最終話☆永遠の想い☆
今でも先生を愛しています。……先生はホントに星になりました。最初で最終の先生からのラブレター。そこには先生の真実の想いが書いてあった。
あなたが居ない世界なんて
生きていく自信がない
生きる意味がない
あなたのためなら
命だって捨てれるよ
冗談じゃない
それくらい
愛してるから…
“離したくない”
そう言ったよね?
でもあなたは
簡単に私を見捨てました
手放しました …
それでも私は
あなたを
愛しています
-永遠の想い-
いつ帰ってきたのだろう
いつ寝たのだろう
朝起きて
思ったこと…
『学校…』
そうか、停学処分中だった
また布団に潜り込む
そのとき部屋に
お母さんが入ってきた
『…愛美…』
優しく囁く
もちろん全て知ってるお母さん
『…お母さん……辞めたい……』
無の状態で言った言葉
『……先生の居ない学校なんて行きたくない!』
もう涙なんて出ない
出しすぎで出てこない
『…愛美……』
お母さんが私を抱き締める
『…私最低だよ、最低だって…わかってる。……でも先生は私を愛してくれてた…私をわかってくれてた……見てくれてた……ど…して……同じ罰を与えるべきじゃない!!』
お母さんの胸の中で叫ぶ
それを無言で受けとるお母さん
『…こんな娘…お母さんの娘じゃないよね……ごめんね…お母さん……こんなことになっても……私は……先生を愛してる…』
『…愛美…そんなに…』
お母さんは遊びだと思っていたのだろう
この言葉を聞き本気だと気付くお母さん
『…愛美?…先生はなんて言ってた?……愛する人のためにも…ちゃんと卒業しなきゃ。先生が怒るよ?』
お母さんが私の頭を撫でながら言う
先生とは違う温もり
『…愛美は…先生のためにも卒業するの、先生のぶんもちゃんと卒業するの。先生も望んでる。ねっ?』
『……あ…会えるの…先生…に……。……ちゃんと卒業したら…先生に……会える……の?…』
その言葉に一旦下を向き私の方を見たお母さん
『…会えるわ…信じてないの?先生のこと』
私の手を握り
笑うお母さん
『…信じてるよ…』
―― 約束したことを思い出した
“笑って?俺の太陽だから”
先生…
私…頑張る…
ちゃんと卒業するから
先生のぶんもちゃんと
卒業するから
卒業したら…
会いたいです……
停学処分を終え
今日から学校
あなたが居ない学校
良きことに理穂と学校の先生以外には
停学処分の理由については
知られてなかった
『…愛美おはよ!』
教室に入ると
いつも通り迎えてくれる友達
『…体調悪かったんだってね…大丈夫だった?』
体調不良で休んでることになってたんだ
友達に聞かれ
気付く私
『…うん、もう大丈夫。ごめんね、心配かけて…』
席につき教室に貼られてある時間割りを見る
保健の下に書かれている名前が消され新しい先生の名前が書かれていた
『愛美!』
横から理穂が呼ぶ
『…おはよう』
理穂を見て挨拶した
声に元気はない
笑顔で頑張るって決めたけどそんな簡単にいくことじゃない
名前が消された時間割りを見て泣きそうになる
『…愛美!私が居るから。ねっ?あと一年、頑張ろう!』
泣きそうになる顔を見て理穂が言葉をかける
『…ありがとう』
あなたの居ない学校
あなたの温もりがない学校
頑張れる訳ないじゃん…
この日から
私の学校生活に
笑顔が消えた
先生が居るから
笑えるの…
なんで私は
ここに居るの?
