第八話☆禁断☆
素直になることが難しくて、先生に甘えることができなくて…私は逃げていた。だけど素直にさせてくれたのは紛れもなく先生。…もう逃げません。先生…あなたを愛しています。
きっと
神様は許してくれない
こんな私たちを…
でも
好きなんです
先生のためなら
なんだってします
あなたの笑顔が
見たいから
あなたのお気に入りで
居たいから
許してくれなくても
私は確かに
あなたを
愛しています
愛する
本当の意味
私は先生に
教えてもらいました…
-禁断-
あの日から私は
何かが抜けたように
体が軽くなった
笑顔になる日が
多くなった
全ては先生のため…
学校に行って
少しでも
側に居たかった
『…愛美!』
理穂が私を呼び二人きりにさせる
『昨日…どうだった?』
先生に会いに行ったことが気になってたみたいで理穂が真剣に尋ねてくる
『…いいよ、だって』
理穂にもう嘘つけないよ
そう思い素直に答えた
『…まぁじっ!良かったじゃん!』
私の肩を叩き喜ぶ理穂
『…じゃあ〜愛美は禁断な恋をするんだね。禁断かぁ〜』
そう言って興奮する理穂
―― 禁断…
私たちはこれから
禁断の世界に入ってしまうのか
入らないのか
正直わからなかったが…
あなたと
愛し合いたいのよ…
『…ふっふ・り・ん?』
ついに理穂が口にした言葉
人間として人のものは
奪っちゃいけない
小さい頃に親から習った
駄目だよ…
『…違う、そんなんじゃないよ』
そうしか言えなかった
違う…
違う…
自分に何度も言い聞かせる
先生を想うと
いつも出てくるのは
先生の息子さんの笑顔
私はあの笑顔を
奪おうと考えてるの?
私…
そんな人間になんて
……なりたくないよ
『…違うよね〜ごめん、ごめん』
理穂が気まずくなった私に謝る
『ともかくありがとう。伝えられただけでもスッキリした』
そう言って笑った
あっという間に授業が終わり
帰る日々
あの日から
準備室には行ってない
いや…
行けない自分が居た
行ったら
確実に…
わがままになるよ、あたし
そんな中
明日は先生の授業
平常心で受けれるかな…
そうドキドキしながら
眠りについた
翌朝
『席につけ〜』
変わらず先生が教室に入り
出席をとる
なんで平常心で
いられるんだろ
想いを伝えた生徒が
近くにいるのに
なんて思いながらも
ノートに書き写す
『…久しぶりに当てよ』
そう言って先生は皆を見る
『………。』
一瞬目が合った
速攻目を反らす
『…じゃあ…安藤っ!』
当てたのは私の隣の男の子
―― あぶなーい…
ホッと胸を撫で下ろす
想いを伝えた日から
ヒヤヒヤする日々
ドキドキする日々
でも
凄く…
しあわせなんだ
『…今日はここまで!』
そう言って授業が終わる
話したい…
先生をもっと知りたい…
欲求が私の中に増えていく
教室を出ていく先生
それと同時に
私も出た
『…先生っ!』
先生との距離は
1メートルもない
『…んっ?』
振り替える先生
『…あのぉ〜…』
言えない…
言えない…
『…東原〜お前放課後…図書室なっ!』
ニコッ!
先生が意地悪っぽく笑う
『…はい』
なんでわかるの?
私が言いたいこと
なんでわかるの??
自然と笑顔が出た
放課後
静まり返った校内
体育館で部活に励む生徒
そして私は
図書室の前
やっと話せる
話せるのに
何話そう…
う〜ん…まぁ…
いいやっ
そう思いながら
図書室の扉を開く
これが始まり…
私たちの禁断への扉…
―― ガラガラガラ …
扉を開けると
先生はまだ居なかった
時計を見ると
5時すぎ…
もしかして…部活?
そう思いながら
椅子に座る
変わらず静かな空間
外は雨が降っている
雨の音だけが響く図書室
『…暇だな…』
そう思い
本棚のとこに行く
色々な本を見ていた
―― ガラガラガラ…
誰か来た!
