宝箱と 恋の成立
ラーラは 程なく 逃げ出してきた馬を探して 戻ってきた。
助けた娘さんの 記憶がないことを 話す。
「このにおい、確か この地方名産の お酒よ。
これだけ大量に 買い付けたってことは、
酒屋か 居酒屋の 娘さんじゃないかしら?
そういえば、この先に 宿場町が あったはず・・・
馬車は 動きそうだから、取りあえず 街まで いってみましょう」
「そうね、取りあえず 何とかしないといいけないのは、
私達も だから( ̄。 ̄;)」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
実は、ゆうべ泊まった宿で、私達は 馬も 荷物も お金も 全部 なくしてしまった。
ラーラが 名産の 超超超高級酒をのみすぎ 代金を支払えなくて
代金代わりに 持ち物全部 置いてきたのだ。
私がついていれば とめたのだけど、あいにく ネツを出した子どもの 治療を頼まれ
席を 外していたから。
戻ってくると、酔いつぶれた友と 怖い顔した 店のご主人が 待っていた。
この旅で 酔いつぶれる友の 酒代を払ううち、旅費が底をつきそうになり、
薬草師のバイトを 始めていた。
子どもを 治療してたっていうこともあって、身ぐるみはがされるのは 免れたけど、
ある意味 ひとりで旅をした方が、楽だったかも。
どうせ、“覚醒の時”を迎えれば、必然的に 別れの時が 来るのだから
あと もうしばらく なんだけれど。
おそらく、そう 遠くない時に それは やってくるはずだから。
そして それは もうすぐのはず・・・
「アーニィ、ついたよ」
友の声で 我に返る。
「アンジェ、だよ。間違えないで」
「あっ、ごめん、アンジェだね」
旅の間、仮のなを 使うことにした。
まさか 追ってくるなんて 予想してなかったから。
だけど、心のどこかで 追ってきてほしいって気持ち、ちょっとは あったのかも。
だって、怪我した 酒場の娘さんの代わりに働くようになったお店で
若様と再会したとき、ちょっぴり 心が ワサワサしたもの。
やがて 本当の別れが 訪れると わかっていたのだけれど。