表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/43

訓練施設の使用は出来ますか?

12話目。檻に戻ってきました


あとは、モーニングスター大賞というものに応募してみました。

箸にも棒にも掛からないと思いますがよろしくお願いします。

 比較的快適な医務室から、ただの石壁の部屋に戻された。

 多分、先生の言っていた10日が過ぎたんだと思う。

 どっちにしろ、穴蔵の中だから日付感覚なんて狂っているけれど。

 戻ったは良いけど、どうしよう。

 この前、クロに勝って勝数を2にしたは良いけど、外に出るにはまだまだ遠いな。

 あと8勝。そう、俺が外に出るための残り連勝数。

 この連勝数を確実なものにするために、色々と訓練しておかないといけないと思う。

 今有る戦法としては、身体強化を思い切り使って、自爆覚悟で相手を叩きのめす。

 コレだけ。コレだけなのだ。

 一撃必殺を地で行く玉砕戦法。

 コレだけでは、次にクロと戦う前に自分自身が死んでしまう可能性が高い。

 また、クロと戦ったとしても、一度手の内を見せてる相手には通じない、と思う。

 というより、倒せる自信がない。

 勝てるようにするため、手駒を増やしておくに越したことはない。

 さしあたっては、魔法かな?

 一応、2属性使えるわけだし。

 あと、変身の時に得られた情報がある。

 イメージが強ければ強いほど、魔法は自分の望む形になるみたいだ。

 ちゃんとイメージ出来れば、Lv .1の魔法でも使い道があるんじゃないだろうか?

 考えを実行するために、練習が必要だな。

 この前先生が言っていた訓練施設を使わせてもらおう。


 お、ちょうどいいところに看守さんだ。

「ちょっと良いか?」

 気軽に呼び止めてみて、後悔した。コイツ俺に剣向けてニヤニヤしてた奴だ。

「何か用か?」

 うん、いきなり不機嫌だ。仕方ない、呼び止めちまったんだから話をしてみよう。

「有料で訓練施設を使用出来るって聞いたんだけど、俺でも使える?」

 とりあえず直球に聞いてみた。

「たかが2勝しただけで随分と偉そうだな?」

 聞いただけでいきなり喧嘩腰とはどうしてくれようか。

 噛み殺してやろうか。

 いや、質問がよく分からなかっただけだろう。

 俺のほうが大人の対応をしなくてどうするんだ。

 気を取り直してもう一度だ。

「訓練施設を有料で使用できると聞いたんですけど、使用できますか?」

 よし、それなりに言うことが出来た、と思う。

「訓練施設か……金貨・・5枚だ」

 うわ、使用料すごく高い。払えなくは無いけど、かなり痛い出費になりそうだ。

「使うのか使わないのか早く決めないか、俺は忙しいんだ」

 忙しそうには見えないが、仕方ない。必要経費と割りきって払うか。

「わかった。金貨5枚だな」

 俺自信が持っていた15枚の中から5枚そいつに渡した。

「よし、受け取った。申請出すから何日か待ってろ。申請が通ったらまた来る」

「おねがいしまーす」

 こんな感じのやり取りを行った。

 まあ、申請したと言ってすぐに使用はできないだろう。のんびり待つか。

 

 1日目、金貨を渡した奴は俺の檻の前を一度も通らなかった。

 2日目、通ることは通ったけど、何も言わずに通過。

 3日目、前日と同様。

 4日目、この日は一度も通らなかった。

 5日目、俺の檻の前だけダッシュで駆け抜けて行った。


 あれ? 俺、騙された? どうすっかな?

 あ、いつも俺を連行していく看守さんだ。ニヤつかない方。

 ちょっと聞いてみるか。


「すいません、ちょっと聞きたい事が有るんだけど」

 とりあえず、呼び止めて聞きたい事を聞かなければ。

「この前、料金を払って訓練施設の使用の申請を出してもらってるはずだけど、申請通らないの?」

「? そんな申請俺のところには来てないぞ?」

「そうですか……それじゃあ、使えなくて良いから、払った金額返却してもらえないかな?」

「そうか。わかった。それじゃあ、使用料を返却するから少し待っててくれるか?」

 うん、話が早くて助かる。少し待つとしようか。

 しばらく待っていると、先のさっきの看守さんが帰ってきた。

「待たしてしまったな。それじゃあ、使用料の銅貨・・5枚だ」

 おや、俺の聞き間違いかな? 銅貨って聞こえたんだけど?

「どうした? 正規の使用料返却なんだが不具合でもあるのか?」

 不具合とかそうじゃないけどさ、流石にボッタクリ過ぎないか?

 ヤバイ、凄くイライラしてきたな。

「不具合ありすぎだ。こっちは金貨5枚渡してんだ」

「え? そんなに取られたのか?

