転生できるみたいだけど、奴隷だけ?
初めまして。初の投稿となります。構成等、つたない部分が多々あると思いますが、よろしくお願いします。
気がつくとそこは白い空間だった。
いつもどおり出勤して、つけられない残業をして、自宅に帰ろうとしていたはずなのに。
「おかしいな……」
つぶやくと同時に自分の周りに動画が流れ始める。
懐かしい記憶だ。幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、就職した頃、最近見た風景、自分の目の前にトラックが迫ってきたところまで流れて、自分の周りにあった動画が暗転し文字が表示される。
【残念、俺の人生はここで終わってしまった】
「シャ●ウゲートかよ……つうか、俺、死んだの? 今のってまさか走馬灯ってやつ?」
『死にましたよ〜』
軽く自分の死を肯定した声が聞こえた気がする。ここには俺しかいなかったのだから、気のせいだ。
『無視しないでくださいよ! 聞こえてるんでしょう!』
俺の目の前に何か出てきたが気にしないでおこう。
「何も聞こえていませんよ、俺の前にも誰もいませんよ」
視線をそらしながら答えてみた。
『聞こえているじゃないか! というより見えているならこっち向いてくれない?』
気にしないでおこう。多分一瞬で終わる幻だろうから。
どうせなら白い空間を少し見て回ろうと思い、立ち上がり回れ右して歩きだす。
『ちょっと、どこに行くの?』
少し歩いてみて気がつく、周りに何もない。
『待ってよ! あんまり動きまわらないで!』
服を掴んで止めようとしている幻。気にせず動きまわる俺。幻のくせに何故か重い気がする。
『無視しないでよぉ、お願いだから……ぐすっ……』
なんか泣き始めた、勘弁してくれ。
「何か御用ですか?」
立ち止まり、幻に向かって話しかけてみた。多分何も起きないと思うけど。
『話を聞いてくれるの?』
目に涙をためた幻から返答があった。
「話によるよ」
『えっと、少し長くなるけど聞いてもらえる?』
「その前に確認したいことがある。俺は死んだんだよな?それとあんたの名前は?」
『えっと、正確には死ぬ直前です。今はギリギリ生きている状態。だけど、確実に助からない。僕の名前は教えられない。』
「ソウデスカ……」
目の前のよくわからない存在から、死亡宣告されてしまった。
『それで、ここは走馬灯の世界。本来ならこの場で君たちの言うあの世に連れて行かなきゃいけないんだけど、あいにく定員オーバーで追加で人を入れる余裕がないんだ』
定員オーバーか、受け入れ体制が整うまで浮遊霊でもやってろって言う気か。
『浮遊霊になられるのは困るんだよね……君がいた世界に縛り付けることはできるけど、後始末が面倒だから、やめてほしい』
そうか、後始末が面倒なのか。ちょっと待て、声に出していないところに反応してないかコイツ。
『君が死ぬことが予期できてなかったのもあるんだけど、最近やけに多く来るものだから、土地が足りなくなっちゃったんだ』
あの世って土地買わないと増設できないのかよ。あとなんか重要な事言ってないか。
『重要な事なんか言ってないよ。気にしすぎじゃないかな』
「結構重要だろう。俺の死期を予期していなかったというのは、俺はあそこで死ぬ予定じゃなかったってことじゃないのか?さっきから声に出していないところに反応してるのも気になるんだけど」
『いつかは死ぬんだから、50年後死のうが今日死のうが同じじゃないかな。あとは、君の表情を見れば言いたいことの予測はできるよ。』
どうしよう、無性に引っ叩いてやりたなってきた。
『暴力は振るわないで、怖いから』
「はぁ…わかった。それで、この場にあなたが現れた理由位は聞かせてもらえるのか」
『よく聞いてくれた。今回は特例なんだけど、君の望む転生先を選ばせてあげようっていう決定が出たんだ』
転生か……ライトノベルなんかでよくあるやつだな。自分が巻き込まれるなんて思ってもいなかった。