そう思い本棚の柱に隠れる
違う先生だったら…
生徒だったら…
そう思いおもむろに柱に隠れる
『…東原?…いないのか?』
それは紛れもなく先生
ホッとして先生の方へ向かう
『…ひがし…わっぁ!』
いきなり出てきた私にビックリする先生
『…すみません!』
そう言ってみた
『1人かくれんぼ?』
そう言って床に座る先生
『…ちがいます!…他の先生とかだったらね……』
と言って先生と同じく床に座ろうとした
『あぁ〜姫はここっ!』
そう言って図書室の椅子をポンポンする先生
『制服汚れる…だからここ!』
良いのに、汚れても…
そう思いながらも招かれた椅子に座る
『…先生?部活は?』
椅子を横にし、先生の方を向きながら尋ねる
『…火曜日は休み』
先生が私を見る
『…なっなんかついてます?』
ジッと見てくるから聞いてみた
『いや…顔真っ赤だなーって(笑)…姫から照れ屋に改名する?』
からかう先生
『…すぐからかう先生は嫌いだなぁ』
嘘、からかえばからかうほど
先生との距離が縮まる
『それは参ったな』
そう言いながら立ち上がり窓の方を見る
静まり返った図書室
沈黙
『…うっ嘘だよ!…う〜そっ!』
そう言いながら足を組む私
『…東原…』
先生はずっと景色を見ている
次の先生の一言に驚く
『…俺の…どこが好き?』
また静まり返る図書室
『…えっ……』
まだ先生は景色を見ている
どこが…
そんなこと言えないよ
『……。』
黙ってしまう私
『…嫌い?俺のこと』
『ちっちがう!』
即答で返事をする
それに面白かったのか
笑いながら私を見た
『…俺は…笑顔が好き』
時が止まった
何言ってるの…先生…
『…笑顔が好き…』
二回も言う先生
私を見つめながら…
『…なっなんで…そんなこと言うんですか?……そんなこと言ったら…わがままが増えるじゃないですか…』
素直に言った
私は想ってるだけでも
幸せなの
だけどそんなこと言われたら…
先生を奪いたくなるでしょ…
ブレーキする私と
アクセルをする先生がいた
『…教師が生徒に恋をするなんて一生ないと思ってた。ましてや年の差は倍以上。結婚もしてる。何不自由ない生活をして家族が居て幸せで、妻以外に惚れるなんて…ないって思ってた……』
先生はまた窓の方を見て
景色を見ながら話始めた
ポケットに手を入れながら
『…けど、最初の授業の日に東原を見て、俺は…確実に今までの生徒とは違うって思ったんだ。それからずっと東原が頭から離れなくて……遠ざけたりしたときもあった。教師としても1人の男としても、失格になるから。でも…東原を見掛けたら無意識に目で追ってる自分がいて……あの準備室で言ってくれたこと…ホントに嬉しかった。』
淡々と話続ける先生
それを涙を堪えながら聞く私
『…君を…愛したいと思った…』
その一言に涙が流れ落ちる私
『…せんせ…』
静かに
静かに……
私が大好きな
先生の“大きな背中”に
手を回し
後ろから抱き締めた
先生の身体は…
震えていた……
これから始まる
二人の禁断の世界
罪な世界
二人はわかっていた
それでも二人は
愛し合いたかった…
『…せんせ……大好き…』
抱き締めた私の手を
先生が握る
『…東原…一つ、約束してくれないか…?』
そう言われ抱き締めていた手をほどく
先生は私を見る
『…なにがあっても…笑顔でいてくれないか?……』
『えっ!?』
『…東原の涙を見たら俺も悲しくなる。無理にとは言わない…けど……笑っていてほしい……』
ギュッ…
今度は先生から抱き締める
『…わかったよ…先生。だって私の笑顔は太陽なんでしょ?』
先生の胸の中で
小さい声で言った
その言葉にフッと鼻を鳴らして笑う先生
『…こんなズルい俺を許してくれ……』
私を抱き締めながら
先生が言った言葉…
誰に言ったの?
私に言ったの?
神様に言ったの?
まだ先生の身体は
震えていた
『…先生…先生は何にも悪くない。ズルくもない。』
そう言いながら先生の腕をほどき
先生の手を握る
『…運命…生まれる前から私たちは出逢うことが決められていたの。だから私は何にも怖くない。あのねぇ…』
そう言い先生の小指を立て私の小指と絡ませる
『…運命の…糸で…結ばれてたの…………だから先生は何にも悪くない。むしろ私が悪いよ…一番じゃなくてもあなたに愛されたい…ずっと心の奥底にしまい込んでたみたい…永遠なんていらない……今が…今の私たちが欲しい…』
『…東原…』
目が合い微笑む私
小指と小指がほどかれ
先生の唇が近寄る
強がった言葉
怖くないなんて言ったけど
ホントはものすごく
怖い……
許して…
神様…許して…
ゆっくり目を閉じ
先生の唇が私の唇と重なる
優しい、優しいキス
私をしっかり支えてくれる
何度も確かめ合うように…
『…せんせ?』
『んっ?…』
『問題…』
『えっ!?』
『……私の名前なーんだ!』
キス一端止めてくだらない問題を出す
苗字しか知らないでしょ…
だけどあなたはすぐに答えてくれた
『……まなみ……愛美…』
そう言ってまたキスをする先生
知ってて驚く私にだんだん深いキスをしていく先生
『…んっ…くっ』
それは大人のキス
深いキスに呼吸が苦しくなる
『…せっ…せん…』
それに気付き先生がやっとはなす
『…ごめんなっ!』
謝っているのに顔が笑ってる
『…もうっ!』
そんな先生を愛しく思う私
『……東原…』
先生が私を呼ぶ
『…先生、な・ま・え!』
ふくれてみた…
『…愛美……』
『…?』
『…離さない……』
先生…
もう十分だよ……
幸せすぎて
死んでもいいくらい
私たちに未来はない
行き先は真っ暗だけど
私は
あなたを
愛しています…
ずっと居られないのなら
私は
ずっと太陽で居ます
だから
私を1人にしないで?
どこにもいかないで…
だけど
私の幸せを
神様は
許してくれなかった…
私から
全てを奪い取った…
いかかですか?もうすぐ完結すると思います。頑張ります。