第3章 夢と写真 2つ目の宝石 その2
おばあちゃんの家は星桜の家から西の方。商店街から更に離れたところだ。
そこへは少し距離があるので、ママの運転する車で行くことにする。
「星桜はおばあちゃんのお家に行くの久しぶりね」
星桜がおばあちゃんと会うのは、パパのお葬式以来だ。
泣いている星桜を見ておばあちゃんが手を差し伸べたが、それを振り払って逃げ出した。
ママはちょくちょく顔を出しに行っていたが、気まずくなった星桜が会うことはなかった。
「おばあちゃん、星桜に会いたがっていたわよ?」
星桜はまだ昔のことを気にしている様子だった。
おばあちゃんの温かい優しい手、その手を振り払ったんだ。当時7歳だった星桜にもそれは悪いことだと分かっていた。
悪いことをしてしまったら素直に謝る。だけどそれは時間が経てば経つほど難しいことへと変化してしまう。
『ごめんなさい』、ただその一言がだ。
でも星桜は分かっている。今日、ちゃんと謝ろう。これは大事なことだから。
久しぶりのおばあちゃんの家が見えてきた。古びた平屋の家だ。広い庭で遊んでいたのを覚えている。
おばあちゃんの家の駐車場に車を停め、2人は玄関へと向かう。
そしてママがインターホンを鳴らすと、おばあちゃんの返事をする声が聞こえた。程なくして、ガラガラと横開きのドアが開く。
「おやぁ、いらっしゃい」
「おばあちゃんこんにちは。今日は星桜も来ましたよ」
7歳から18歳になった星桜を見て、おばあちゃんはどう思うのだろう。
星桜は久しぶりすぎて、おばあちゃんに対して他人行儀な感じがしてならなかった。
ママに言われ、斜め後ろにいた星桜が1歩前に出る。
「こ、こんにちは。おばあちゃん」
星桜のその挨拶は、おばあちゃんの足元に向かって言われた。
目が合うのが照れくさいっていうのもあるが、過去にやってしまったことで怖いという感情が少しばかりあった。
もちろん、そう思っているのは星桜だけだ。
「大きくなったねぇ星桜ちゃん。相変わらず美人さんだぁ」
ゆっくりとした喋り方。落ち着く声。照れることを平気で言ってくるのも昔と変わらない。
そして星桜の手を握ってくるおばあちゃんの手は、やっぱり温かかった。