罪を犯した私だよ
卒業する権利なんてないよ
自分を見失い
生きているのかわからなくなるくらい
つまらない毎日
あっという間に三年生
先生に電話をかけたり
メールすることも出来るが
出来ない自分がいた
返事なんか返ってきたら
会いたくて
たまらなくなる
つまらない日々があっという間に過ぎていった
先生に出逢い
先生と心が1つになった
真夏の季節を
迎えた
今年の夏は…
あなたが居ない…
準備室へ行っても
職員室に行っても
図書室に行っても
先生は居ない
私の体重は減って
痩せ細っていた
『…愛美…』
横から声がした
理穂だった
『…食べるの?ちゃんと』
理穂が私を見る
『…食べたいけど何も入らないの』
そう言いながら
机にへばりつく
『…愛美…』
誰も居ない放課後の教室
理穂が私を抱き締める
『…ホン…ットに…愛されてたんだね…愛美…』
その理穂の一言に
久しぶりに出た涙
枯れていたと思っていた涙が出てきた
『…理穂…ぉ…』
優しすぎる
理穂に自然に話してた
今までの先生とのことを
キスしたことも
1つになったことも
守ってくれたことも……
全て…
全て……
涙を流しながら
聞いてくれた理穂
『いけない関係でも…私は愛してる…今でも愛してる…』
真剣に理穂の目を見て伝えた
それを頷きながら聞いてくれる理穂
『…会えるよ、絶対』
そう言って私の手を握ってくれた
高校三年生
受験生でもある
短大に進学するため
ひたすら勉強する日々
夏が終わり秋になる
葉っぱが枯れ冬になる
あっという間に時が過ぎ
先生と愛し合った
冬が来た
そう…
あなたに会わなくなって
一年が経った
暖かい格好をして
部屋の机に向かい
勉強してたとき
携帯が鳴った
“斎藤信吾”
ディスプレイを見て
手が止まる
着信が止まる
履歴に 先生の名前が
残る
『…どうして…』
もうかけてくれないと
思ってた
我慢してたのに…
我慢してたのに……
自然と携帯の通話ボタンを押してた
―― プルプルプルプル…
2コール目で
愛しい人の
久しぶりの声を聞く
『もし…もし……』
一年ぶりの先生の声
『……ッ…ク…ッ…どぉし…てぇ…』
止まらぬ涙
『…元気か?…頑張ってるか?』
先生の声が震えていた
『……うん…』
目を瞑り出てくるのは先生の笑顔
『…愛美……』
やっと聞けた先生が呼ぶ私の名前
囁くように優しく言ってくれる先生
『…ごめんな……』
先生の声がつまる
泣いている先生
『辛い思い…させて…『…謝らないで…』』
言葉を被せる
『謝らないで…先生を忘れた日なんてなかった……私…異常だよ……こんなにも…先生が……今でも…好き…依存してるんだよ……きっと…』
泣きながら喋り何を言ってるか分からないくらいめちゃくちゃになって言う
それでも先生はちゃんと聞き取ってくれる
『…愛美……俺はお前を幸せに出来ないんだ。…泣かせてばっか…最低なんだ、俺……』
携帯の受話器から聞こえる小さな声
『……先生…ウザいかもしれないけど…ずっと……好きよ…?…ずっと……ずっと……』
『…ホント……異常だよ……』
そう返ってきた
その返事に私は一年ぶりに笑った
『…先生…?』
優しく尋ねる
『…んっ?』
―― 『ずっと…星を見てた……』
『星?』
『うん…私にとって…先生はお星様……私をキラキラ輝かせてくれるの…ずっと上から見てくれてるの…』
そう言いながら
部屋のカーテンを開け
星空を見る
『…星か……じゃあ俺は愛美の星になるよ』
―― 星に?