『それじゃあ、この中かから好きな転生先を選んでね』
【転生先】
ーー現代(記憶の継承なし)
ーー異世界(剣と魔法の世界・記憶の継承あり)
「二つしか選択肢がないんだが……」
目の前の幻はどうだと言わんばかりに得意気な顔をしているが、選択肢が少なすぎないか。
『問答無用で現代に転生させないだけいいと思ってくれないと』
そういうものなのか?詳細説明がほしい。
現代は、そのままだろう。今までの生活を再度一からやり直す形になるのか。記憶の継承がどうのと書いてあるから、記憶に関して聞いてみるか。
「記憶の継承云々とあるが、どういうのか教えてもらえないか」
『ん〜と、現代に戻る場合は記憶を継承すると問題が起きる可能性が高いから、記憶を消去して他の人の一生を送ってもらうよ。異世界の場合は、君の記憶をほぼ、そのまま継承させることができる。ただし、幼少期に二つの記憶を持ってしまうと人格崩壊とかの危険があるから、ある程度成熟したら、君の記憶を思い出す、という手順になる』
「説明ありがとう。それなら異世界のほうが面白そうだ。異世界を選択する」
『君の決断を尊重するよ。転生先を異世界にする』
『次に職業を選択してくれるかい』
【職業】
ーー農奴(異世界でほのぼの農場ライフ)
ーー拳闘奴隷(コロッセオの英雄に成り上がり自由を勝ち取れ!)
「スマン、俺の気のせいかもしれないが、俺は奴隷にしかなれないのか」
『開いている職業がこれしかないんだよ』
「やっぱり、げん『一度選んだ項目はキャンセルできないよ』
現代に鞍替えしようとしたら静止された。どちらも奴隷だが、拳闘奴隷なら自由になれるのか。
「職業は拳闘奴隷で」
『拳闘奴隷だね。職業を承認する』
『次にスキルを取得してもらえるかな。ああ、言語理解はサービスでつくから安心してね』
【ポイント:9@%$&#=1P】
ポイントがなんかバグってる。
『あれ、おかしいなここで変な表示が出ることなんかないはずなのに。まあいいや、好きにポイント割り振って見てくれないかな。スキルはこんなところだよ。ポイントはスキル以外に成長補正に回せるからね』
リストを手渡されたので確認してみる。
【戦闘用スキル】
格闘 剣 弓 槍 ボウガン 魔法(火・水・風・土・回復)……
【補助系スキル】
視覚強化 聴覚強化 嗅覚強化 腕力強化 脚力強化……
【生産系スキル】
調合 鍛冶 大工 農業……
いろいろとスキルがあるようだ。ポイント割り振る前に聞かなきゃいけないことがあるな。
「ここでのポイント割り振りもキャンセルできないとかないよな」
『ポイント割り振りはやり直しができるから安心していいよ』
学生の時にやってたTRPGを思い出すな。とりあえず、ポイントを割り振ってみるか。拳闘奴隷なら、まずは格闘を取得だな。
格闘Lv.0 → Lv.1 (1000P消費)
【ポイント:9@%$&#=1P】
ポイント表記が全く動かないが、気にせず行こう。スキルにレベルが存在するのか。いくつまで上げらるのか確認しないとな。
格闘Lv.1 → Lv.2 (1000P消費)
格闘Lv.2 → Lv.3 (1500P消費)
格闘Lv.3 → Lv.4 (1500P消費)
格闘Lv.4 → Lv.5 (2000P消費)
格闘Lv.5 → Lv.6 (2500P消費)
格闘Lv.6 → Lv.7 (3000P消費)
格闘Lv.7 → Lv.8 (4000P消費)
格闘Lv.8 → Lv.9 (5000P消費)
格闘Lv.9 → Lv.10(MAX) (6000P消費)
【ポイント:9@%$&#=1P】
3万弱ほど消費したんだがやっぱりポイント表記動かないか。最大まで上げても減らないなら、割り振り放題状態じゃないか。一応確認してみるか。
「このポイントってのも、不慮の事故で死んだ俺に対するサービスなのか?」
『ん、そうだね、他の人より多めにポイントを分け与えているけど、どうかした?』
