拳闘奴隷としてのデビュー
3話目、戦闘描写難しい。
書き溜め?そんなものはありません。日々思いついた文を垂れ流している状態です。
拙い部分が多々あると思いますが、よろしくお願いします。
「おい! お前、そろそろ準備しろ!」
よく知らない声に起こされた。そうか、朝になったのか。今日は拳闘奴隷としてのデビュー戦だ。
鉄格子のような扉をあけて、鉄鎧を着込んだヒトが二人入ってくる。
「噛み付くなよ……」
噛み付かねぇよ。鉄なんか噛んで、歯がかけたらどうするんだよ。
カチャカチャと音を出して俺の手かせ、足かせの鎖を一人が外していく。
もう一人? 俺の鼻先に剣を突きつけて動かないように牽制してる。
「手を前に出せ」
剣で突かれても痛そうだから素直に前に出す。手錠みたいなのをつけられた。
「立て」
わかったから、目の前の剣を少し引いてくれないか。頭少しでも前に出さなきゃ立ちにくいだろ。
「早くしろ」
剣をどかす気はないんだな。仕方ない。頭を少しずらして立ち上がる。
「部屋から出ろ、出たら前のやつに付いていけ」
手錠みたいなのに鎖が一本伸びていて、さっき手かせとかを外していた奴に握られてる。
ジャラリと音を立て引っ張られる。地味に手首が痛い。
遠くに出口の光が見えるが、その手前に少し広い空間がある。
そこで鎖を引っ張っていた奴が立ち止まり、声をかけられた。
「ここは準備室となる。壁にある武器は、本日の試合で使用しても良い」
壁には、剣、手甲、足甲……まあ、武器と言われるものがついていた。防具はない。
「本日使用するものは選んだか? ここに砂時計をおいておく。砂が落ちきる前に準備して出口に向かえ」
鎖を持っていた奴が部屋から出て、俺に指示してきた。
「この手錠みたいなのは外してくれないのか?」
聞いて見たが答えがない。手錠したまま戦えってのか、死ににいくようなもんだぞ。
部屋から一歩出たところでヒトは立ち止まり、無言で鉄格子を閉めた。
ん、真ん中辺りに四角く穴が開いている。
「手を出せ」
外してくれるのか? このままにされるのも嫌なので、無言で手を出す。
カチャ……
外されたみたいだ。
鉄格子の外で砂時計がひっくり返されて置かれていた。早く準備しろってことか。
剣やら何やらは使ったことないし、スキルは格闘だから、手甲・足甲でいいか。
手甲、足甲とは言っても、オープンフィンガーグローブとすね当てみたいなものだ。取り付けに特に問題はない。
砂が半分以上残っているが、これでいいか。さあ、出ようか。
光のある方に出て行く。
ーーワァァァァァァァーー
歓声が聞こえる。観客がいるのか? 娯楽みたいなもんなのかな。
光が眩しいな。石に囲まれた部屋にいたから余計に眩しく感じる。
ーーコロセェェェーー
物騒な単語が聞こえたぞ。
出口のところには鉄格子があった。このままじゃ出れないな……
そう思っていたが、目の前で開いたので外に出た、やっぱり眩しい。
コロッセロみたいなところか。空が見える。
空は青いんだな、異世界でもこれは一緒か。
後ろで鉄格子の閉まる音がした。
ーーコロセェェェェェェーー
やっぱり、物騒な単語が聞こえる。
なんかうるさい。遠吠えでもしてみるか人狼だし。
「ウォォォォォォーン!!」
よし、少し静かになったか?
反対側にも同じような出口があるのか。向こう側も同じように鉄格子か。
鉄格子の向こう側には全身くすんだ緑色みたいなヒト型のものがいる。背が低いな、ゴブリンか?
鉄格子が開けられて出てきた。ん、なんか数多くない?
1、2、3……3匹? かな?
なんかギャーギャー騒いでる。仲間割れでもして同士討ちでもしてくんないかな。
期待してみていたが、反対側の出入り口上にローブかぶった奴が出てきた。
杖振ってる? 流行りの応援?
