で生きている。

女房子供に手を焼きながらも生きている、

と言う歌があったが、

手を焼く相手がいるだけ幸せ

と言う考え方もできる。


「喝采」を初めて聞いたとき

私は喪服の似合う女になりたい

と思ってしまった。

1人で生きつづける、強い女になりたいと、

みんなに去られても笑って生きて行ける

感性鈍感な強靭な女に。


でも、感性鈍感な

詩人ているんだろうかな?


そういえば笑うセールスマンって漫画の

喪服みたいな名前の主人公の名前

本当は何て名前なんだっけ?

まぁどうでも良いけど。


話を戻すと、あたし、狼男の少年の物語を

心じゅんじゅんさせながら読んでいたわ。

彼を描いた挿し絵の学生服の姿だって

今も目に焼きついている。

彼のこと好きなのかなって思ってたけど

今から振り返るとそんなこともなかったみたい、

何故かわからないけど、

いつも、いつも、いつも、いつも、

いつも、いつも、いつも、いつも、


いつも耳にこびりついて離れないセリフがあって

それは、その主人公ではなく、

敵役の悪者のセリフ、

どうみても悪者だけど、

人間味があって憎めない、

ま、いわば、美味しいキャラではあるんだが、

その悪者のセリフ。


あたしは西条さんじゃないし

ましてや男でさえないんだけれど、

人生で遭遇する

ここだけは見栄をはらなければならない、

ぜったいに、あとに引けない、

あたしの最後のプライドで

どんな手を使っても闘わなければいけない、

そんな時、いつもこの言葉が私の胸に木霊していた。


それがこの俺、西条さんさ


その作者のことが

それほど好きだったわけでもない。

そのキャラクターのことは

大好きだったけど、

そのキャラクターと

そのキャラクターに惚れてる女との恋愛には

胸がじゅんじゅんしたけれど、

理想のカップルだと思って

私もそんな女になれればなぁ、と

秘かに思ったことあったけれど。

問題はそんなところじゃないんだ、

まぁそこも問題っていやぁ問題だけど。

今、たった今、

言いたいのはそんなことじゃない。

たった、その、わずか10文字あまりの

ほとんど意味を持たない言葉が

1人の人間の胸に、数十年にわたって

こびりついて離れなかったと言う、

胸にこびりついて離れなかったと言う

胸にこびりついて離れなかったと言う

胸にこびりついて離れなかったと言う

その事実の凄まじさ

そんな体験をしたから、あたし、

誰かに言葉を刻みたくなったから、あたし、

あたしは詩人(自称で下手だけど)なんてもの

性懲りもなく続けているのかもしれない。


(あかんわこれ、)

(心情吐露しすぎて、へん?)

(あとで、おこられ、へん?)

(さめても、おこらないでね?)

(これも、あなた、ですから)

(ね?)

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