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第3章   夢と写真 2つ目の宝石 その1



――(星桜……星桜……。)



――「パ……パ?」



――(パパからの手紙、届いているかい?星の欠片、あれは鍵の1つなんだ)



――「か……ぎ?」



――(ヒントをあげる。これは星桜への誕生日プレゼント。)



――「誕……生……日?」



――(良い夢を……)



――「パ……パ……」







  8




「手紙のことを考えすぎて夢に出てきただけなんじゃないの?」



夢だなんて……ママはすぐに信じることは出来なかった。



「あの手紙、本当はパパが書いたんでしょ?それにこの手紙の意味も……多分……」



【その日の終わり、暗闇の中、示す先へ】



夜、目をつぶった時、行くべき場所が分かる



「確かに見たの……。ママには分からないけど、私には分かること。それは私が見た……夢」



可能性は0じゃない。「星桜なら手紙の意味が分かる」、あの人……パパがそう言っていたから。



でも星桜の夢に出てきたのは本当にパパなの?ママは半信半疑だった。



「どんな夢……だったの?」



「それが……あまり覚えてなくて。でも長い夢だったの。この宝石は鍵。この鍵の在り処を示す夢。そして最後にパパが何か言ってたんだけど……思い出せない」



人が夢をすべて覚えている……なんて不可能に近いものだ。夢物語を長々と話す人もいるが、本当に見た夢すべてなのかなんて分からない。



夢なんて忘れてしまうのが当たり前なのだから。



だけどこの夢は思い出さなければいけない。



星桜にはなんとなくだけど分かっていた。この先にあるものが……パパが本当に伝えたかったことだと。



「これが……鍵?他の鍵はどこにあるの?」



星桜は頭を抱え込んだ。



長い長い夢のワンシーン。そのワンシーンの一瞬に映り込んだもの。



「なんか……黒い……電話?があった気がする。あとはモヤモヤしてて思い出せない……」



それを聞いたママは携帯電話を操作しだした。



「もしかして、これ?」



ママは携帯電話の画面を星桜に見せた。その画面には確かに夢に出てきた電話そのものが映し出されていた。



「これは黒電話っていって、昔に使われていた電話なのよ」



星桜の言うことが本当なのだとしたら、この黒電話があるところに鍵があるはず。そしてママには心当たりがあった。



おばあちゃんの家だ。



そもそも黒電話は家の中にあるもの。星桜が探すことを考えると、おばあちゃんの家しか考えられない。



おばあちゃんとは父方のおばあちゃんのことだ。星桜が小さいころよく相手をしてくれていた。



これ以上のことを星桜は思い出すことが出来なかった。おばあちゃんの家に行けば、また何か思い出すかもしれない。



ママの心当たりを頼りに、おばあちゃんの家に行くことにした。


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