暢気に考えてたら、ゴブリンのような謎生物がすごい勢いでこっち向いた。
開始の合図とかないんだなぁ、なんて考えてたら。1匹が飛びかかってきた。
うわ、と思ったけどなんかやたらと遅く見える。スキルの恩恵?
隙だらけだな。喧嘩なんかやったことないけど、思い切り殴ってみるか。
飛びかかって来た奴に対して左足を思い切り踏み込んで、右足を軸にして回転。
膝、腰、体と回転させていき、全部の回転の力を右手拳に全部集中させる。
相手の顔めがけて、拳を振りぬく。
ードゴンッー
拳と謎生物とがあたったような音じゃない。
俺の拳が当たった? というより、殴る動作がすごいスムーズだ。スキルのせいか?
右手に衝撃はあるんだけど。俺に聞こえてきたのは何か重量物と重量物が当たったような音。
俺の目の前に来てた謎生物は? 何メートルか先に転がってた。痙攣してる?
少し近づいて見てみたら、おでこのあたりが拳大に凹んでる。
まあ、放っておいたらいずれ死ぬんじゃない?
残り二匹。
謎生物の方を見たら、やっぱりなんかギャーギャー騒いでる。恐慌状態?
もともとの肌の色が緑っぽいから顔色なんかよくわからん。
走って行って、一匹に近づく。
やっぱり相手の反応が遅く見えるな。
走った勢いそのままに、謎生物の鳩尾あたりに前蹴り。
うん、これヤクザキックだ。
ードンッー
やっぱり、重量物同士が当たったような音がした。
ラスト、いきなり目の前にきたからか、呆気に取られてる。
遠慮とかしないでいいよね。
アッパーカットを繰り出す。
ーゴキッー
拳が当たった瞬間、何か折れた感触。
バキバキっと嫌な感じの音をたてているが気にせず振りぬく。
綺麗に放物線を描いて地面に落ちる謎生物。
近くで倒れてた前蹴りで倒したやつを見たら、足のサイズに鳩尾あたりが凹んで泡吹いてる。
放物線描いて落ちた奴の顔は、頭のサイズが半分くらいの小顔になってる。
うぇ、マジマジと見るんじゃなかった。気持ち悪ぃ。
なんだよ、静かになるなよ。仕方ない勝鬨の遠吠えでもしてみるか。
「ウォォォォォォーーン!!」
思いきり吠えた後、右拳を突き上げてポーズをとる。
ーーワァァァァァァァーー
観客がようやく、声を取り戻したみたいだ。呆気に取られてたんだろう。
ふう、これでデビュー戦終了か。結構楽勝だったかな。
コロッセオに入ってきた鉄格子がいつまにか開いてる。戻っていいのかな?
踵を返して出入口に向かう。
最後にもう一度コロッセオ内を見てみる。あ、謎生物がリヤカーみたいなので回収されてる。
戻るか。
グローブとすね当てをつけたところに戻ってきた。入ってきた時の鉄格子はしまってる。
グローブとすね当てを外す。鉄鎧を装備した奴が鉄格子の向こう側で待ってる。
鉄格子に近付いて、両手を出してみる。
ガチャリ。手錠をされたか。まあ、そうだよね。
鉄格子から少し離れたら、鉄格子が開いて、手錠に鎖をつけられた。
また石造りの部屋に連行されるのか。
後何回、試合をすれば自由になれるのかな。
そんなことを考えてたら俺を連行してる奴が言ってきた。
「10連勝すれば、自由の身だ。ここで見せ物として残るのも、外に行くのも自由にすると良い。」
「そうか、後9連勝すれば良いんだな。」
「それと、試合は約月1度のペースだ。次が決まったらまた連絡がくる」
そうか、後9連勝で自由か。自由、良い響きだな。いつでも空が見れる場所に行きたい。
石造りのせいかもしれないが、ここは暗い。窓もないから空が見れない。
なんにせよ、今日はこれで終わり。次の試合が待ち遠しい。
後9回。早く外に出て、空を見たい。
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