「いや何でもない、確認しただけだ。それと俺が割り振っているのをそちらから見えているのか?」
『いや、見てはいないよ。割り振り作業が終わったら見せてもらうけど』
「もうちょっと待っててもらえるか。スキルが多いのでどれ取るか迷ってるんだ。それとポイントがすこし余りそうなんだ、転生した後にもポイント割り振れるようにしてもらたいんだけど、出来るか?」
『まあ、この時間はある意味無限にあるようなものだから、じっくり悩んでもらって構わないよ。ポイントが余りそうなの?まあ、多めに渡しているから転生後にも割り振れるようにしておくよ』
「それは助かる」
『それと、スキルは一定以上の経験を得ると自動であがるからね』
よし、言質は取った。後は欲しい能力を取っていくだけだな。
全戦闘系スキルを最高にしたら流石にチートすぎるだろうから、剣を3、魔法を各5上げて……ありゃ、1以上上がらない。火取ったら水が取れないのか。風は取れるな。土は……取れないか。とりあえず、魔法は火と風だな。身体強化系を取っておいて……自由になった時のことも考えて、家事スキルでも取っておくか。
スキル
言語理解
格闘 Lv.10
剣 Lv.3
魔法(火)Lv.1
魔法(風)Lv.1
魔法(回復)Lv.1
視覚強化 Lv.6
聴覚強化 Lv.7
嗅覚強化 Lv.6
腕力強化 Lv.8
脚力強化 Lv.8
家事 Lv.3
後は成長補正とか言っていたか、どれどれ、どんな項目があるのかな……
基本ステータス(拳闘奴隷Lv.1)
STR 15
VIT 20
AGI 25
INT 8
LUCK 5
まあ、基本かな。成長補正を入れておけば、どこを重点的に上げられるか決めれるわけだ。基本値を聞いておかないとわからないな。聞いておこう。
「ステータスの成長補正ってのは上げられる上限っていくつなんだ?それと、一般人と各分野の天才って言われている人たちの成長速度を教えてもらえるか」
『最高で確か50まで入れられるよ。まあ、普通の人たちはレベルが上がっても平均的に5〜10上がるくらいじゃないかな。天才と呼ばれる人たちでさえ得手分野で20上がるのが精一杯かな』
「そうか、情報ありがとうな」
それじゃあ、こんな感じに割り振っておくか。
基本ステータス(拳闘奴隷Lv.1)
STR 15 (+20)
VIT 20 (+18)
AGI 25 (+27)
INT 8 (+20)
LUCK 5 (+10)
とりあえずこんなところかな。
「ステータス、成長補正は入れ終わったぞ」
『終わったかい。どれどれ……結構欲張りだね。まあ、いいやこれで決定だね』
「必要になたら余ったポイント使ってみるよ」
『そうかい。それじゃあ、最後に君の名前を決めてもらえるかい』
「名前か……名前はラルで苗字に当たる部分はあなたが決めてもらえると助かるんだが……」
以前実家で飼ってた犬の名前だが、まあいいか。
『これから送る世界には、苗字は貴族以上にならないとつかないから、今のところいらないよ。転生後スキルとかにポイントを割り振るときは、ステータスオープンって念じればステータスとスキルにポイントを配分出来るようにしたからね。これから異世界に送るけど準備はいいかい』
「準備はできてる。いつでもいいぞ」
『それじゃあ、送るよ。久しぶりに人とまともに話ができて楽しかった。これからの君の人生に幸多からんことを祈ってる』
俺の周りの白い空間が更に白くなっていく。ここでの時間も終わりだな。
「そうだな、知っているかもしれないが、俺の名前を教えておくよ。俺の生前の名前、槙原 拓朗。できれば、覚えていてくれるか」
『ひろあき……だね。わかった。記憶の続く限り覚えておくよ。じゃあ頑張って……』
真っ白になったところで俺の視界は暗転した。
目覚めたら石造りの部屋で手かせ、足かせをつけられた状態で座っていた。
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