表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/43

準備は万全ですか? −3

 頭も痛くはない。体が怠いこともない。大丈夫。

 もう一度、さっきの火種をやってみようか。

「火種」

 さっきと同じようにライターぐらいの火が出た。少し揺らいでいるが、大丈夫、消えない。

 10秒経たずに頭が少し痛くなってきた。まだ大丈夫。

 20秒くらいで頭が割れそうなほど痛くなってきた。もう駄目か?

 更に5秒たったくらいで目まいがしてきた。もう駄目……火を消した。


 頭が痛い、気持ち悪い。体を横にして休める。

 また鑑定しておくか、鑑定


 ※魔法(火):火を扱う魔法が使用可能 (LvUPにより魔法習得)[130/150]


 後少しで魔法(火)のLv.が上がりそうだな。無理はしない。これ以上やったら多分倒れる。

 また少し休むか。せめて頭痛と目まいがひかないと動けそうにもない。


 動いていないのにこんなに疲れるって、魔法って寿命でも削りながら出してるんじゃないのか?

 そういえば、自身のエネルギー放出してるんだっけ? 

 自身のエネルギーを使って火を出してるんだから動けなくもなるし、疲れるか。

 まだ頭痛い……少し寝るか。


 どれくらい寝たんだろう。石造りの部屋じゃ外も見えないから時間はわからない。

 まあ、2〜3時間じゃないか? 頭も痛く無いし、目まいもない。


 じゃあ、もう一度。

「火種」

 火が出る。

 火を灯してすぐに頭が少し痛くなってきた。もう少し我慢。

 多分10秒位、俺には長すぎるくらいの時間に思えた。だって凄え頭が痛いもん。

『魔法経験が規定値に達しましたので、魔法(火)Lv.3となります』

『魔法(火)Lv.2、条件を満たしましたのでスキル【閃光】取得します』

 魔法のレベルが上がったのがわかった為、すぐに魔法解除。

 よし、上がった。頭痛いの我慢したかいがあった。


 とりあえず、試しておくか。頭痛いが、一回位なら大丈夫だろう。

 どんな威力になるのかね? 他の奴と同じようにイメージで威力が変わりそうだ。

 どうしよう、カメラのフラッシュ程度にしておこうかな。

 手のひらはこっちに向けない、怖いから。

 よし、一瞬だけ強めの光が出るのを強くイメージして、

「閃光」

 一瞬、ほんの一瞬だが、カメラのフラッシュくらいの光が出るのがわかった。成功?


 次は、ゲームでしか見たことないけど、閃光手榴弾をイメージ。

 薄暗い部屋が真昼以上に明るくなるのをイメージする。時間は1秒程度?

 光源のサイズもイメージしておくか。空き缶サイズ位だっけ?

 よし、イメージし終わった。

「閃光」

 部屋自体が真っ白になった。ついでに俺の目も眩んだ。

 ヤバイ、ヤバイ。目が痛い。凄え眩しい。光源まともに見ちまった。


 しばらく目をつぶっていた。

 はあ、学習しないな、俺。火礫で痛い目見たのに。光るだけだと思って甘く見てた。

 いろいろと有効な手段になりそうなのは身を持って試したってことで良いか。

 この光源は飛ばせないのかね?

 俺の目の前でいつも光ってたら、とっさの時に俺まで行動不能になる。

 次に試すのはそこかな。


 ようやく視界が戻ってきた。よし。

 光の強さはカメラのフラッシュ。

 なんでって? それぐらいじゃないと確認のしようがないからだ。

 よし、光の玉を投げ出すイメージ、壁にぶつかったら光る程度で。

 軽くボールを投げるモーション取りながら……

「閃光」

 唱えてから少し間を開けて、壁のあたりで光が発生する。成功?

 鑑定してみりゃわかるかな? 鑑定。


 ※魔法(火):火を扱う魔法が使用可能 (LvUPにより魔法習得)[159/300]


 上がってるか。一応成功かな。これで、次の対戦での対策は取れるな。

 視覚を使わないやつじゃなければ大丈夫。


 少ししたら、さっきの連行係がまた来た。


「お前の部屋がさっきから明滅しているが何をしている?」

「魔法の練習。そんなことより俺の出番はいつになる?」

「明日だ」


 え? 明日? 気分的には3日位しか経ってないのに?

「何日間か寝てるだけだっただろ?」

 連行係が不思議そうに言ってくる。あれ? 気を失ってる時間そんなに長かったの?