『…じゃあ私は先生の太陽…太陽になれるように頑張る』
そう言ってみた
『…めっちゃ暖めろよ!』
そう言い鼻で笑う先生
『……先生……会いたいです……』
つい言ってしまった言葉
静かになる受話器
『……先生?』
怖くて呼んでみた
『……ごめん…会えない……』
『どうして?…ちゃんと卒業するよ?…』
すぐに聞いてみる
『……愛美…』
苦しく私の名前を呼ぶ
『…先生に会いたいから私…辞めないで頑張ったんだよ…?…お願い……卒業式に…会いにきて……』
もうめんどくさい女だと思われてもいい
ウザがれてもいい
あなたの顔がみたい
『………。』
答えは返ってこない
黙る先生
それでも私はお願いした
『…待ってる…私たちの思い出の場所で…』
あえて場所は言わない…
わかってくれてると
信じてるから……
『…じゃあね、先生…』
そう言って自分から電話を切った
私…待ってます
初めて先生とキスをした
“図書室”で……
年を越し新たな年を迎える
卒業まであと3ヶ月
その前に受験
真剣に勉強してきた結果を出す日が翌日に迫っていた
ふと携帯に目がいき
斎藤信吾 のメモリを出す
―― 明日受験してきます。頑張ります。
たった二行のメールを作り送信ボタンを押す
―― 返事は返って来なかった…
なぜなら先生は
病院に居るから…
あなたとの授業で使ったシャープペンシル
あなたが拾ってくれた消しゴムを使い
試験に望んだ
結果は…合格
親にいち早く伝えたかったが
やっぱり先生に伝えたかった
―― 先生!無事合格しました!
今度は一行だけのメール
おめでとうメールを待っていた
…だけど
合格した夜になってもメールも電話も来なかった
『愛美〜おめでとう!』
家族とのお祝いパーティー
楽しいことなのに
嬉しいことなのに…
素直に喜べない私
何度もメール問い合わせをした
来てない……
嫌われたのかな…
そう思い
合格した夜に
独りベッドの上で
携帯を握りしめながら
涙を流した
桜のつぼみがつきはじめ
卒業シーズン
『愛美!』
理穂に呼ばれ振り替える
『…はい、書いて?』
渡されたのは卒業アルバム
『うん』
寄せ書きを書く
もちろんアルバムの中には先生との思い出が詰まっている
『はい!』
書き終わり理穂に渡す
『…卒業しても親友だからね!』
笑顔で理穂に言われる
『もちろん!』
理穂が居なかったら私今ここにいないよ……
『…帰る?愛美?』
理穂が鞄を持ちながら尋ねる
『…私寄るとこあるから…またメールする』
そう言って理穂にさよならする
向かうはもちろん
図書室
―― ガラガラガラ
懐かしい…
先生がこの学校からいなくなって
図書室には行かなくなった
久しぶりの図書室
椅子に座る
『…信じてる』
そう言い机に頬をくっつける
待ち続けて一時間が過ぎた
空は暗くなりつつある
椅子に座り疲れ
窓の外を見て伸びる
―― ガラガラガラ…
背後から扉が開く音
―― ガラガラガラ…
扉が閉まる音
近寄る足音
振り向く前に後ろから抱き締められた
『…まな…み…』
耳元から低い声
紛れもなく
私の愛しい先生の声
『…先生…』
自然と涙が溢れる
外の景色を見ながら
抱き締められる先生の手に自分の手を重ねて握る
『…卒業…おめでとう…』
やっと言ってくれた言葉
祝ってくれた言葉
顔が涙と鼻水でぐちゃぐちゃになる
『…待たせ過ぎ…』
小さく囁いて鼻で笑って見せる
『…ごめん…』
そう言って私を振り向かす
一年ぶりのあなたの顔を見る
『…や…せた?』
見た瞬間に思ったこと
聞いてみた
『…ダイエットかな?』
そう言って笑う先生
『…愛美も痩せてた…もっと食べなきゃダメだろ?』
そう言いながら私の頬に手を添え私の涙を拭き取る先生
『…ダイエットだよ』
同じ答えを返し笑って見せた
『…来てくれるって信じてた…先生』
細くなった先生の腰に手を回し抱き締める
