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第7話 訓練を開始せよ!

私の前に現れた小男の上官、カタコトのロシア語は、私にはわかりにくかった

兵舎を出ると、また廊下を歩く。兵舎が熱気でむんむんだったので廊下が涼しい。少し先を行く上官は、歩幅が小さいのかあまり歩きが早くなかった。時々ブツブツと何か言いながら、小走りに歩いて行く。戦車兵は狭い戦車内での行動になるため、小柄な方が動きやすいと聞く、彼もそのコンプレックスを利用して利点にし、活躍してきたのだろうか?


「ココダ、入れ」


考え事をしてる間にある部屋に付いた。「デジタルシュミレーション訓練室25」と書かれている。彼は部屋に私を押し込むと、受付の所にいた人に話しかけ始めた。何だか不自然だと思って後ろから覗くと、受付に居たのはロボットだった。顔の部分だけは人間の女性のもので、それ以外は銀色に輝く針金のように細い金属だった。驚いて居るとそれがこちらを向き、笑いながら話しかけてきた。


「あらあら、アンドロイドを見るのは初めてなのかしら?始めまして坊や、私はこの訓練室備え付けの医療アンドロイド、25号よ。よろしくね。デジタルシュミレーションだから怪我はしないけど、一応心拍数などをモニターしておく決まりなの」

「アニア、コイツに構っテも意味なイぜ?どウセすぐ兵舎送リサ、この前ノ奴なンか2日デ兵舎送りダッタだろ?」

「そうね。でもあなたはまだ日の目を見られるんじゃないの?兵長さんに信頼されているんでしょう?」

「あンナ奴に信頼サレても意味ナイ、決めるノハもっと上の連中ダロ?」

「あらあら、上官からの信頼は重要よ?私も信頼が無くなったら廃棄されてしまうわ。そうでしょう?」

「アニアは優秀だ、安心しナ」

「ありがとう。今日は坊やの訓練なのね?車両はどうしますか?」

「おイ餓鬼、お前ノ愛車は何ダ?」


急に自分に向けられた問いに、少々戸惑った。


「か、KV1であります」

「重戦車か、ご苦労ナ事だナ、アニア、KV1を頼ム。他の乗員はホロで動くダケ、会話は俺達ノミで良イ」

「承りました。楽しんでね。坊や」

「コイツ、気に入ラレルのがウマいな、来い餓鬼」

「り、了解」


戸惑いつつ、部屋の奥へ進むと、四角い空間に座席がいくつか出ていた。操縦用のレバーや弾薬ラック、KV1の車内の配置だ。彼は近くの壁にある棚からリンク装置を取り出し、私にも投げてきた。


「早く乗レヨ」

「了解…」


無線手の座席に私、車長の席に彼が座る。ヘルメットを付け、リンク装置を接続すると、目の前にめがねのような物が出てきた。


「付ケロ、それデバーチャルの戦闘映像を流ス、頭とリンクしてるカラな」

「了解」

「声が小セェよ!」

「了解!!」

「やル気が無いナラ降りヤガレ、道ズレはゴメンだ!」

「了解!!」

『聞こえるかしら?坊や、心拍数が上がり過ぎよ。リラックスして、まだ訓練前だわ。それでは持たないわよ』

「申し訳ありません…」

「アニア、リンク装置がオカシイぜ?」

『了解、問題解析、坊やのリンク装置の言語補正がoffよ』

「オイ餓鬼、首、首!」


彼がしきりに首元を指差す。指定されたところを触ると、指向音声が流れ出した。


「リンク装置フル接続完了、異なる言語検出、言語補正機能を起動します。3、2、1、on line」

「直ったか?返事しやがれ」

「はい、訛りが…」

「お前戦闘経験無いのかよ?今まで別の国の戦車とロシア語で喋ってるとでも思ってたのか?アメ公がお前のために英語を辞めてロシア語で喋ってるとでも?アホかよ。リンク装置が変換してるのさ、俺はスペイン語の訛りがあるから、そこまで補正されてるんだ。そのくらい気がつけよ。本当にお前無線手なのか?」

「申し訳ありません。了解しました」

「聞こえねぇなぁ?」

「了解!!」

「アニア、訓練開始だ、カウントダウンを頼む」

『了解、坊や、あまり彼を怒らせちゃダメよ?今度は彼の血圧が上がってしまうわ』

「良いから、カウントダウン!」

『はいはい、カウントダウン開始、訓練開始5秒前、3、2、1、状況開始!』


第7話 完

第7話です。戦車ゲームの裏側がこんなにもハイテクなら、すごいですよね(^_^;


次話もお楽しみに

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