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2回目の対戦

新キャラ?ぽいのを出します。

作者は河原で喧嘩の後、仲直りと言う一昔前の話にありがちなシチュエーションが大好きです。

 コロッセオに出る。うん、やっぱり外は良い。


ーーコロセェェェェーー


 こんな歓声が聞こえてなければね。

 まあ、前の時にも聞いてたけど、物騒極まりないよ。

 少しは自重しよう。


ーーコロセェェェェーー


 うっせぇな。まだ俺しか出てきてないだろうが。

 この前と同じで、反対側のところから出てくるんだろうけど。


 無駄なことを考えてたら、反対側の鉄格子が開く。

 ん、出てきたかな。

 自分の出てきた鉄格子の方に近付いて、暗殺術のスキル【気配遮断】を使ってみる。


「さっきの狼どこ行った?」


 観客から疑問の声が聞こえる。おお、いるのに空気のように存在感なくなるのな。


「それよりか、反対側からも出てくるぞ」


 うん、反対側からも出てくるね。俺はいい感じに空気になってる。


 反対側から出てきたのは、背の高い黒いやつ。つうか、デカすぎ。

 何だっけあれ? トロール? 黒いからダークトロールか?

 防具はつけてないけど、ガチムチ系の筋肉。うわぁ……殴っても効果無さそう。

 それで、剣を持ってる。あのサイズの体にしても大きい剣。

 マジかよ。あれは普通の攻撃でも近接戦闘位置なら範囲攻撃になるよ。近づけないじゃん。


 なんか、キョロキョロ探してるっぽいな。あ、探してるのは俺だ。

 まあ良い、気にせずゆっくり行こう。次に【急所看破】かな。

 どうやって見えるんだ? と思っていたが、ある意味わかりやすい。

 急所が軽く光って見える。何だよ、人間の急所とほぼ同じじゃないか。


 気配遮断をしたまま、ガンベルトに手を入れて鉄球を取り出す。

 急所じゃないけど膝を狙い、思い切り投げる。

 本当に真っ直ぐ飛ぶんだ。これ、鉄球だよ。

 そんなことを考えていたが、ダークトロールが鉄球に気付く。


 あ、気付かれた? と思ったら、巨体に似合わぬ素早さを発揮して回避された。

 一気にこちらに向かってくる。今ので俺にも気付かれた。

 腹くくって気配遮断を解除、ダークトロールは俺を見て何故か立ち止まる。


「ブキ ソレダケ?」


 おぅ、喋った。片言だけど。

 仕方ない、見られているしベルトを取り外して投げ捨てる。


「ナゼ ステル?」

「あいにく、俺は少しの魔法と殴る事しか出来ないんだ」

「ソウカ」


 少し考える素振りをして、ダークトロールも剣を投げ捨てた。

 何してんだ、コイツ。


「コレデ オナジ」

「持ってても良いんじゃない?」

「オナジ ジャナイト ヒキョウ」


 やべぇ、コイツなんかカッコイイ。

 俺なんかとりあえず不意打ちみたいなことしたのに。

 ちょっと後悔だ。


「そうか、それじゃあ少し待ってくれ」


 俺も、グローブとすね当てを外す。

 ここまで相手にお膳立てしてもらって、何か付けてるのも気分が悪い。


「これで、同じだな。ちなみに魔法は使えるか?」

「ツカエナイ」

「じゃあ、俺も無しで」


 もう良いや、思い切り殴りあってみよう。


「どうせなら真ん中でやろう」


 そう言って、二人? で、コロッセオの真ん中あたりに移動。

 じゃあ、始めようか。ただの殴り合い。


 合図も何もないが、唐突に始まる。先制は、向こうだ。

 技術も何もないが、巨体と腕力による暴力。

 当たれば骨くらい簡単に折れそう……いや、死ぬな。最小限の動きで躱す。

 相手の腕の動きに合わせて俺も距離を縮める。

 相手の腹目掛けて思い切り拳を振る。

 拳は当たったが、相手は全く怯まない。

 相手の暴力がまた来る。今度は上から押しつぶす気かよ。

 相手の暴力を躱し、さっきと同じ場所に拳を振るう。相手の太い腕に阻まれる。

 オイ、ガードすんのかよ。つうか、飲み込み早いよ。

 裏拳の容量で拳が迫る。とりあえずジャンプだ。

 相手の裏拳をジャンプで躱すと相手と目線が一緒になる。

 相手の顔を目掛けて思い切り拳を振る。

 拳は額に当たるが、俺の手が伸びきる前だ。少し後ろに弾かれる。


 着地、と同時に一気に距離を詰める。

 相手の顔の真下に位置撮り、思い切りジャンプ。顎目掛けて拳を突き上げる。

 昔の日本人ボクサーがやってたカエル飛び。

