第4章 星と謎 古びた館 その8
これで、子の座と申の座で見つけたヒント2つ。それと亥の座で見つけた、宝石のある場所を示す暗号。
そして、ママは提案する。
「とりあえず、全部の部屋を調べてみない?それから、亥の座で見つけた暗号を考えてみましょ」
「うん!その方がいいかもね」
今、ヒントを考えたところで何も分からない――それが正直なところだ。
2人は申の座を出た。
出ると、すぐ目の前に扉が見える。扉に何も書かれていないことと、位置を考えたらそこが玄関ホールだと分かる。
東の通路を南に向かって歩く。すると星桜が何かを見つけた。
「あれ?何かキラキラしてるよ?」
ママも、星桜が指差す方を見ると、館の外に光る何かを見つける。
近づくと、それは外灯を反射してる池だった。
そしてここでようやく、この館の形が分かってきた。
本館はコの形をしていて、ちょうど上に別館北、口の開いている部分に別館中央がある。池は本館と別館中央を繋ぐ、東の渡り廊下の真下にある。
2人はそのまま東の渡り廊下を渡り、別館中央へと向かう。
別館中央には部屋が1つ、『午の座』と書かれた扉があった。中に入ると、そこにはたくさんの本と本棚。
「図書室ってことね」
「このたくさんの本の中からヒントを探すの!?」
星桜は申の座の図鑑の件と、午の座のこの大量の本を見て、大事なことを忘れていた。
「もう……、パパがそんなことさせる訳ないでしょ?」
ママに言われ、星桜は納得する。
だが、図書室というとたくさんの情報が保存されている場所。だとしたら、分かるところにその情報があるはず――とママは推測した。
2人は本棚に沿って歩く。近くを歩けば、何か分かるかもしれない。
そして歩き始めて2、3分、ママの推測は大当たりし、本の上に寝かせて置かれている1つのファイルを見つけた。
ファイルを開くと、この館についての資料が入っていた。2人は明るい窓際の席に座り、資料を見ることにする。
主人はある数字を好んでいた。1ダース、カレンダー、時計、と言えば――『12』という数字だ。
12は特別な数字。だから主人は12の部屋――十二支の部屋を作った。
12部屋の各扉には、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の座と書き記す。
「まとめるとこんな感じかしらね」
「私達が入ったのは、巳、亥、子、酉、申、午の6部屋だから、ちょうど半分ってことか」
残りは、丑、寅、卯、辰、未、戌の6部屋。
「でもこの資料だと、12部屋あるってことしか分からないね」
これについては、ママも少しガッカリしていた。元々全部の部屋を回るつもりでいたから、部屋数が分かっても特に意味が無い。
ガッカリしていても仕方がない。2人は残りの6部屋を回ることにする。




