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残念な報せと面白い報せってなんですか?

「残念な報せと、面白い報せがある」

 医務室にいる俺の前でレンさんがそんなことを言う。

 何の事を言われているか訳がわからない。

「残念な報せと、面白い報せがある」

 同じ事言ってるよ。重要な事ですね。

「ざん「残念な方から」がある」

 言葉に被せて言っておこう。このまま繰り返されたら怖い。

「そうか。まずは、5連勝おめでとう、半分過ぎたな」

「有り難うございます」

「残念な報せの方だが、ラルに対戦相手がいなくなった。

 挑戦状出してた奴等もこの前の戦闘を見てキャンセルを申し出てきた」

 挑戦状って何だよ。

「お前の戦闘を見る奴等も、ある程度強い奴じゃないとつまらない、等と言う意見が多いんでな、お前の戦闘をする相手がいない」

 うぉい、そんなの初耳だよ?

「一人は対戦を望んではいるが、ソイツとは最後にやる約束してるんだろ?」

「クロの事、ですか?」

「そうだ、どうせなら派手にやりたいだろう?」

「まあ、出来るなら」

「その望みは叶えてやるから、安心しろ。

 俺の権限で意地でも実現させてやる」

 レンさん、強気の発言だよ。

「それで、対戦相手の居ないお前に救済措置として、面白い報せを持ってきたんだ。やってみないか?」

「まずは、その報せの内容を聞かせて貰えませんか?」

「そうだったな。悪いな、少し興奮していた。

 それじゃあ、企画の内容を説明しよう」


 企画内容

 ウトンセの街近くにある迷宮(ダンジョン)攻略

 五階層攻略により、勝ち星を一つ追加

 但し、30階層以降を更新しない限り上記の追加はされない

 現在の迷宮最高到達階層:30階層

 予測迷宮最高階層:50階層

 拳闘奴隷の逃走防止として、監視員が一人は同行する

 また、安否確認のため連絡用の魔導具を監視員に持たせる

 逃亡を謀らせない為に、契約の首輪にて契約を行う

 上記魔導具の購入は奴隷の財産にて一時的に立て替えること

 攻略完了時、魔導具と引き換えに代金の返却を行う

 魔導具を持ち続ける事は出来るが、代金の返却はされない

 飲料水の魔導具支給:奴隷条件解放後買い取り可能 (金貨10枚)

 2ヶ月分の食料支給 (足りない場合は現地調達の事)


 追加依頼

 最高到達階層以降の地図制作(マッピング)

 ※地図の出来により、迷宮管理組合より追加報酬有り


「とまあ、企画内容をまとめるとこんなところだな。

 なにか質問は?」

「ウトンセの街ってどこの事?」

「うん? 何を言っているんだ? この街の事だ」

 うん、何ヵ月かいたはずだけど、知らなかった。

「他に質問は?」

「監視員は誰が来るんですか?」

「俺が行く」

 レンさん来るの?

「む、心配されるとはな。これでも鍛えている。足手まといにはならんさ」

 戦闘はまあ、良いか。いざとなったら俺が全部やればいい、かな?

 仕事の方は大丈夫なのかな?

「俺がいなくても、大丈夫だろう……たぶん」

 そこは言い切ってください。

「質問はまだ有るか?」

 質問、質問……そうだ。

「まず、契約の首輪と連絡用の魔道具ってなんですか?」

 俺が一時的に購入しなきゃいけない物だよな、コレ。

「その質問か、一時的にラルに購入してもらう事になるモノだな。

 契約の首輪は、そのままだな。契約内容を完遂するまで取り外せない物だ。

 契約内容としては、監視員から逃亡しない、監視員に対して暴行を行わない、迷宮攻略をする、の3点だな。

 寝ずに攻略を進めるなんて無理な契約はしないから安心しろ。

 連絡用の魔道具は俺が持つことになる。

 2つで1セットの魔道具で、一日に5分間のみ双方向の声が伝えられるものだ。

 両方の魔道具を購入したとしても、金貨100枚で足りる。ラルなら払えるだろ?」

「払えるけどさ、ソレを俺に買わせるのって変じゃないか?」

「こっちで用意してやりたいんだがな、オーナーが首を縦に振らなかった」

「装備の購入とか、野営の備品はどうするんですか?」

「ラルの自費で頼みたい……」

「奴隷解放後必ず俺のものになるんだよね?」

「なる、と思う」

「企画内容に入れといてよ、必要として購入したものは魔道具以外すべて俺のものになるって。

 あと、迷宮でのドロップ品はどうなるの?」

 そう、迷宮といえばドロップ品だ。

 宝箱やモンスターを倒した時に出るドロップ品。

 コレをもらえるかもらえないかで俺のやる気が数段違ってくるよ。

「ドロップ品か……一部はラルに還元って事で……」

「一部だけ? ドロップ品の一部還元じゃなくて、全て還元で頼みますよ」

 命を張る意味がなくなっちまう。

「わかった。全てとは言えないが、ラルに必要となるものはラルの財産としよう」

「もう一声欲しい。ドロップ品で俺に合いそうな武具は必ず俺のものとして欲しい。俺が使えない物はそちらに渡すっていうのはどうですか?」

「交渉しよう。ただし、確約は出来ない。

 それで、こちらからの提案なんだが、ラルが常時使う武具を優先的にラルに渡そう。

 その代わり使えない武具、使えるけど一番良いものより性能の劣る武具はこちらに渡すという形でどうだろうか?