「明日また迎えに来る。準備しておくように」

「ワカリマシタ」


 受け答えが片言になってしまった。

 何か釈然としないが……まあ、良い。

 万全、とは言えないが、もう寝るか。頭痛いし。



「おい! 出番だ。準備をしろ」

 ああ、もう日が変わったんだ。

 頭は痛くない、目まいも無い。よし、体調は良いな。


「これからお前を連れて行く。ついてくるように」

 鉄格子を開けて連行係が2人入ってくる。

 この前と同じように一人は俺の手かせ、足かせを外し、もう一人は鼻先に剣を突きつけてる。

 手かせを外し終わると手錠に付け替え。足かせは外された。

 後は準備場所に連れて行かれるだけだ。

「立て」

 だから、鼻先に剣を突きつけたままだと立ちにくいんだよ。噛むぞ。

 少し睨んでいたが、やっぱり鼻先の剣をどかさない。

 仕方ない、また少し顔の位置を変えて立ち上がろう。

 顔を動かしたら、動かした先にまた剣を突きつけられた。

「早く立て」

 剣が邪魔だっての。腹立つな。ん? よく見たらニヤニヤしてるなコイツ。

 少し脅かしてやるか。

 手のひらをニヤニヤしてる奴に向けてと。

 ん、手かせ外してる奴に小声で忠告しておくか。

「少し目をつぶっておいてくれるか」

「は?」

 剣を突きつけてる奴の顔を目標にして、顔の目の前に飛ばすイメージ。

 光源は、昨日と同じく閃光手榴弾だ。

「閃光」

 にやつている奴には聞こえないだろう位の小声で唱える。

 目をつぶって顔をそむけておくか。それでも眩しそうだけど。

 おそらく、剣を突きつけていた奴の目の前で光った。

「うわっ!?」

 何か情けない悲鳴が聞こえたな。

 目を開けると、床の上で目を抑えてジタバタしている奴が見えた。

 剣は……取り落としてるな。

 某王家の生き残りが言っているようなセリフを言いながらジタバタしている。

 あ、手かせ外してた奴も近くで悶絶してる。

 まあ、良い。よし、立つか。剣が目の前に無いので普通に立つ。

 腹立たしいから剣を突きつけてた奴に嫌がらせしておこう。

 落とした剣は遠くに置いておこう。

 サイズは鎧の隙間に入る位小さく。熱さは、軽い火傷を負うくらい。

「火礫」

 これも周りのやつに聞こえない位の小さな声で……よし、鎧の隙間、背中に入ったな。

「熱っ!? 痛ぇ!?」

 ヤバイ、コイツ反応が一々面白いぞ。やりすぎてもあれなので、ここでやめておこう。

 何食わぬ顔をして、定位置で立っておく。


 手かせ外してた奴のほうが早めに回復してくる。

「何があったんだ?」

 おお、困惑している。これも面白いが、早く外に行きたい。

「さあ? 気づいたらこんな状況だったんだ。そろそろ行かないと駄目なんじゃないか?」

「え? ああ、それじゃあ出るか? おい! いつまでゴロゴロしてるんだ?」

 まるでコントだ、しらばっくれてよう。

 あ、悶絶してた奴が回復したみたいだ。

「何しやがった!」

 怒ってる、怒ってる。

「何のことですか?」

 まだ、完全に視力は回復してないみたいだ。剣を手探りで探してる。

 残念ながらそこには無いんだな。

「そろそろ行かないと、遅くなるんじゃないですか?」

 何食わぬ顔でとりあえず言っておく。

「お前が何かやったんだろうが!」

 掴みかかって来やがった。しつこいな。

「何かされた? う〜ん、身に覚えが有りません」

「魔法でも使ったんじゃないのか!?」

 お、察しが良いね。使ったのは魔法だけど、普通、あんな威力出るのかな?

 他のヒトの使ってるところを見たこと無いけど、ああいう使い方出来ないんじゃないかな?

 多分、この世界の人とはイメージの仕方からして違うからね。


「おい! そこまでにしておけ」

 ナイスだ連行係。

「でも!」

 やっぱしつこいぞお前。いい加減諦めろ。

「でも、ではない。早く連れて行かないと遅れるぞ」

 連行係は常識人か? まあ、早く行こう。すぐにでも。

「だが、一つ確認させてくれ。お前の火魔法はいくつだ?」

「3」

 とりあえず、正直に答えておこう。

「だそうだ。低レベルの魔法に使い勝手の良いものは無い。

 俺も少しは使えるが、あんな威力の閃光は普通出せん!」

 やっぱり出せないんだ。異常なんだなあの威力。

 それよりか、連行係のほうが序列上なのかな?

「ゴタゴタしてすまない。これより会場に向かう」

 やっと行けるか。会場出る前に少し気分が疲れた。


 やっとこの前の準備空間にまで連れて来られた。

 部屋に入ると鉄格子がしまる。鉄格子の隙間から手を出すと手錠が外された。

 あとはこの前と同じように砂時計がひっくり返された。

 じゃあ、落ちきる前に準備しますか。

 この前のグローブとすね当て。それ以外に何か良いものは無いかな?

 あるものは、剣、槍、斧、鞭、ナイフ、ポケット付きのベルト……ガンベルトか? 後は鉄球。

 良いもんあるじゃん。ベルトを腰に巻き、ポケットに鉄球を入れる。

 ポケットには合計4個の鉄球。重い。手のひらサイズでも重い。

 まあ、これで準備は出来た。後は、出るだけだな。

 あ、ひとつ忘れてた。

「今日のオッズはいくつになってる?」

 連行係に問うてみる。

「500倍だ」

 500って、ほぼ勝てないと思われてるな。

「俺の銀貨、賭けておいてくれた?」

「賭けてはおいた、無駄になるがな」

 そうか、勝てば一気に金貨15枚だな。俺を買い戻せるか?

「ちなみにお前を買い戻すには、今のところ金貨1000枚だな」

 無理じゃん。やる気なくすこと言うなよ。

「俺もお前に銅貨1枚だけ賭けたんだ。損させるなよ」

 銅貨1枚とか、みみっちいな。金貨にしておけよ。金もらってんだろうが。


 まあ、これで確認事項は終わりだ。そろそろ砂が落ちきりそうだ。

 通路の奥、明るい場所に向けて歩き出す。

 コロッセオにでる。うん、いつ見ても青空なだけで気分は良い。

 さあ、2戦目だ。自由を勝ち取るために戦おうか。

 相手はまだ来てない。どんなのが来るかな。

読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク、PV数、ともに作品制作のモチベーションとなっております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