『…愛美…俺…今日愛美に言いたいことあって』
先生も私を抱き締めながら言った
『…わかってる…先生……別れ話でしょ?……聞きたくない。わかってるから……』
傷つきたくない…
聞きたくない…
『………。』
ホントは違うことを言いたい先生
『…離れてみてわかった…私がどんだけ酷いことをしてきたか……買い物とか行ってね、子供ずれの家族見て、私はそれを壊そうとしてたの。先生は家族の大黒柱でこれから必要としている人が居るの。……だから今日会えて良かった…ホントに…良かった……』
先生の胸に顔を埋めさらに強く抱き締める
『…愛美……』
そう言って先生も私を抱き締めてくれる
『…もう…先生…痩せすぎ……』
そして二人は
最後のキスをした
深く深く
何かを確かめ合うように
『…愛美?……これから色んなことがあるだろうけど俺はいつまでも愛美の味方だ。』
私の顔を見ながら話始める先生
『…星になるから…俺…』
そう言いながら
空を見る
私も空を見た
キラキラ輝いていた
そのとき
首元に冷たいものが…
見てみると
星のマークの可愛い
ネックレス
先生からの
最初で最後のプレゼント
『俺からのお祝い』
そう言って
私の横に来て星空を見る
『…愛してる…先生』
先生の肩に頭を預ける
『…もう…先生じゃないぞ』
そう言って微笑む
『そっか…斎藤信吾さん』
恥ずかしくてフルネームで呼ぶ
『…フルネームかよ』
ちゃんと突っ込んでくれる先生
お互いに笑い合う
『…頑張るんだぞ。愛美…応援してるから』
私の手を握り先生の温もりに触れる
『うん…頑張る…寂しくなったらメールしちゃうかも…』
少しだけ甘えてみる
それを鼻で笑い
照れ隠しする先生
『…愛美……』
『……んっ?』
――
『…愛してる……』
先生が私へ送った
最後のメッセージ
それは
先生が素直に
私への気持ちを伝えた
愛のメッセージだった
―― 半年後…
… ♪〜♪〜♪〜 …
私の携帯が鳴る
“斎藤信吾”
『嘘っ!』
講義中に携帯を開き
静かに出る
『…なに?彼氏?』
隣に居る友達がからかう
『…もしもし?先生?…』
先生からの電話
もちろん首元には
先生からのプレゼント
星のネックレス
だが、受話器から
聞こえた声は
女の人の声だった
『…東原…愛美さん?』
そう聞かれ返事をする
『…斎藤信吾の妻です。』
そう受話器から聞こえ唖然とする
『…なっなんでしょう…』
呼び出されて殴られるのか
怒鳴られるのか
そう思っていたが
次の言葉に
頭が真っ白になる
『…旦那が…危ないんです……急いで病院に…病院に来てください!…』
泣き叫ぶ先生の奥さん
『…へっ?…何言ってるんですか?』
意味がわからなかった
ふざけてるのかと思った
『…旦那は二年前から肝臓が悪くて…つい一年前から入院してたんです……それで今……いまっ……急変して……っ…』
泣いている先生の奥さん
頭が真っ白になる
二年間前から?
一年前から入院??
……急変……??
“俺…星になるから…”
この一言を思い出す
『いゃぁっ!!』
講義を抜け出し
急いで病院へ向かう
―― なんで
なんで言ってくれなかったの?
転勤でも良かったのに辞める理由もそれだったの?
走りながら
今までの先生の行動に疑問をもつ
無我夢中で走り
病院につく
『…はぁ…はぁ……斎藤信吾さんの部屋は…』
看護婦さんに尋ねる
教えてもらい
全速力で病室に向かう
―― あった……
―― ガラガラガラ……
『はぁ…はぁ……先生?』
汗を流しながら
病室を見る
そこには
ベッドに寝ている先生
……顔には白い布……
横でうなだれている
奥さんであろう女性
『……へっ?……』
最初に出た言葉
静かに眠っている先生
少しずつ近寄る
『…せ…ん……せっ?』
小さな声で呼んでみる
…反応がない
『…先生っ!』
今度はちょっと強めに
今度は聞こえたでしょ?