 当たった、けど少しふらついただけかよ。ゴブリン小顔になるくらい力入れたのに。

 何だよ畜生、一撃に差がありすぎだろう。

 何か笑ってないかコイツ。妙に楽しそうじゃんか。


 相手が少し距離をとって突っ込んでくる。そのサイズで体当りかよ。

 いろいろと反動が怖いけど、脚力強化をフルに使って躱す。

 って、オイ、腕広げるなよ、当たるじゃん。

 顔面に太い腕が当たる。勢いで吹っ飛ぶ。あ、意識が……

 地面にたたきつけられて気がつく。危ねえ、意識が飛びかけた。

 相手もこちらに振り向きまた体当りしようとしてくる。

 もう一度あれ食らったら、死ぬ。死ななくても動けなくなる。

 仕方ない、身体強化フルに使って無理やり止める。

 覚悟を決めれば早かった。

 相手に向かって全力でダッシュ。足に思い切り力を入れてぶちかましてやる。

 体格差があるが関係ない。俺のスキルなら思い切りやれば3倍になるはず。

 相手の額と、俺の額が当たる。反動で体が少しのけぞる。

 ぐあ、首が飛ぶかと思った。

 相手も思い切りぶちかまされたからか、同じような体勢になってる。

 体勢を戻されたらやられる。

 体勢をたてなおされる前に一気に距離を詰める。

 腕が砕けても良いか。

 脚力と腕力に物言わせて最高速度で相手のこめかみに拳を叩き込む。

 

 相手を見てみると、片膝をついている。効いたか?

 立ち上がろうとしているが、膝に来てるのかなかなか立ち上がらない。

 好機だ。一気に畳み掛ける。

 横に回って、ボディーに一撃。苦悶の表情に変わった。

 片膝ついてるから、顎も近い。

 顎にかすらせるように拳を振りぬく。相手の頭が揺れる。

 もう一発! 今度はこめかみに思い切り叩き込む。

 ふっ飛ばしてやった。終わったか? うげ、立とうとしてやがる。

 一瞬の間のあと、白目をむいて力なく倒れた。


「ウォォォォーーーーーン!!」


 手を上げて遠吠え。やり切った。相手は……多分死んでない。

 俺の方の鉄格子が開くのが見えた。

 でも、コイツをこのまま放って行くのは気分が悪い。


 頬を数回叩いてやって気付かせる。

「オレ マケタ」

 次にやったら勝てそうにも無いけどな。

 ふらつきながらも立とうとしているため声をかける。


「たまたま、だ。まだ、ふらついてるからあんまり無理するな」

 俺が声をかけたら、おとなしく座った。

「ソウカ オレ マタ イチカラダ」

 少し残念そうだな。負けたんだから当然か。

「俺もこれで2だからな、そういえば名前有るか?」

「ナマエ シラナイ デモ クロ ヨバレテル」

「クロか。俺はひ……じゃなくて、ラルだ」

「ラル ツギ オレ カツ」

「俺はもうやりたくない。次は勝てる気しない」

「マタ ヤル キボウ シテオク キョウ タノシイ」


 戦闘狂め。だから笑ってやがったな。

 まあ、この前のゴブリンよりは俺も楽しかった。

 それよりも、言わなきゃいけないことが有った。


「ごめん、最初は悪かった」


 そう、引っかかっていた事を口にした。


「ナンデ アヤマル」

「卑怯な手を使ったからな。いきなり鉄球投げるのは駄目だな。

 ただの殴り合いになった後は、まあ、気分が良かった」

「ソレナラ マタ オレト ヤル」

「仕方ないな。俺の連勝が9になったら、俺からも希望するよ」

「ソレマデ オレモ キュウニ スル」

「そうなってたら、後悔させてる」

「オマエト ヤレル ナラ イイ」

 少しさびしそうな顔して言うなよ。

「それじゃあ、終わったし、俺は先に出るぞ」

「ヤクソク ワスレルナ」

「忘れねぇよ」

 笑顔で答えてやる。あ、笑ったら牙見えて凶悪な顔になるか?

 まあ、良いか。クロも何か笑顔だし。


 青空が見えて気分が良い。

 一応、友人っぽいのも出来た。

 明日から少しは鬱々とした気分にならなくなるかな。

 小さいが目標も出来たしな。

 目標じゃなくて、約束……か。

 うん、あいつが相手なら最後にそうしてやるのも悪くない。

「クロ、約束忘れんじゃねぇぞ」


 さて、戻りますか。あの穴蔵に。

何か出来の悪い青春ドラマのようになってしまった……


読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク、PV数、ともに作品制作のモチベーションとなっております。

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