表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

第3章   夢と写真 2つ目の宝石 その9

この後星桜達3人は居間に戻り、少し遅目のお昼ごはんを食べる。おばあちゃんの手作りのお昼ごはんだ。



昔から思っていたことだが、おばあちゃんの作るお味噌汁と煮物は格別に美味しい。



そしてこの時、おばあちゃんはとても楽しそうだった。星桜が産まれてすぐにおじいちゃんを亡くし、話し相手がいなくなってしまった。



だからただ話しを聞いてくれる、それだけでおばあちゃんは嬉しかった。






そしてご飯も食べ終わり、楽しい話しをした後、おばあちゃんは玄関前まで見送りに来てくれた。



「また、いつでもおいでねぇ」



「はい。また、星桜と一緒に来ますね」



そう言って、ママは足速に車へと向かう。



星桜はママが離れるのを確認すると、おばあちゃんに話しかけた。



「あのっ、おばあちゃん……」



おばあちゃんは何か言いたそうな星桜を見つめる。



「私が7歳の頃、おばあちゃんの手を叩いたの覚えていますか? その……ごめんなさい。……なかなか謝れなくて」



周りからしたらそんなことで、と思うかもしれない。だけど当時の星桜は悲しみの八つ当たりだった。おばあちゃんだって悲しかったはずなのに……。



その差し出してくれた手がどれほど優しいものだったか、今日改めて分かった。



「なんのことかねぇ。物覚えが悪くてごめんねぇ」



おばあちゃんの目を見て、星桜は答える。



「ありがとう……おばあちゃん」



そして星桜は車に乗り込んだ。



ママは車の中からおばあちゃんに手を振り、星桜達の家に向かって車を走らせた。





車の中、ママは気になったことを星桜に聞いた。



「さっき玄関前でおばあちゃんと何話してたの?」



「7歳の頃に手を叩いちゃったこと謝ったの」



「嬉しそうだけど、許してくれたの?」



謝った時のおばあちゃんの目は優しかった。忘れたふりもバレバレ。



「やっぱりおばあちゃん、優しいね」



ママは一瞬「ん?」と思ったけど、すぐに理解した。





  10



家に着くと、星桜とママは今までのことを整理する。



1つ目の宝石は、手紙と一緒に。手紙に書かれている言葉の意味は未だに不明。



2つ目の宝石は、パパの実家の部屋に飾ってあるくまのぬいぐるみの中。そして手紙のとは別の新しい言葉の1部。



宝石が全部で何個あるのかは不明だが、言葉の意味が分かっていないということで最低あと2つあるのではないかと推測する。



2種類の言葉で1つの宝石の在り処を示している可能性も考えられる。



「もう手がかりはないのよね?」



「うん……」



星桜とママは完全に行き詰まってしまった。だけどそれは『今は』の話しだ。



「今寝たらパパが出てくるかもよ?」



ヒントはパパが出てくる夢のみ。



「全然眠くない……」



明るいうちに寝るということは、星桜にとって難しいことだった。






これ以上考えても、いい案が出てくるとは考えられない。



午後7時頃になったら夜ご飯を食べる。



食べ終わったらテレビを見ながらゴロゴロしたりする。



そしてお風呂に入った後、歯を磨きベッドに入る。



極普通の生活だ。



パパが夢に出てこなかったらどうしようという考えはない。



根拠は無いが絶対に出てくるという自身があった。



この先に何が待ち受けているのか。



不安ではなく、ワクワクしながら星桜は眠りに就いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