 ちなみに、誰に渡したか覚えているか?」

「あん? クロの時と、その前の時とアンタと一緒に俺の檻の前に来たやつだよ」

 付け加えれば、俺に剣の切っ先当ててニヤニヤしてたやつ。

「コウのやつか……ちょっと待っててくれるか?」

 ニヤついてる奴はコウって言うのか。

 まあ、名前なんかどうでも良い。俺の金が返ってくるなら。

 またしばらく待つと、二人で戻ってきた。

「お前に不快な思いをさせてしまってすまなかった」

 開口一番謝罪か。頭も下げているし、潔くていいな。

「ちょ、ちょっとレンさん、何頭下げてるんすか?」

 こっちの頭下げてるのはレンか。二人合わせて連行だな。

「奴隷なんかが金もってても使い道ないんだから、良いじゃないですか」

 何言ってやがるんだコイツは。

「むしろ世の中に回してやってるんだから、感謝しやがれ」

 この野郎、言うに事欠いて感謝しろってか? 出来るかってぇの!

「まあ、レンさん。頭を上げてください」

 あなたに頭を下げてもらっても俺には銅貨1枚の足しにもならないし。

「許してもらえるか?」

「あー……渡した金貨が戻ってくるなら、まあ、良いかな」

「だそうだ、早く返すんだ」

「いや、えーと……もう使っちゃってまして、全額返済はちょっと……」

「いくらまでなら払える?」

「銀貨5枚……かな?」

 ふざけるな、全く足りないじゃないか。どうするかな。

「少しは返せるみたいだが、どうする?」

「全額返ってこなければ意味ないんだけど? 俺からしてみれば、金貨5枚はかなりの大金だ」

 そう、大金なんだ。俺の全財産の3分の1だからな。

「それは……俺達にとっても金貨5枚は大金なんだ。すぐに全額と言うわけにもいかなくてな……」

 レンさんも罰が悪そうだ。落とし所を考えないとな……そうだ。

「それじゃあ、俺の要望を聞いてくれるか?」

「それを聞けば、銀貨5枚でも良いのか?」

「条件付きで」

「条件だけ聞いてもいいか? それから考えさせてもらう」

「良いよ。俺からの要望は簡単なもんだ。そこにいるコウだっけ? そいつとの対戦を希望する」

「対戦するだけで良いのか?」

「レンさんにしてもらうのは、対戦のセッティング。

 あとは、コウとの賭けの立証人になってほしい」

「賭けの内容は?」

「まずは、俺が渡してしまった5枚の金貨と残りの金貨10枚、全部で15枚これが俺の賭け金だ。

 15枚同額をそっちのコウにも賭けてもらう。トータルで30枚だな。

 で、次の対戦で勝った方の総取りってことで」

「勝敗の決め方は?」

「ん? 戦闘不能にすれば勝ちじゃないか?」

「だそうだ。おい、コウ、この勝負受けるか?」

「たかが2勝しただけの奴に俺が負けるわけ無いじゃないですか。もちろん受けますよ」

「だが、コイ「あー……レンさんは俺の身を案じてるのかな? 俺みたいな奴隷に優しいですね」

「いや、ちが「そうですよね、たかが2勝してる奴隷が、いつも訓練している看守さんに勝つのは難しいですよね」

「だから、ち「でもでも、心配ないですよ。コレでも結構丈夫なんで。死ぬことは無いですよ」

 努めて明るく、おどけた感じでレンさんのセリフを全部言わせない。

「ってことで、コウさん、この勝負受けてくれますよね?」

 挑発するように言ってみた。

「受けるとも。死んでも文句言うなよ。死んだら文句も言えないな」

 よし、かかった。

「それじゃあ、対戦のセッティングお願いしますね、レンさん」

「そうと決まれば、俺は早速訓練に行きますんで、レンさんお願いします」

 コウはそんなことを言ってそそくさとどこかに行ってしまった。よし。完璧だ。

「お前……いや、何も言うまい。今回はこっちが悪いしな」

「ちなみに、コウの強さはどれくらい?」

「ゴブリン3匹に善戦するくらいだ」

「もしクロと真剣に対戦したら?」

「10秒持たない」

 なんだ、大口叩いてた割りには微妙だな。

「それじゃあ、コレを渡しておくよ」

 そう言って、金貨10枚をレンさんに手渡しておく。

「わかった。預かっておく」

「あー……違う。その10枚俺に全部賭けておいて下さい」

 何倍になるかわからないが、賭けておいて損はしないだろう。

「コウの事、殺さないでやってくれるか」

 何を物騒な。殺すわけ無いじゃないか、金を取りそこねる。

「勘違いをしないでほしいな。殺すわけ無いじゃないですか」

 生き恥は思い切り晒してもらうけどね。後、骨の何本かは覚悟してもらおう。

「なら、良い。少し痛い目を見てもらうことにしよう」

「あと、俺はラルな。こっちだけ名前で呼ぶのも気が引けるので」

「一応身分差が有ることは忘れるな。ただ、覚えておこう」

「今はそれでいいですよ」

 よし、出来レース気味だが金貨は戻ってきそうだな。

「対戦はいつにする?」

「対戦予定は今日中に入れておいてもらいたいかな。日取りは任せます」

「わかった。組んでおく。日取りが決まったら俺が言いにくる」


 次の対戦は決まったが、結局訓練施設は使用できずだな。

 少しやってみて、実力差が有るんだったらコウのやつに魔法の実験台になってもらおう。

読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク、PV数、ともに作品制作のモチベーションとなっております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