…返事は返ってこない
『…せん……せぃ…?』
震えながら先生の腕を触る
『…う……そ……嘘でしょ……ねぇ…先生っ!……なんで…なんでこんなに……冷たいの……ねぇ……先生!……答えて!……』
何度叫んでも
何度呼んでも
何度理由を聞いても
……返事が返ってこない
『…ねぇ…先生…なんとか言ってよ……冗談って……笑ってよ…ねぇ…ねぇってば……』
先生の腕を掴み揺らす
それを止めたのは
先生の奥さん
『…頑張ってたわ……ものすごく…頑張ってた…だけど……』
その言葉のあとに先生の奥さんは首を左右に振る
『嘘よっ!……嘘よ……』
受け入れられない
いや…
受け入れたくない
先生が……
死んだ……
私をおいて…
『顔…見てあげて…』
そう言われ
奥さんが白い布を取る
そこには
肌が白く
痩せ細った先生…
卒業式に会ったときより
もっと痩せていた
『…どう…して……どうして……』
先生の冷たい腕に
顔を埋め泣き崩れた
『…卒業式の日…』
奥さんが泣きながら話始めた
『勝手に旦那は病室を出たわ。あなたに会いに行くために……』
その一言にますます涙が出る
『…せん…せぃ……』
今度は先生の冷たい手を握る
『…悔しいけど、認めたくないけど…』
奥さんが話続ける
『…彼はあなたを…確実に…愛してた……』
―― 奥さんからの
まさかの一言
込み上げる想い
『…いゃあ〜ぁっ!!………』
病室に響き渡る
叫び声
関係なく私は
泣き叫んだ
『…先生…』
『…先生…』
『…先生っ!』
まだ呼んだら
いつものように
反応してくれると思って
先生を呼び続ける
先生が死んだと言う
現実を受け入れられない私
奥さんに呼ばれ
先生の病室を後にする
『落ち着いて…』
優しく言われ飲み物をくれた
泣きすぎて疲れきっている私
『…すみません…』
一口飲む
少し楽になる
一番辛いのは奥さんなのに私が一番辛くなってどうすんのよ…
『…これ』
隣に居る奥さんが一枚の手紙を差し出す
そこには
“愛美へ”
と、綺麗な字で書いてあった
『…彼が頼んだの。あなたに渡してくれって……』
優しく差し出す奥さん
ふと思っていたことが口に出た
『…怒らないんですか?』
私は先生の愛人だった
不倫をしていたのよ
なのに怒りも
怒鳴りも殴りもしない奥さん
『……確かにそうね。ものすごくあなたが憎いわ。……だけど今日…あなたに会ってわかった……彼があなたに惚れた理由がわかった気がする……』
優しく微笑み手紙を差し出す
それを素直に受け取り
唾を飲む
『…最後だから…私よりあなたがそばに居た方が…きっと喜ぶわ』
そう言って奥さんはどこかへ行った
じっと手紙を見つめる
そして病室に行き
先生を前に
手紙をあける
そこには黒いボールペンではっきりとした字で書かれた文字
ゆっくりと目で読む
“愛美へ”
この手紙を読んでいる
ことは
俺はもう
天国に居るんだな。
まず、今まで
黙ってごめんな。
そして勝手に
逝ったことを
許してくれ。
愛美と出逢って
俺は変われたんだ。
毎日笑顔になれた。
毎日優しくなれた。
毎日が楽しくなった。
平凡だった毎日が
愛美のお陰で
楽しくなったんだ。
愛美の笑顔を見るだけで
嫌なことも
辛いことも
忘れられた。
ホントに感謝してる…
もし少しでも早く
愛美に出逢ってたら
俺たちは
いつまでも手を
握り合えていたかな…
30過ぎたおっさんが
若い女子高生
相手に
こんなに溺れるなんて
思わなかった。
俺は確かに
愛美を…
愛していた。
離したくなかった。
愛美を幸せにしたかった。
愛美…
俺のぶんまで
幸せになるんだぞ?
