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第4章   星と謎 古びた館 その5

通路に出ると、ママは1人で手帳とにらめっこをしていた。



【祖母は父と母に 父は娘に そして娘と母は輝きを見つける】



「あ、私にも見せて」



ママは星桜にも見えるように、手帳を傾ける。



「星桜はこれを見て何か分かる?」



亥の座の床に書かれていた3つの言葉。



「何か私達みたいだね」



おばあちゃん、パパ、ママ、それと星桜。



3つ目の言葉は、星桜とママは輝きを見つける、と言い換えられる。まさに今、2人が宝石を探していることを示しているかのようだ。



これと同じことをママもすぐに思いついた。だが問題は前2つの言葉だ。言い換えたところで全く意味が分からない。



しかし、これの解決法も親子で一致した。何かヒントになるものがこの館にある……だ。



2人は渡り廊下を渡り、本館へと向かう。






本館へ着くと、星桜がママの袖を引っ張った。右方向を見ていた星桜が、この館の3部屋目であろう部屋の扉を見つけたからだ。



2人はその部屋へ向かう。扉には『子の座』、と書かれていた。



子の座に入り最初に思ったことは、これが『部屋』ということだった。ベッドやタンス、クローゼット、この部屋は生活として使われていたんだと見て分かる。



だが、ある疑問を持ったママが口を開く。



「やっぱりおかしいわ……」



ママの発言に星桜が足を止め、ママの方へ向く。続けて、確認のため星桜に聞いた。



「この館は何年も出入りがされていなかったのよね?」



「うん、手作り新聞にそう書いてあった」



ママもその記事は信用できると思っている。だからこそおかしいのだ。



「出入りが無いのに……綺麗すぎない?」



改めて考えてみると、亥の座もそこまで埃が多いって訳ではなかった。



この子の座に関しては綺麗すぎる。ベッドは敷布団のみで、上にビニールが被せてある。タンスの上には埃が溜まってはいたものの、やはり多くはなかった。



そこで、1つの疑問が頭に浮かんだ。



『周りに知られることなく、この館の中に出入りしていたんじゃないか』



この館には正面玄関と裏口の2箇所から入ることができる。もちろん、他にも入り口があるのかもしれないが……。



ママは、もしかしたら今もこの館の中に誰かいるんじゃないか、と不安になっていた。



そんなママを見て、星桜が頼もしいことを言う。



「少なくとも、ここ最近は出入りされていないと思うよ。それに私たちにはパパがついてるから」



ママも肝心なことを忘れていた。ここはパパが用意した舞台だ。危険なことがあるはずがない。



2人は冷静になり、子の座に変わったものがないか探す。できればあの言葉のヒント。


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