 もちろん、売却額の半額はラルに渡そう」

 うん、一部還元にはかわりないよね?

「売却額の全額、なら良いよ」

「全額は無理だ、6割でどうだろう?」

「9割」

「6割5分」

 細かく刻むなよ、男らしくないね。

「8割」

「すまない、7割でどうだろう?」

「間を取って7割5分」

「商人みたいなやり取りしてくるな、仕方ない。

 こちらの儲けは少ないがそれで良い」

「じゃあ、それで頼みます。

 この金銭的な契約も、契約の首輪で契約して下さいね。

 オーナーが」

 これくらい言っておかないと踏み倒されそうだ。

 ここのオーナー、ケチっぽいし。

「レンさんだけには言っておくけど、俺、鑑定のスキルあるからね。ある程度は物の価値がわかるから」

「本当か?」

「嘘言っても損する未来しか見えないよ?」

「そうか……」

 まあ、釘を刺しておけば買い叩かれる心配はすくないよな。

「……それなら……雇う……費用は……」

 おーい、レンさん、思考の彼方に行くのだけは止めて。

「ああ、すまない。少し考え事をしていた。

 ラルが鑑定できるなら、7割5分で大丈夫だ」

 鑑定ってそんなに重宝されるんだ。

「さっきの企画内容に入ってはいなかったが、迷宮に潜るにあたって冒険者か、探索者(シーカー)にギルド登録はしてもらう。

 両方登録しておけば、ココから出たときに困ることは少ないと思うぞ。俺も一応両方に登録してあるからな」

 おお、異世界っぽい単語だ。

 やっぱりあるんだギルド。

 何か楽しみになってきたぞ。

 入った時にテンプレみたいな絡みはあるんだろうか?

「何か、楽しそうだな?」

「この穴蔵から一時的にでも出れるのは嬉しいし、迷宮(ダンジョン)攻略って聞いたら楽しみにもなりますよ」

「そうか? ただな、攻略するのに二人だと心もとない。

 迷宮管理組合にパーティー募集するが、いいか?」

 そうか、今のところ二人か。

 それなら、こういうのはどうだろう?

「この前の戦闘をで、一人連れ帰ってきたでしょう?

 アイツを入れるのはいいかな?

 魔法使えるみたいだし、後方の火力支援としてはかなり心強いと思うんだけど?」

「ああ、名前はローナだったか……承諾すれば連れて行こう」

「説得はレンさんお願いします。

 俺がやったら脅しっぽくなっちゃいそうで」

「まあ、それくらいなら承ろう」

 良かった。レンさんの説得なら大丈夫だろう。

「これで、ある程度の話はし終えたな。

 出発は一週間後、ココを出た日はこの街で装備や食料の準備。

 俺が魔道具は買いそろえておくから、金貨を貰えるか?」

 ああ、そうだった。

 俺が持っていた袋から金貨を取り出す。

 金貨百枚出てこい、っと。

 お、出てきたな。何故か袋に入ってる。

「おい、それはまさか収納の魔道具か?」

 え? あ、レンさんの目の前で出しちまった。

「質問に答えるんだ」

「ええ、まあ、一応。自称悪魔? からの贈り物です」

 嘘は言ってない。

 いや、盛大なため息は止めてください。

「なるべく人目の無いところで使え。

 持ってるのがばれたらお前が他の奴等に狙われかねん」

 そういうことか。

「今は不問にする。俺としては持ち運ぶ物がかさばらないのはありがたいからな」

 でもまあ、これって使用者限定なんだよな?

 一応話しておこう。

「でもこれって、使用者限定なんですよ?

 俺以外が持つとただの皮袋になるみたいなんですが」

 そんなことが鑑定したときにでてた。

「そうかのか?」

「試しに使ってみます?」

「確認してみよう」

「俺が使うときは念じれば出てきますよ。

 まだ金貨は入ってるんで、念じてみてください」

 レンさんが皮袋持って何か唸ってる。

 唸りすぎてて何か怖いよ。

「本当に出てこないな。

 ラル、もう一度やってみてくれるか?」

 それじゃあ、金貨一枚出てこいっと。

 何の抵抗もなく一枚俺の手に出てくる。

「そんな収納の魔道具みたことなかった……」

 やっぱり規格外の物だったか。

 アイツ、すごいもの渡してくれたな。

「荷物運びを雇う心配も無くなったか。

 まあ、こちらとしては嬉しい限りなんだがな。

 少々複雑な気分だ」

 疲れてらっしゃいますね。俺のせいか?

 まあ、色々と黙っててもらう必要があるんだけど。

 レンさんなら大丈夫だよね?

 信頼してるからね?

 後はレンさんにお任せで大丈夫ですよね?

「諸々の準備は任せて貰おう。

 では、言っておくけどまたくる」

 さて、俺はどうするかな?

 ポイント使って一週間後に備えてスキルの準備でもしておこうかな。

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