俺は愛美のスーパーマンだから
ちゃんと星になって
見守ってるから…
だから
いつまでも
俺が一番好きな
太陽ような笑顔で
笑っててくれよ。
いつまでも
愛美の味方だから…
俺は……今でも
愛美を愛してる……
世界で一番愛してる。
斎藤信吾
『ぃ…いゃあ゛〜…ぁっ…っ……』
先生が眠る布団にへばりつくように泣き叫ぶ
先生からの
最愛の人からの
最初で最後の
ラブレター…それは遺書でもある…
―― 世界で一番…
先生は
私を確かに
愛してくれてた
あなたの一番に
なっていた
奥さんよりも
お子さんよりも誰よりも
私のことを一番に
愛してくれてた…
『…最後まで…ズルイのね……せんせ……』
白い先生からの
ラブレターは
涙でクチャクチャに
なっていた
『…なんとか言ってよ…せんせ……?』
先生の冷たくなった頬に両手で包み込み
先生を見る
綺麗に閉じられた
先生の目
スッと高い鼻
乾ききった唇
死んでいるなんて
わからないくらい
安らかに眠る先生
『…せんせっ……私も…世界で一番……愛してる…』
そう言い乾ききった先生の唇にキスをした
―― 冷たい…
冷たい……
先生の顔に私の涙が溢れ落ちる
『…泣きつかれたよ……先生…涙が止まらないよ……せんせっ……信吾……』
あなたのことを
名前で呼べる日が
いつか来ると
私は信じてた
あなたに向かって
あなたの目を見て
あなたに抱き締められながら
あなたの名前を
呼びたかった
フルネームで呼んだ卒業式
変えられない過去
悔やむ思い
『…信吾…あたし…これから…どぅしたら…いい?』
あなたの居ない世界
あなたの温もりがない世界
答えは返ってこない
『………。』
―――…………
お葬式には
行かなかった
いや…
行けなかった
部屋が暗いまま
ベッドに横たわる
友達からのメール
―― 休み?
大学を休んだ
行く気になれなかった
携帯を握り
電話帳から
先生のメモリーを出す
通話ボタンを押し
電話をかける
―― 只今お掛けになった電話は使われていないため……
予想通り…
だけどまだ
生きていると
思っている自分がいた
笑顔で
私の名前を呼び
優しく抱き締めて
『ただいま』て言って
帰ってくるんじゃないかと……
先生が死んだ
実感がわかなかった
―― ピンポン
部屋のブザーが鳴る
『……っ!……先生!!』
そう言い駆け足で玄関へ向かい勢いよくドアを開ける
『せんせっ!!……』
ドアを開けて気付く
―― 星になったんだと…
『愛美…』
来たのは喪服姿の理穂
『…ご…めんね……』
そう言いリビングに戻る
『…愛美?…何も口にしてないでしょ?お弁当買ってきた』
無理に笑顔で振る舞う理穂
余計辛い…
『…ありがと…理穂……でも…いらない…』
ソファーに座り横になる
『…で…でも…食べなきゃ…心配…』
『……いらないっ!!』
ソファーを叩き勢いよく立ち上がる私
『……い…らな……い…のぉ………』
今度は泣きながら…
床に泣き崩れる私
『…愛美……』
理穂が私を抱き寄せる
『……ごめ……っ……ごめん…ね…理穂……』
理穂は何も悪くないのに
何怒鳴ってるの…私
『…ごめん…理穂……一人にさせて…』
理穂がこれ以上居たら
迷惑になる
『…でも…』
理穂が心配そうに見る
『…大丈夫…』
そう言った私を見ながら理穂は出ていった
―― やっぱり無理です
あなたの居ない世界で
私はやっていけません
先生……
私…
あなたに着いて行きたい
私も
星になりたいです……
私はあなたを
“永遠に想っています”
“永遠に愛しています”
…いいよね…?
先生……
―――…………
P.S 俺だけのお姫さま
決して馬車に乗って俺の所に来てはいけませんよ
スーパーマンより
END
無事に完結することができました。ありがとうございます。この作品は少し変えた面もありますが正直に言いますとほぼ実話です。先生は今から約3年前に亡くなりました。私の部屋にはまだ先生の遺書であるラブレターがあります。先生のジャージもあります……3年経った今でも私は先生のことを忘れたことなんてありません。……この場を借りて改めて……先生?…私は今でもあなたを愛しています……