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「憧れの姉 殺人事件」

子供の頃から姉が眩しくて仕方がなかった。

美しくて、賢くて、優しかった姉、

憧れと愛情と嫉妬と憎悪と、

あらゆる想いがないまぜになった

とにかく大き過ぎる壁のような存在、

姉は弟の私から見ても特別で

いつも崇拝者のような男や女どもに囲まれて

人生でできないことなど何もないように見えた。


私が伝統ある神殿の祭祀となったあとも、

私を立てて小まめに私の至らないところの

愛情面のフォローをしてくれた。

あの頃が、ふたりの一番幸せな時代だった。


そしてご多聞にもれず愚弟は

満たされない姉への想いを

別の、姉によく似た女で代用しようとする。

そこに、悲劇の種は植えられ、

あっという間に、育ってしまう。

女は、姉に似ているだけあって世の中で

自分が一番じゃないと気がすまなくて、

私と姉の中を裂くことに策謀を巡らす。

別に女に騙された訳ではない。

女が持っている、なにをやっても

姉には勝てない敗北感に、

心を突き刺す痛みをもって同化できたから、

私は女とその時ひとつの想いの中にいた。

眩しくて、

仰ぎ見て、

触れたくて、

触れられなくて、

せめて、

その人にとっての

特別な存在になるためには、

その相手を害するしかない。


だから殺してしまった。

別にあの姉にすこし似た女に、

そそのかされたわけではない。

ただ思いの丈が、

愛する人の殺害という形になってしまった。

殺した後、

だからあの女も斬馬刀で切り殺してやった。

姉をライバル視するなんて、千年早い女。

ハハ。それで全ての円環が閉じるだろう、

この神殿の祭祀の広間で。

千年以上の歴史を見続けてきた

この神聖な場所で、

この神殿の最後の司祭として幕を閉じたかった姉の、

それは姉の子供の頃からの希望でもあった。

あゝ、それなら私は、

私は姉に操られていただけかもしれない。


なら、最後の最後で、私は

姉の役に立てたことを誇りに、

姉の行くべき黄泉路の果てへ

同行したいものだが、

それは、叶うまい。


姉は光かがやく天の国へ、

私は闇におおわれた地の底へ。


それぞれ、それぞれ、…………


行くべき道が違うから…………


それも、二度と会いたくない姉の計算なら、

もう、ほんとに、涙も鼻水も流しまくって、

子供の頃に戻って、


お姉ちゃ〜ん。


て、叫ぶしかない。


あとで、笑うしかないけどね。

お読みくださりありがとうございます。


ちょっと、よくわかりませんが、とりあえずエッセイでいいんですかね?


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