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4回目の対戦後 医務室

21話目

 小犬族コボルドたちとの対戦後、俺の入ってきた入り口から出て行った。

 痛い、全身痛い。特に矢傷と槍に刺された脇腹が痛い。まだ血が止まってないし。

 せっかく勝ったのに、ココで倒れたら死んでしまう。

 ふらつく足に鞭打って歩く。よし、準備室に着いた。

 手早くグローブとすね当てを外す。

 歩いてきた方と反対側の扉から手を出して手錠を嵌めてもらわないと。

 ガチャリと冷たい感覚。嵌めてくれたかな。

 手を引っ込めると扉が開く。手錠に鎖をかけられる。

「なんだ、やけにボロボロだな? 負けたのか?」

「ひでぇなレンさん、負けてないよ。ギリギリだったけど」

「そうか、4勝目だな。

 こんな状態じゃ、部屋には戻せないか。ついてこい」

 やっぱりすぐには戻れないか、後少し我慢だ。

 なんか見覚えが有る扉の前に着いた。あれ? 俺この前もココに来たような?

「コイツの怪我の治療を頼む」

 レンさんが声をかける。

「犬の治療は専門じゃないんだよ……って、アンタかよ」

 先生だ。俺がそう呼んでるだけだけど。

「なんだ、今日もボロボロだな。アンタ長生きする気無いだろ?」

 言ってろ。医者のくせに不健康そうな面してるくせに。

「まあ、アンタなら良いか、入れ」

 医務室に通される。先生の前に椅子が用意されている。今日は手錠したままなんだな。

「今回は前より酷いな。切傷、刺傷、打撲……はぁ、暇にさせてくれないねぇ」

 医者は暇が一番なんだよね。ココじゃ絶対にそんなこと無いだろうけど。

「脇腹が特に酷いが、こっちの腕も傷が深い……」

 先生が何かブツブツ言いながら俺のことを診察してる。

「良し、そこの台の上に乗れ」

 台って……ああ、先生の後ろに有る台ね。乗りますよっと。

「とりあえず横になって、足は少し広げろ」

 何でだ? まあ、言われたようにするか。

 ええと、足は少し広げて、と。

「レンだったか? 手錠外してくれるか?」

「わかった」

 手錠外してくれるのか。少しは楽になるかな。

 そんなことを考えていたら手錠が外される。

「腕も真横に広げてくれるか」

 何だよ、注文が多いな。言われたとおりにするけどね。

 手を横に広げて、と。

「そのまま動くなよ」

 何する気だよ、痛みでそろそろ意識が飛びそうなんだけど。

「レン、そっち側頼む」

 そんな会話を聞いていたら、手首が革のベルトで固定されてる。

 え? ちょっと、何する気?

 混乱してたら足首も手早く革のベルトで固定された。

 いやいや、マジでどうする気だよ?

「あ〜……少しの間とても痛むが我慢しろよ」

 先生が何か釣り針のようなものに糸を通しながら話してくる。

 いやいや、それで縫合する気?

 そんな太くて大きいの入れられたら、俺、逝っちゃうよ。

 あ、それのための拘束具でしたか? 少し暴れても大丈夫なように?

 いや、ちょっとストップ。マジでなんかそれ見た目の縮尺おかしいから。

「麻酔……とかないの?」

「無い」

 素朴な疑問を一蹴された。

「せめて消毒とか……」

「? 針は煮沸消毒してあるぞ?」

 針だけかよ! 医者じゃないのかアンタ。

「医者っぽいことやってるだけだから」

 こんな時に俺の感情読まないで。

「ちょ、やめ、このヤブ! やめろ!」

「俺はお前に名乗った覚えが無いんだが?」

 先生、ヤブって名前だったの? それじゃあ医者になれんよ。

 ヤブ先生か……うわ、名前からして絶対に罹りたくねぇ。

「つうか、消毒ぐらいなら自分でやるから!」

「もう遅い」

「何で? まだ間に合うよ。ホラ、俺の拘束具外せばいいだけじゃん」

「面倒」

 そんな言葉で終わらせちゃ駄目だから。

「せめて、ます「そんなものはココには無い」

 最後まで言わせて。

「覚悟は良さそうだな。まあ、少しの我慢で終わるから、ダイジョーブ」

 いや、駄目だろ? そのセリフ非常に危険。失敗しそうな響きに聞こえるの俺だけ?

 ちょと、マジでそれで縫い付ける気かよ? いやいや、マジで痛いから!

「ガァアァァァァァァアアアァァァ!」

「は〜い、少しの我慢ですよ〜」

 暢気な声が響くがそんなの気にしてる場合じゃ無い。

 痛い、痛い、痛い……あ……意識が……飛……ばねぇ! 痛みで意識が戻される。

「戦闘よりキツイんだけど!」

「そんだけ元気がありゃ大丈夫だな。このまま全部縫うからな」

 傷口に針を差し込まれる度に痛い。痛過ぎて意識も飛ばない。

 体感時間的には一時間以上かかってる。実際どれくらい経ってたかは知らないけど。

「よし、コレで最後っと」

 やっと、終わった……正直戦闘より辛かった。

 戦闘ならやり返す相手がいるんだけど、治療となるとやり返す相手がいないからな。

「終わったんなら、開放してくれないか?」

 ぐったりしながら聞いてみた。

「あ? 何言ってるんだ? そんだけの怪我してんだからしばらく拘束取らねぇよ」

 はい? なんておっしゃいましたか?

「しばらく拘束は取らねぇよ」

 2回目ですよそのセリフ。大事なことですね。

「少なくても、3日かな。アンタ丈夫そうだし」

「いや、痛くて動く気なんか起きないんだけど?」

「まあ、それでも信用ないからな。拘束しておく」

 変身すれば抜けられそうだしまあ良いか。

「先に言っておくが、その拘束具つけてる間は魔法とか発動できないようになってるから」

 何だよそれ。

「犬形態になったら抜けられるとか思ってそうだからな。言っておかないとうるさそうだし」

 え? それじゃあ、本気でコレを取ってもらうまでこの状態でいろってことかよ。

「暇しないように傷口たまにつついてやるから我慢しとけよ」

 俺が痛いだけじゃないか。そんなことされたら治りも遅くなるだろう?

「脇腹の刺し傷以外はかすり傷みたいなもんだ。多少つついても問題ない」

 何で俺の思考読めるんだよ、この世界のヤツらは。

「わかりやすいからな、アンタ」

 褒め言葉として受け取っておこう。

「じゃあ、しばらく寝とけ」

 その言葉を言われた直後に何かの薬品をつけた布をかぶせられた。

 同時に俺の意識も暗くなる。

 何だよ、麻酔、有る、じゃん……

読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク、PV数、ともに制作のモチベーションとなっております。

ついでに評価もしていただけるとかなり嬉しいです。

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